Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
ニューヨーク発のバッグブランド「VASIC(ヴァジック)」は大きなノット(結び目)が目印的ディテールの「Bond(ボンド)」シリーズでおなじみです。フォルムはいわゆる巾着タイプですが、ナチュラルな丸みを帯びているのに加え、気品が漂うシルエットで、日本でも大ヒット。一部のタイプや色は入手困難の「幻バッグ」になっています。
NY在住のブランドディレクターは日本人なので、日本人女性の体型にしっくりなじむデザインに仕上がっています。金具をほとんど見せない工夫は、着こなしを邪魔しません。傷つきにくいシュリンクレザーを選んでいるので、お仕事使いもOK。「My Standard Bag」をテーマに据えているだけあって、シーンを選ばない、頼れる「相棒」になってくれます。
今回、ご紹介する「Bond Mini(ボンド ミニ)」は、本来の「Bond」より一回り小ぶりで、さらに使いやすさがアップ。シンプルでありつつ、エレガントな風情を漂わせ、それでいて大人の遊び心も宿しているという、理想的な欲張りバッグです。
持ち手部分を調節するだけで、ハンドバッグからショルダーバッグに様変わり。いつでも自在に2wayを使い分けられます。荷物の分量やその時の気分に合わせて、手軽にスイッチ。着こなしピースとしての表現力も2倍以上です。
魅力の多い「ボンド ミニ」だけに、実際のコーディネートに落とし込んだルックで、その実力を確かめていただきましょう。今回は2020年春夏の新作コレクションとなる「ボンド ミニ」を、「ガリャルダガランテ」のショップスタッフそれぞれがモデルになったおしゃれスナップでご紹介します。オンでもオフでも使える「どこでも感」や、自然体の「ナチュラル気品」など、「ボンド ミニ」ならではの持ち味を感じ取ってください。
「ボンド ミニ」のブラックは、出し入れ口の周りを縁取った白ステッチが上品な印象。程よいつやめきを帯びているので、装いにうるおいを添えてくれます。きれいな黒に品格が備わっているので、ボトムスは淡い色味を選んで、コントラストをくっきりさせて。
巻きスカート風のラップ式パンツは、ジェンダーレスな見え具合。ハイウエストが脚を長く見せてくれます。癖のない薄口のカラートーンは、黒系のバッグを重ねて、きれいなめりはりを出しやすくなっています。
ハイウエストの強みを生かすには、トップスの裾をしっかりウエストインして。色数を抑えれば、すっきりクリーンにまとまります。足元はローファーできちんと感を演出。オフの日でも品格を保ちやすい整え方です。
【VASIC】Bond mini BLACK ¥37,000(+tax) DETAIL
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薄い紫系の「ライラック」は、トレンド入りが続いています。大人女性の間で人気が衰えないのは、くどくないトーンと静かな気品が同居しているから。「ボンド ミニ」のライラックタイプは、革の質感ともなじんで、着こなしの出しゃばらないアクセントになってくれます。
せっかくのライラックカラーを生かすコーディネートを意識しましょう。むしろ「バッグが主役」というぐらいの組み立ても可能に。キャメルカラーのざっくりニットとワイドパンツでトーンをそろえ、バッグの「差し色」効果を引き立てました。
バッグに品格が備わっている分、服で遊べるのも、「ボンド ミニ」のよさ。シャツはリラクシングに裾をウエストアウトして、ニットトップスとの「丈違いレイヤード」に。どちらも白いシャツ裾とブーツがクリーンに響き合う仕掛け。服がフレンドリーでも、バッグが大人感をキープしてくれています。
【VASIC】 Bond mini LILAC ¥37,000(+tax) BUY
ノーブルな雰囲気を醸し出すなら、やはりアイボリーがキーカラーになります。真っ白とも違う、穏やかで自然なホワイト感が装いにクリーンネスや高潔さをまとわせてくれそう。着こなしではアイボリーを「目立たせる」「目立たせない」の2パターンを使い分けるのが賢いアレンジです。
「ボンド ミニ」のアイボリーは、きれいめの着こなしにしっくりなじみます。丸みを帯びた、愛らしいフォルムともマッチ。白のバッグでも、この形ならデイリーに取り入れやすいでしょう。
バッグに白系カラーを迎えると、装い全体が明るく映るのもうれしいところ。落ち感のきれいなカットソードレスに添えて、気張らない自然体のたたずまいに。さめたブルーや淡いグレーなどの色味は、アイボリーと好相性。互いを引き立て合ってくれます。
足元はブーツで引き締めるのが今季らしい合わせ方です。「ボンド ミニ」の持ち手は少しだけ長めなので、手から提げて、縦落ちイメージを印象づけやすくなっています。
【VASIC】Bond mini IVORY ¥37,000(+tax) DETAIL
※ご好評につきWEB販売分は完売となりました。
※丸の内店・広島パルコ店・名古屋タカシマヤ ゲートタワーモール店・池袋東武店にてオーダー会を開催いたします。
詳しい日程はこちらからご覧ください。
ネイビーのバッグは装いのムードをシャープに引き締める働きがあります。角張ったタイプはキリッとしすぎるお仕事テイストが玉にきず。でも、ラウンドを帯びた「ボンド ミニ」なら、好みのスタイリングに溶け込んでくれます。
ネイビーの「ボンド ミニ」は、シックとクールを兼ね備えているから、出番を選びません。たとえば、デニムシャツをミリタリー由来のCPOジャケット風に羽織った、旬のコーデにも、静かな落ち着きをもたらしました。
同じダークトーン系でも質感や色味のことなるアイテムと組み合わせれば、表情が深くなります。黒のタートルネック、コーデュロイのパンツ、マニッシュなポインテッドトゥ靴は、どれも「ボンド ミニ」と響き合う色調・風合いだから、きれいなハーモニーが生まれました。
デニムシャツをジャケットに差し替えたり、パンツを膝丈タイトスカートにスイッチしたりするだけで、着姿のムードが様変わり。きちんと感を重視したお仕事コーデにも、朗らかなフォルムの「ボンド ミニ」はソフトな雰囲気を寄り添わせてくれるはずです。
【VASIC】 Bond mini NAVY ¥37,000(+tax) BUY
グレー系のアッシュは、コーデに苦労しないオールマイティーな色です。とりわけ、黒、白を相棒に迎えたトリコロール(3色使い)コーデは、オンとオフの境目を越えて、自在にまといやすいカラーコンビネーションです。
カジュアルな装いにまとめたい日でも、アッシュの「ボンド ミニ」を軸に据えて、バランスを整えることができます。ラフなファッションと引き合わせても、大人っぽいニュアンスルックに仕上がるのは、「ボンド ミニ」のたたずまいならでは。ゆるめのエフォートレスなコーデに、バッグだけワンポイントで添えても、全体から浮かないどころか、きれいめタッチが加わって、かえってこなれたテイストに整います。
黒トップスや羽織り物に、アッシュの「ボンド ミニ」を斜めがけで重ねると、色のコントラストが際立ちます。バランスの取れたトリコロールは、お仕事ルックにも重宝します。その日の気分や場面次第で、黒アイテムを1点プラス、またはグレー系を1点投入という具合に増減して、印象をシフトできるのも、「基本3色ミックス」のよさです。
【VASIC】Bond mini ASH ¥37,000(+tax) DETAIL
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VASICのバッグは「ボンド ミニ」をはじめ、どんな雰囲気のスタイリングにもなじむところが大きな魅力です。バッグが主張しすぎない、でもシンプルになりすぎないという、絶妙な立ち位置は、多くのおしゃれ上手が私物用に買い求める理由。
近づく2020年春夏シーズンでは、飾り立てない「ミニマル」に、ひとさじのひねりやアレンジを加える装いが盛り上がりそうな気配。VASICはそんな気分を先取りするかのよう。服を着た後、最後に持つだけで、ぐっと気持ちがあがる「ボンド ミニ」。今回も早い者勝ちです。
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