Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
春からの装いで、頼れる味方になってくれるウェアの筆頭格にチュニックが挙げられます。穏やかなたたずまいに仕上がるうえ、楽ちんな着心地、さらに自然な体型カバーという持ち味があるから、使い勝手は抜群。昔と違って、今のチュニックはワンピース風にも着こなしやすいので、オンでもオフでも手放せません。そんな進化系チュニックを手に入れて、自分流スタイリングの幅を広げてみませんか。
Tシャツ風のチュニックは気負いのないムードが伸びやかなイメージを呼び込んでくれます。素肌に付かず離れずのボクシーなシルエットがここちよさげ。
ボディラインを拾いすぎない輪郭が性別を感じさせないジェンダーレスな雰囲気を醸し出しています。フェミニンなマキシ丈のプリーツスカートと合わせた「ロング×ロング」のコーディネートが縦落ち感を増幅しています。
〈BARENA〉チュニックT ¥22,000(+tax)
チェックプリーツスカート ¥24,000(+tax) BUY
チュニックは組み合わせるボトムス次第で、自在に表情を変えるから、着回しに重宝します。たとえば、先ほどと同じチュニックTも、リブニットのレギンスと引き合わせれば、すっきりした印象が強まります。
色のコントラストを強めて、脚の細感を引き出すアレンジも試せます。レギンスを少したるませると、脚の形がくっきり出すぎません。フラットサンダルで伸びやかな足元を演出して。
〈BARENA〉チュニックT ¥22,000(+tax)
以前のチュニックには、普段使いのイメージがありましたが、シャツチュニックはお仕事ルックにも使いやすい「きちんと感」を帯びたウェアです。こちらは背中側に上から下までボタンが配してあり、背後からの視線も受け止めます。
いわゆるチュニックらしくない、ドレッシーな着映え。胸元からの切り替えがウエスト位置を高く見せてくれます。深めにスリットの入ったタイトスカートと、サイドスリットが響き合って、シャープな見え具合に。
サイドスリットを生かして、正面側だけをウエストインして、前後の丈違いを印象づけるアレンジも選べます。チュニックの上からベルトでウエストマークするコーデも表情を様変わりさせてくれそうです。
ロングチュニックブラウス ¥18,000(+tax)
着丈があまり長くないチュニックは、ノーカラー(襟なし)のシャツのようにまとえます。癖が強くない分、着回しやすいアイテムです。
オーバーサイズ気味のフォルムは、メンズのTシャツをあえて着ているかのような着余り感がかえってキュート。ストンとしたシルエットのおかげで、腰やヒップ周りが気になりにくいのもうれしいところ。ジェンダーレスなムードも感じさせます。
背中側の着丈が正面側よりも少し長めになっているので、縦長イメージが引き立つ仕掛けです。
ベーシックロンT ¥11,000(+tax)
2019年春夏シーズンの新トレンドとして有力視されているのが、デザート(砂漠)ムードの装い。中東やアフリカのイメージも帯びるチュニックは、新トレンドを手軽に取り入れやすいアイテムでもあります。
とろみが印象的なのチュニックブラウスは、ドレープの風合いがきれい。シンプルでありながら、優美なシルエットは、1枚でノンシャランと着ても、しっかり様になります。ピンクベージュのカラートーンがやさしげなキャラクターを寄り添わせています。伸びやかなチュニックのフォルムとも好相性。旅のムードを宿した帽子やシューズを引き合わせて、都会派ノマド(遊牧民)風にも着こなせます。
チュニックブラウス ¥15,000(+tax)
ピンクベージュと色違いの白も用意されています。白のボトムスで合わせて、軽やかな着映えのホワイトルックにまとめるのも、上手なコーデ。ジャケットのセットアップよりも、ずっとさわやかで元気な装いに仕上がります。
1枚で着るほかにも、このようにバルキーなざっくりニットのカーディガンを羽織る春レイヤードも組み立てられます。すっきりした見え具合のチュニックと、質感の異なるニットカーデが全体の表情を深くしてくれそう。着丈の違いを生かして、背中側にチュニック裾をあふれさせて、長短レイヤードを組めば、縦に長いシルエットを強調できます。
チュニックブラウス ¥15,000(+tax)
コットンケーブルカーディガン ¥24,000(+tax)
素材や色・柄に工夫を施したチュニックは装いに新鮮な味わいを加えてくれます。スカーフに使用されるシルクツイル素材で仕立てたチュニックブラウスは静かなつや感を帯びていて、ドレッシーにもまといやすくなっています。
ゆったりしたオーバーサイズのシルエットだから、ドレープがきれいに映ります。小さめの幾何学柄が着姿に動きを添えています。
裾のスリットを生かして、裾を結んで、こなれた風情に。人気が続く、前後や左右で不ぞろいに見せる「アシンメトリー」のアクセントになってくれます。結び目(ノット)の演出も19年春夏のトレンドディテールです。
逆に、裾を結ばないで着ると、裾広がりのきれいな「Aライン」のシルエットを描き出します。のどかなサイズ感が引き立つ着方。体型カバーの効果も一段と強まりそう。
〈TWINS FLORENCE〉タックロングスカート ¥51,000(+tax)
(c)Rie Miyata
落ち感のあるチュニックに、細身のパンツで合わせて、すっきりした着映えに。ドレープの入ったチュニックは、真っ赤な色使いがブラウンパンツとマッチ。トレンドのサンドカラーがレッドチュニックを引き立てています。袖口のスリットは腕をほっそり見せる効果を発揮。斜めに流れ落ちるようなシルエットもスレンダー感を引き出しています。
チュニックはバリエーションが広がって、着こなしの選択肢も豊かに。楽ちんな着心地は春からのアクティブな気分にぴったり。ほっそり見える縦長フォルムは、薄着になっていく時季に頼りがいがあります。着て行くシーンを選ばない新チュニックは、ポジティブ気分のお出かけに背中を押してくれそうです。
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