FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.115
FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.115
ほのかな透け加減が魅力のシアー素材で仕立てたトップスは春夏をさわやかに過ごしやすいアイテムです。トレンド色がさらに強まって、バリエーションは一段と幅広くなってきました。人気が続く理由は、センシュアル(官能的)な装いが勢いづいているのに加え、身体をポジティブにとらえるおしゃれマインドが広がっているから。ボディラインをオブラートでくるむようにほんのりと包み込みながら、素肌をすっかり隠してしまうのではなく、上品に控えめに輪郭をぼかすには、シアー素材がうってつけ。自然な抜け感も醸し出せます。
トレンドのシアー素材を大人スタイルに落とし込んだ「ガリャルダガランテ」の新作に注目してみます。シアー生地を使った、クルーネックのニットトップスです。Tシャツでおなじみのクルーネックですが、うっすらと透けるシアーニットで仕立ててあるから、上品なムードに。普通のTシャツとは違って、ドレープを生かした「付かず離れず」の絶妙シルエット。シアーニットは見た目も清涼感があるので、これからのシーズンにもぴったり。タンクトップやベアトップに重ねて着ることによって、好みの透け見え加減を選べる重宝アイテムです。今回はこちらのアイテムを、着こなしパターンを交えてご案内します。
Tシャツ風のクルーニットは春夏に気軽に着られて楽ちんです。カジュアルな綿のTシャツとは異なり、こちらは上質なシアー素材で仕立ててあるので、ノーブル感が漂います。楽な着心地で上品さもキープできる頼もしい1着です。
色は涼やかなライム系のグリーンと、着こなしに悩まない明るいライトグレーの2色から選べます。デニムパンツにもスカートにもなじませやすいカラートーンです。さわやかに着られて、肌離れもよいのは、ポリエステル72%、麻28%というグッドバランスのおかげ。麻のナチュラルな風合いが生きて、透け加減も程々。自然なドレープがエレガンスを薫らせてくれます。
ほのかに透けるニット・プルオーバーはなかなか見当たらないアイテムです。素肌感が出すぎない適度なシアー度だから、優美なムードのきれいめ大人カジュアル風に着こなせます。
二の腕からひじにかけてはいくらかボリュームを持たせつつ、袖口は絞った「袖コンシャス」なシルエット。腕の細見えがかなう仕掛けです。袖口と裾が丸みを帯びていて、柔和なたたずまい。トップスの裾をボトムスにウエストインして着る場合は、少したるませると、さらにやわらかい表情が加わります。
シアーな質感が備わっているので、ボトムスはデイリーなタイプでも、手抜きに見えません。たとえば、デニムパンツで合わせれば、かえってこなれた印象に。両袖に量感があるから、タイトスカートのような細身のボトムスで合わせると、腰から下のスレンダー感が際立ちます。
人気が続くダメージデニムはトレンドアイテムだから、取り入れてみたいところですが、大人っぽく着こなすには、テクニックが必要です。ポイントはトップス。普通のTシャツで合わせると、カジュアルに見えすぎ。白シャツではメンズ色が濃くなりすぎます。でも、ほんのりフェミニンなシアートップスなら、ダメージデニムに別のムードを寄り添わせてくれます。
ブラウスのような上品テイストを帯びながら、実はニットならではの楽な着心地。いいとこ取りの極みです。Tシャツのような気取らない雰囲気で着こなせるのに、ゆったりしたドレープや両袖のボリュームなどに表情があるから、おしゃれ感もしっかり。ボトムスとの相性を選ばない点も、オフの日に重宝する理由です。
やさしげムードやセンシュアル、抜け感といった、今の主なトレンド要素を兼ね備えているので、幅広い場面でほぼオールマイティーにまとえます。トップスに適度な主張があるから、ボトムスはシンプルめでもOKです。
ワイドデニム ¥24,200
【CAROLINA SANTO DOMINGO】SALMA バッグ ¥110,000
正面にセンタープレスを利かせたマニッシュ顔のパンツはお仕事ルックに重宝します。プレーンなタイプはオフィスの雰囲気にはピッタリですが、普段使いではちょっとかしこまって見えがち。だから、トップスの力を借りたくなります。
シアー素材のクルーネック・ニットをむかえれば、カッコイイパンツをもっといろいろなシーンで穿きこなせます。控えめな透け加減が「きちんと顔」のパンツとの好バランスを発揮。ヘルシーセンシュアルな雰囲気がプラスされて、全体がこなれて映ります。
パンツスーツのボトムスだけを、オフの日に「ばらし使い」する場合もシアートップスが役に立ちます。むしろシンプルなスーツ仕様のほうが互いを引き立て合うコンビネーション効果を発揮。スーツ用スカートにもなじむので、手持ちのスーツ用ボトムスを休日にマルチ使いしやすくなります。ぜひ試してみてください。
透ける感じが気になる場合は、内側にベアトップやチューブトップを1枚着ると、デコルテ部分だけがほんのり透ける見え具合に収まります。タンクトップやホルターネックなど、インナーの選び方次第で、スポーティにもヘルシーにも仕上げやすいので、自在に雰囲気をアレンジできそうです。逆に上からジレを重ねて、袖だけ透けさせると、ぐっとこなれたジレコーデが完成します。
【TONY BIANCO】CYNTHIA サンダル ¥34,100
気温が不安定な時期を迎えるだけに、重ね着に向くシアークルーニットは頼もしい存在です。デニムパンツやマニッシュパンツのムードチェンジにも効果的だから、取り入れるメリットが大きいアイテムです。今年らしいコーディネートに整えやすい点でも、ワードローブに迎えておいて損はありません。透けすぎない程度に、ほんのりシアーが叶うのもこのニットの良いところ。手持ちのボトムスをたくさんのバリエーションで着回せるお役立ちツールとして活用してみませんか。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。