Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
年が開けてからも、まだ寒い日が続きますが、おしゃれのほうはそろそろ春支度のタイミングを迎えます。冬のうちから春気分を投入するのが、着こなし上手の流儀です。春トレンドのうち、見逃せないのが、サンドカラーのニット。砂漠やサファリをイメージさせる色味は今年のヒット有望カラー。ブラウス風にもジャケット風にも着られる、重宝タイプのニットトップスはほとんど通年で着やすいウエア。大人っぽく着こなしやすい点も魅力の理由です。
ブラウンよりもトーンが薄いサンド系カラーは、癖が強すぎないから、コーディネートに苦労しません。グレーやクリーム、ベージュなどの、割とニュアンスが近い「ニアトーン」のアイテムと組み合わせる、きれいめコーデは、全体を落ちついたムードに整えてくれます。お仕事ルックにも向く色バランスです。
こちらのニットトップスは両脇にジップを配したタイプだから、裾の開き具合をお好みで決められます。ニットの編み地はローゲージで、程よいざっくり感があります。コンパクトなサイズはすっきりと上品なシルエットを演出。スカートでもパンツでも合わせやすいので、出番が多くなりそうです。
大胆でポジティブなアレンジが装いに取り入れられてきます。今シーンズは、意外感があるデザインニットトップスに注目が集まりそう。こちらのニットトップスの一番の工夫ポイントは首から肩に掛けてのゾーン。肩口に隙間があり、素肌が程よくのぞく仕掛け。切り込まれた「スリット」がアクセントになっています。
タートルネックとオフショルダーを組み合わさったようなデザインが生きて、伸びやかなネック周りを演出。オフショルダー風でありながらも、露出は少ないから、上品に着こなせます。オントレンドのサンドカラーに、白のボリューミーなスカートなどと引き合わせるロマンティックサファリなコーディネートが新鮮です。
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秋冬から盛り上がりが続く「ざっくりニット」は春にかけても、人気が衰えそうにありません。アウターを羽織ることの多い秋冬とは違って、春から先は1枚で着る機会が増えます。だから、秋冬以上に着映えが肝心に。
こちらのワンピース風ロング丈ニットは、自然体の落ち感が備わっているので、力みを遠ざけた「エフォートレス」の風情が漂います。ウエストやヒップをゆるやかにカバーしてくれて、のどかな着姿に導きます。両サイドに深く切れ込ませたスリットが抜け感を添えました。春夏にも重宝するワイドパンツは、ゆったり感が響き合う好パートナーに。
Vネックが浅めで、横に開いているおかげで、首周りが伸びやかで、リラクシングな着心地を実現。春にふさわしい、のどかな雰囲気を帯びているので、着こなしのムードメーカーを任せたくなります。ブラウンがかったサンドカラーは穏やかなトーンで、ボトムスとの相性を選びません。ネイビーや黒といった、ダークカラーのボトムスとのマッチングで濃淡のコントラストを効かせる着方を試してみて。
ニットの風合いを引き出しやすいアイテムのひとつに、チュニックが挙げられます。自然な落ち感が備わっているので、縦長シルエットに見えやすい点でも重宝するアイテムです。タートルネックほどは襟が高くないボトルネックがシャープ感をさらに引き立てています。
着姿の表情が加わっているのは、複雑な編み地のおかげ。伸縮性に富むリブ編みを用いながら、それぞれのリブの詰まり具合を変えてあります。異なるピッチの組み合わせが着姿にリズムを添えました。ブラウン系の色味もリブ編みのコンビネーションが生み出す風合いを引き立てています。
シルエット面でのアレンジが多彩に施されているので、パッと見ただけでも、ユニークな印象を与えます。たとえば、袖口は幅がたっぷり。袖先も開いていて、手首が細く映ります。編み地を変えてあるので、袖先に視線が集まるこしらえ。1枚で着ても、アイキャッチーな袖の効果で平凡に見えません。スカートともパンツとも合わせやすい量感はオンとオフをまたいで重宝します。
ニットトップスを朗らかに見せるシルエットの代表格は、顔周りに動きを添えるオフタートルでしょう。首にピッタリ沿う、普通のタートルはいかにも冬のムードですが、首周りにゆとりのあるオフタートルは、春の伸びやか気分とマッチ。たっぷりしたニット生地が首下に遊ぶ風情は、リラクシングな雰囲気をもたらします。
春先はまだ冷え込みのきつい日が続くものですが、首周りに量感のあるオフタートルなら、寒気をさえぎってくれます。デザートカラーのニットはちょっとした「変化球」だから、着姿の鮮度が上がりそうです。正面の着丈が短い「前上がり」のイレギュラーヘム(裾)だから、シャツやカットソーを裾下にあふれさせる「丈違いレイヤード」が楽しめます。
春先はスプリングコートを重ねる着こなしにも組み込めます。ベージュ系の淡いトーンをアウター選んで、濃淡のコントラストを効かせて。濃さの異なるサンドカラーのコンビネーションは春らしい穏やかなムードに整えられます。
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(c)Rie Miyata
サンドカラーは全体を無地で整えると、やさしげな雰囲気にまとまります。一方、ボトムスにあでやか柄を迎えて、表情を深くする合わせ方も使いこなしたいところ。この春夏に人気を博しそうな、マルチカラーの花柄ワイドパンツは、申し分のない華やかさ。落ち着いたサンドカラーのトップスに、どこかノスタルジックなムードも添えてくれました。サンドカラーのおかげで、鮮やか柄のパンツも大人っぽい着姿にまとまっています。
中東やアフリカの雰囲気が春夏の装いに新風を吹き込ませそうな気配が強まっています。ナチュラルトーンのサンドカラーは一足早く、新テイストを取り込むのに格好の新色。お仕事ルックにもなじませやすいから、この春はサンドカラーのニットで新トレンドを楽しんでみてはいかがでしょう。
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