FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.118
FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.118
かぎ針で手編みする「クロシェニット」が世界のおしゃれ好きをとりこにしています。人気の理由は手仕事ならではの風合い。なかでもカーディガンは使い勝手に優れるから、夏にも大活躍。薄着になるサマールックは印象が弱くなりがちですが、クロシェ編みのニットなら、品格が備わります。ゆるめの編み地からは風が吹き通って、着心地も爽快。ボヘミアンな印象も持ち味です。今回は「ガリャルダガランテ」の新作クロシェ編みニットアイテムをご紹介します。
フランス語の「crochet」はそのまま「かぎ針」という意味で、かぎ針で編んだニットウエアも指します。いわゆる「ニット」には、棒針編みや機械編みなど、いろいろな技法がありますが、手で編むクロシェはざっくりとした粗めの編み地が魅力です。
人気が広がっている理由には、サステナビリティ意識の高まりもあります。大量生産ではないので、環境フレンドリーな点が支持されているようです。手仕事が生み出すレトロな風情は、よい品を長く使う「タイムレス」の考え方ともなじみます。自然なぬくもりやハンドクラフト由来の高級感は装いを穏やかに格上げしてくれます。
クロシェ編みのウエアはいろいろありますが、おすすめはカーディガンです。この編み方ならではのやさしげな風合いが、夏コーディネートに立体感とクラフト感をプラスしてくれます。
今回の素材は肌当たりのソフトなコットン100%。綿はクロシェ編みとの相性がよく、穏やかな質感が引き立ちます。自宅で手洗いOKな、うれしいイージーケア。汗ばむシーズンのヘビーローテーションを可能にします。色はオフホワイトとブラックの2色から選べます。ぬくもりを帯びた、ハンドメイドの風合いがそれぞれの色味をいっそう味わい深く見せてくれます。
編み地の手仕事感はクロシェ編みの大きな魅力です。こちらはパッチワークをイメージした編み柄。手編みムードがさらに濃くなっています。背中側もすべてがクロシェ編みなので、後ろからの視線も受け止めてくれます。内側に着たアイテムとの組み合わせ次第で、狙った透け加減を選べるから、着回しレパートリーは多彩です。
一般的なカーディガンはゆるっとのどかな表情が持ち味。こちらは襟が備わったシャツ形カーディガンなので、程よい「きちんと感」が漂います。出番を選ばず、自在に着こなしやすいタイプです。
今回は同じ素材・風合いのキャミソールがセットで用意されています。組み合わせてアンサンブルで着ると、ぐっと大人感がアップ。上半身にきれいなコンビネーションが生まれるので、ボトムスはシンプルで済むのもうれしいところです。
カーディガン、キャミソールはどれも1点1点、手編みで仕上げています。だから、すべての編み地やサイズ感が少しずつ異なります。言い方を変えれば、全部がオンリーワン仕様。長く着続けるうちに愛着がわくフレンドリーなアイテムです。
カーディガンに品格が宿っているから、ボトムスはむしろデイリーなタイプを合わせてみたくなります。やはりジーンズとの合わせは格別のなじみ加減。穏やかなカーディガンとアクティブなデニムパンツとのマリアージュがこなれ感を引き出してくれます。
のどかな景色のカーディガンだから、ボヘミアン気分が漂います。ダメージ加工やウォッシュ加工を施したジーンズを選べば、70年代ムードやグランジテイストもまとえそう。ネックレスを重ねづけしたり、レディーライクな靴を添えたりして、きれいめにアレンジするのが着こなしのポイントです。
カーディガンのおかげで、気になりやすい肩や腕もカバー。肩や腕は涼しく、素肌は隠せるという好都合のコンビネーションです。裾の部分は編み目のサイズを変えてあり、上半身にめりはりが出る仕掛け。自然なほっそりイメージも引き出されています。
カーディガンを重ねているのは、同じシリーズのクロシェキャミ。アンサンブルで着ると、リュクスな雰囲気に仕上がります。クロシェ編みならではのハンドクラフト感が備わっているから、格上げや高見えが叶います。ジーンズと合わせれば、単調に見えやすいサマールックにめりはりを上乗せするスタイリングが完成します。
【ORNER】レザーネックレス ¥13,200
【CAROLINA SANTO DOMINGO】バッグ ¥107,800
この「クロシェ編み姉妹(カーディガンとキャミソール)」にはいいところがたくさんあります。たとえば、手仕事技の丁寧テイスト、レースとは異なる立体感、穏やかな雰囲気などが挙げられます。ボトムスの選び方次第で、さらにいろいろな表情を引き出せます。
折り目正しくセンタープレスを利かせたハンサムなパンツとも好相性を発揮します。やさしげムードとマニッシュテイストが響き合う関係に。上下で色をはっきり分けると、いっそうコントラストが際立ちます。
クラフト感が強いクロシェ編みニットをアンサンブルで着れば、クラス感がさらに増すので、きちんとした場所にも対応できそう。マニッシュなパンツとの組み合わせなら、夏場のビジネスや会合のシーンに涼やかな上品さを呼び込めます。
【EO】ネックレス/別注 ¥29,700
真夏のボトムスはショートパンツで爽やかに過ごしたいものです。クロシェ編みのアンサンブルと引き合わせれば、ボーイッシュなショートパンツがフェミニンな装いに様変わりします。着こなしで意識したいのは、色数を抑えるスタイリング。シックさとヘルシー感が同居するコーデにまとまります。
クロシェ編みのカーディガンに、別素材のショートパンツを合わせて、異素材ミックスのコーデに。縦落ち感も強まる着方です。手編みニットのクラフト感がルック全体を上質な印象に導きます。脚がかなり露出しているのに、視線が上に誘導されて、全体のバランスが整うスタイリングです。
グルカサンダルのような旬のシューズを迎えれば、足元にアクセントを生んでくれます。一方で、ショートパンツのイメージが出すぎないよう、エレガントな靴を選ぶと、クロシェ編みアイテムとの相乗効果が発揮して、レディー感が高まります。
【CAROLINA SANTO DOMINGO】バッグ ¥107,800
キャミソールとカーディガンに加え、実は同じシリーズのパンツも用意されています。もちろん、パンツも同じクロシェ編み。写真のように「3点セット」でまとえば、まるでドレスのような気品を帯びた装いに。オフホワイトとブラックを混ぜるアレンジはシックなモノトーンルックにまとまります。
一種のスリーピースなのに、ちっともかしこまって見えず、むしろリラクシングなたたずまい。目が詰まりすぎていない編み地のおかげで、気負わない伸びやかさが生まれました。夏の休日をくつろいで過ごす日にぴったり。自然体の気分でありながら、しっかり節度や品格も保てる装いです。
クロシェ編みのパンツはかなりレアなボトムス。こちらは本体が綿100%で、裏地にはポリエステル80%、綿20%の混紡を用いているから、夏でも爽やかな穿き心地。シルエットはワイドめで、素肌に張り付きません。ヒップ下まで裏地を添えてあるので、透ける心配がない安心デザインです。
【ORNER】レザーネックレス ¥13,200
【CAROLINA SANTO DOMINGO】バッグ ¥107,800
【GABRIELA COLL GARMENTS】バブーシュサンダル ¥69,300
かぎ針を使って手仕事で編み上げたクロシェの丁寧な風合いは、サマールックに不足しがちな上質感を寄り添わせてくれます。ナチュラルな質感を素肌で感じられるのも、夏にうれしいメリット。レースやメッシュのアイテムに比べ、手仕事技のよさを感じやすいクロシェ編みカーディガンは、トレンドに関係ないタイムレスなムードも醸し出してくれます。涼やかで上品なクロシェ編みをキーアイテムとして夏の装いに迎えてみませんか。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。