Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
これから春本番に向けて揃えておきたいのは、肌寒い日にも重宝するアウターです。春先は冷え込みがきつい日も多いものです。だから、第一候補はロングアウター。今季の新顔でもあるアウトドア系アウターをはじめ、進化系トレンチ、注目のテーラード、そしてリラックス系など、春ルックに役立つアイテムと着こなしをご紹介しましょう。
この春、イチオシのアウターがアウトドア気分を帯びたタイプ。今までの女性のワードローブになかったタイプだから、装いの鮮度を一気にアップしてくれます。
トレンドキーワードで注目されている「シーンフリー」。スポーツやアウトドアなど、街中とは「場違い」だったテイストをあえて街着に取りいれることです。機能性を感じさせるアイテムが目新しさを呼び込んでくれます。
こちらのナイロンモッズコートは羽織ったときのフォルムがふわっとして軽やか。ストレスフリーの着心地に加え、ミリタリーに原点を持つモッズコートならではのアクティブな印象がクールでスタイリッシュです。
上質なタフタ素材で仕立ててあるので、ほのかな光沢感があり、エレガントな表情。本来のモッズコートほどにはミリタリーっぽくない分、着て行ける場面を選びません。
袖付きのライナー(取り外しできる裏地)のおかげで、しっかりしたぬくもりが得られます。しわになりにくいから、タフに着こなせます。天気が不安定な日も安心して着て行けそうな頼もしいアウターは、毎日身につけたくなります。
上と同じモッズコートで色違いのベージュタイプはやわらかい表情を印象づけてくれます。春らしい穏やかなムードを醸し出すので、きれいめな大人カジュアルコーディネートにぴったりです。
同系色のチノ系ワイドパンツで合わせれば、ニアトーンのやさしげコーデに整えられます。アースカラーは2019年春夏のトレンドにもなっているので、このような色合わせで取り入れたいものです。
アウトドア系のライトアウターにはヒール靴を合わせて、雰囲気をミックスすると、こなれ感が出ます。フェミニンなワンピースやスカートともなじむので、相性を試してみてください。シャツにタイトスカート、パンプスというオフィスルックの上から、さらっと羽織っても決まります。
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トレンチはもともと軍用だけに、やや硬い印象がありますが、気張って見せないためには、しなやかにすっきりと着こなすのがおすすめです。このようにフォルムがカッチリしすぎていない、シングルフロントのタイプであれば、やわらかい雰囲気で着こなしやすくなります。
落ち感のあるシルエットが、自然体の縦長イメージを描き出してくれます。そんなに寒くない日は前を開けて、トップスやパンツをのぞかせると、すっきりした着映えに。逆に、前を全部閉じて、襟元にスカーフを巻き、シャツ襟のように見せるのと、クラシカルでエレガントなたたずまいに仕上がります。
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トレンドの風向きが少し変わりつつあります。これまではラフなストリート風味が勢いづいていましたが、今春夏からは揺り戻しが起きて、端正で正統派の装いが盛り上がりそうな気配です。象徴的なのが英国紳士風の仕立てを指す「テーラード」の再評価。テーラードジャケットのようなきちんとしたフォルムが脚光を浴びています。
テーラードの「きちんと感」を生かしながらも、堅苦しくない見え具合に着こなすしなやかコーデが今の流儀。テーラード風の雰囲気を醸し出すコートは、トレンド感を程よく写し込みやすいアイテムト言えます。
量感や防寒性が適度だから、春だけでなく、真夏以外、ほとんどオールシーズンで使える便利なアイテム。カジュアルなデニムに合わせても、きれいに決まるので、着回しのバリエーションが豊富。普段着コーデに重ねるだけで、ルーズさを遠ざけてくれそうです。
テーラードコート SALE PRICE
素材の上質感とリラックスした気分を兼ね備えたコートは自在に着こなしやすくなります。紳士服のシンボル的なツイード生地も、ローブのようなゆったりフォルムと組み合わせれば、きちんと感とのどかさが同居する装いに仕上がります。
ニュアンスのある色あいだから、出番が多くなりそう。裁ち切りの仕立ては、気張りすぎない風情を演出。大人っぽくまとえます。おそろいのパンツを合わせれば、トレンドのセットアップコーデに整います。
肩のラインを落としたおかげで、肩ひじ張らない印象が生まれました。すとんとした、縦落ちイメージのシルエットは細感も引き出しています。格上素材の代名詞的なツイードなのに、普段着使いもしやすいという、頼りがいのある重宝アウターです。
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(c)Rie Miyata
定番ボトムスに仲間入りした感じのあるワイドパンツを、通年で着回すには、ロングアウターが便利です。ロング×ロングの二重奏が縦長イメージを増幅。羽織り物に長さがあると、ワイドパンツと合わせてもより細長く見えます。上下ともに締め付け感がない分、楽ちんな着心地で過ごしやすいのもうれしいところです。
春アウターは縦長シルエットを引き出しやすいのに加え、程よい温度調節や、自然な体型カバー、穏やかなムード演出など、利点がいっぱい。品格や朗らかさ、やさしげ感など、様々な表情を、素材や色などで印象づけられるメリットもあります。
着る際に意識したいのは、冬コートのような重たさを遠ざけ、力みを感じさせない「エフォートレス」のムードで、さらりと羽織る点です。ボトムスもワイドパンツやデニム、スカートなど、手持ちアイテムと組み合わせやすいから、コーデに苦労しません。この春ルックの主役ピースに迎えてみてはいかがでしょう。
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