FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.114
FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.114
メンズのスラックスを思わせる、ストンとした縦落ちシルエットの「マニッシュパンツ」は使い勝手のよいボトムスです。ストレートなフォルムは主張が強すぎないから、シャツやジャケットと自然になじんでくれます。フェミニンなトップスと合わせれば、上下でムードが正反対になるから、手軽にジェンダーレスな装いに。お仕事ルックだけでなく、オフの日も活躍。トップスとの組み合わせ方次第で、自在にムードを変えられます。今回はこのユーティリティーなマニッシュパンツのマルチな着こなしパターンを提案します。
「ガリャルダガランテ」から登場したのは、さわやかなドライタッチのスラックスパンツ。素肌に張り付かないポリエステル100%で仕立ててあるので、快適な着用感です。
程よい「きちんと感」が備わっているのは、正面に施したセンタープレスのおかげ。「折り目正しい」という言葉通りに、プリーツがスッキリしたレッグラインを印象づけてくれます。
きれいめのフォルムなのに、ピンタックが入っているから、穿き心地が楽。レッグラインを拾わず、ゆとりがありつつ、縦長効果をしっかり発揮。ストレートのワイドシルエットは癖がなく、オールシーズンで着続けられます。
グレーとオフホワイトの2色から選べます。どちらもベーシックカラーで、使い勝手は上々。コットンチノにも似た質感はしなやかな脚さばきをサポート。ナチュラルな風合いも持ち味です。きちんと見えするのに、自宅での手洗いOKなので、ヘビーローテーションの期待にこたえてもらえます。
春夏シーズンにマニッシュパンツとコーディネートしたいアイテムが薄手のトップスです。シアー素材で仕立てたシャツはクールな印象のパンツに、ほんのりヌケ感を寄り添わせてくれます。
シアーシャツやブラウスは持っていても、シアー系のジャケットは持っていない方も多いのではないでしょうか。新感覚のアイテムなので、ワードローブに迎える価値大です。パンツのカッチリ感と対照的な印象の、センシュアルな風情が漂い、絶妙のミックスコーデに仕上がります。
シャツのようなライト感覚で羽織れるから、軽やかに着こなせて、パンツルックもさわやかに演出できます。暑い期間が年々、長くなる傾向が続いているので、夏場の装いにも重宝なアイテム。前を開けて、トップスをのぞかせれば、きれいな春夏レイヤードが決まります。色のコントラストを利かせるのが着こなしのコツです。
伸びやかな雰囲気のジャケットと、センタープレス入りのパンツが響き合って、こなれ感が生まれました。マニッシュパンツがシャープな印象を帯びているから、トップスや羽織り物は少しリラックスしたムードのタイプが好相性です。きれいめのシューズとバッグで夏のオフィスカジュアルコーデの仕上がりです。
【La nature linge】サテンバッククロスタンク ¥14,300
【CAROLINA SANTO DOMINGO】SALMA BAG ¥110,000
ボトムスにオーソドックスなパンツを迎えれば、トップスで「遊ぶ」余地が生まれます。マニッシュパンツの場合、エレガントな表情のブラウスが格好の選択肢に。上下で控えめなジェンダーミックスに整えるスタイリングです。
両袖にたっぷりのボリュームを持たせた「袖コンシャス」のブラウスは、すっきりシルエットのマニッシュパンツを引き立ててくれます。「ロマンティック×クール」の甘辛コーデに整うのもこのマッチングのいいところです。
シンプルめのマニッシュパンツだからこそ、思いっきり華やかな袖コンシャスと合わせても落ち着いて見えるわけです。ブラウスの裾を前だけウエストタックインしつつ、少したるませると、パンツのおかげで腰から下がいっそうシャープに映ります。
「袖コンシャス」のトップスは風通しがいいから、これからの季節にぴったり。優美な見た目に涼やかな着心地が叶います。袖にふくらみがあるおかげで、腕が華奢に見えて、マニッシュパンツのセンタープレスがレッグラインを伸びやかに見せてくれます。マニッシュパンツとシャツとのコーデがマンネリ気味になったら、このようなドラマティックなブラウスと合わせて、めりはりコーデを楽しんでみてください。
【Giarite】BRILLY BAG ¥47,300
きれいめに着こなすには、セットアップのトップスが絶好のパートナー。パンツと同素材のプルオーバーベスト(ジレ)は上下でまとうと、ドレッシーな印象に。クリーンなたたずまいとのどかな落ち感が大人にふさわしい夏コーデに導きます。
深めのVネックは、多彩なレイヤードに役立ちます。内側に着るシャツやカットソーの雰囲気次第で遊べます。一般的なベストより肩幅をやや細くしてあるから、華奢見えがかないました。鋭角的にカットされたVゾーンもスレンダー感を引き出しています。
キリッとした縦長カッティングが生きて、ノースリーブでも「きちんと見え」するのがこのベストのいいところ。マニッシュパンツとのセットアップで着ると、凜とした雰囲気に。スーツ風にも映るから、お仕事シーンにも役立ちそうです。ポケットにはちゃんと小物が収まります。
着丈が長めのベストはレギンスで合わせて、チュニック感覚でも着こなせそう。単品でもマルチに着回せます。同素材のマニッシュパンツと合わせれば、ストンとした落ち感が際立つ「大人かっこいい」スタイルに。ヒップとお腹周りをきれいにカムフラージュしながら粋なパンツコーデが仕上がります。
マニッシュパンツはワイドパンツよりもキリッと引き締まって見えて、スリムパンツよりはゆとりがあるという、脚線に付かず離れずのグッドバランスが魅力です。着心地は楽なのに、センタープレスで「きちんと」見え。オンはジャケットと、オフはボーダーTシャツなどと交わらせて、様々なシーンでマルチに着こなせます。薄着になっていくこれからの季節にきちんと感のあるボトムスは大人ワードローブにぴったり。春夏にこそ出番が多くなる優秀アイテムです。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。