Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
家ごもりが続く状況だからこそまといたいのは、心を穏やかに整えてくれるリラクシングな装いです。おうちで過ごすからといって、ずっと部屋着姿では、かえって気分があがらないもの。でも、ゆったりフォルムで着心地が楽なのに、「きれい見え」するトップスを選べば、自然と気持ちが弾みそう。家でも外でも楽ちんでおしゃれ見えする、春の万能系トップスが「ガリャルダガランテ」にそろいました。
「サステナビリティー」という言葉を聞くことが増えてきました。特にファッションに関しては、今や最大のキーワードという位置づけです。土に還る天然素材を使い、地球にやさしい製法を選ぶ――。おしゃれを通して、社会貢献の輪に加わるのは、誇らしい気持ちになれる選択です。
サステナのいいところは、環境面だけではありません。安全な天然素材は、着る人の肌にも刺激を与えにくく、自然な風合いは心までほどいてくれそう。植物で染められた服は、穏やかでやわらかく、色味はヴィンテージ風のムードも帯びます。
ボタニカルダイ(植物染め)のオーバースウェットは、天然染料の色調がそのまま写し込まれているからナチュラル気分をまとえます。イエローはクルミの色素で染め、淡いピンクはアカネに由来。ほんのりした色調のペールトーンが優しげです。
一般的なスウェットトップスは裾がすぼまっていますが、こちらは裾を絞っていないので、自然な落ち感が生まれています。程よいドレープも備わっていて、くつろいだ気分で着こなせる、リラクシングなトップスです。
極端なオーバーサイズではありませんが、軽く肩が落ち気味のフォルムなので、エフォートレスなたたずまい。腰がすっぽり隠れる程度の着丈がある点も、のどかな着こなしに誘います。
ボタニカルダイオーバースウェット ¥15,000(+tax) BUY
【CAVERLEY】サンダル ¥30,000(+tax)
【BAGSINPROGRESS】バッグ ¥26,000(+tax)
ボールビーズロングネックレス ¥10,000(+tax) BUY
見るからに着心地よさげなスウェットトップスは本体がコットン100%。太めの糸で編み上げた、肉厚の生地だから、ボディにしんなりとフィット。ゆったりめのシルエットは伸びやかな着用感に導いてくれます。
タオルのように編んだ、パイル状のスウェット生地は、たっぷり空気を含んで、軽やか。上質なコットンならではのぬくもりや吸湿性があり、これから春夏にかけて汗ばむ日に着ても蒸れにくくなっています。
写真のようにロングネックレスを重ねて、ストリートリュクスな演出も選べます。スーパーロングのネックレスを使うと、縦長イメージが強まります。
ボタニカルダイオーバースウェット ¥15,000(+tax) BUY
ボタニカルダイスウェットスカート ¥15,000(+tax) BUY
ボールビーズロングネックレス ¥10,000(+tax) BUY
リラックスしたシルエットならではのゆとりを生かしたレイヤードがおすすめ。白タートルを選べば、首元にアクセントが生まれます。シャツに重ねて「きちんと感」をプラス。ボウタイブラウスとのレイヤードでは「レディライク」なムードが備わります。カットソーと組み合わせて、袖をたくし上げて、細感を引き出すレイヤード小技など様々なアレンジを楽しめます。
おそろい素材のスウェットスカートと組み合わせて、セットアップにまとめると、気負わない雰囲気と節度をわきまえたテイストを兼ね備えた着映えに。着ていくシーンを選ばない「ノーブルカジュアル」の装いに整います。
単品使いにも優れているので、手持ちのボトムスに応じて、全体の雰囲気を自在に変えられます。着こなしに悩まなくて済むマルチプレーヤーは新たにワードローブに迎え入れる価値がありそうです。
ボタニカルダイオーバースウェット ¥15,000(+tax) BUY
ボタニカルダイスウェットスカート ¥15,000(+tax) BUY
【FABIO RUSCONI】サンダル ¥27,000(+tax)
【A VACATION】DACHS バッグ/GATO ONYX ¥63,000(+tax) BUY
アメリカのテレビドラマを見ていると、性別に関係なく、自宅でくつろぐシーンでは、大学名のロゴ入りスウェットプルオーバーを着ています。締め付け感のない、ゆったりした量感のおかげで、のどかなプライベート気分が伝わってきます。
自分の出身大学や、スポーツで応援している大学の略称ロゴ入りスウェットを選ぶことが多いのですが、日本ではもっと自由に選べます。こちらのロゴは名門のミシガン州立大学のもの。クラシックなロゴがヴィンテージ感を漂わせてくれます。
メンズの古着ライクなロゴスウェットは、それだけでアメリカンなたたずまい。着丈が少し長めなので、自然な落ち感が出ています。袖がたっぷりしていて、ゆるっとたるませて着ると、フレンドリーなムードに。
手の甲までカバーできるぐらいの袖丈があるので、ムードを変えたいときは、少したくし上げて。ひじのあたりにたるみをつくると、腕の細感を引き出せ、アクティブでこなれた雰囲気に変化します。
外出が減って、他人の視線を意識した服を着る機会も減りました。逆に、自分にとって楽ちんな、着心地のよい「ルームウエア兼ご近所ウエア」は、今、欲しいアイテムに急浮上しています。
裾のリブ編み部分は、幅をしっかり取ってあるから、ウエストからヒップにかけてのアクセントになります。ボーイッシュでスポーティーなスウェットプルオーバーのパートナーには、デニムパンツに代表されるカジュアル系ボトムスで合わせるのが一般的なコーデですが、あえてフェミニンで軽やかなスカートで合わせたテイストミックスがおしゃれ感を高めます。
ボトムスを選ぶ際は、素材のコントラストでズレ感を際立たせると、味わいの深い着映えに仕上がります。こちらのフレアスカートはポリエステル100%で、シルクのような風合いを帯びているので、スウェットとの質感の違いがはっきり出ます。
おすすめのスタイリングは、正面の裾だけをウエストインして、残りはあふれさせるという、前後でアシンメトリーのアレンジ。横から見ると、裾が斜めに流れて、着こなしに起伏を生んでくれます。ボディを締めつけないゴム仕様のウエストだから、着心地が楽なうえ、自然な体型カバーも期待できるわけです。
【R JUBILEE】ロゴスウェット/M.S.U SWEAT(別注) ¥18,800(+tax) BUY
ワッシャーフレアスカート ¥19,000(+tax) BUY
【PELLICO】メッシュディープカットフラットシューズ ¥54,000(+tax) BUY
【MORMYRUS】レザーポシェット ¥12,000(+tax) BUY
冬から春への季節の変わり目に重宝するのは、ジャケット感覚でさらっと羽織って様になるカーディガン。この時季に着られるということは、秋口にも出番があるということ。つまり、ほぼオールシーズンで使えるわけで、さっそく迎え入れて上手に生かしたいタイミングです。
ケーブル編みのきれいな立体感が生まれたのは、4本の糸をより合わせた太めの糸を使用しているから。襟周り、身頃、袖で、それぞれに編み地が変えてあるので、表情が豊か。コットン60%、アクリル40%のバランスがよく、しなやかに体になじみます。色は淡いブルーと柔和なベージュから選べます。
オーバーサイズのシルエットだから、さっと気負いなく羽織れます。カットソーやシャツなど、トップスの選び方次第で、見た目の印象が様変わり。着回しパワーの高い万能アイテムです。
ニットならではの穏やかな質感も手伝って、今の時代に望まれる、リラックス気分や安心感を呼び込んでもらえます。袖が朗らかに膨らんだパフスリーブなので、ありきたりの春カーデとは「どこか違う」と思わせるシルエット。着やせ効果を引き出しやすいのも、隠れたメリットです。
自分の部屋で着ていると、指先までくるむ袖丈の効果もあって、何だか守ってもらえているかのような落ち着きが得られます。先にご紹介した大学ロゴ入りスウエットプルオーバーの、こちらは名門イェール大学バージョン。ロングネックレスやストラップサンダルと組み合わせたフェミニンミックスのコーデが大人の余裕を感じさせます。
コットンケーブルカーディガン ¥18,000(+tax) BUY
【R JUBILEE】ロゴTシャツ/YALE(別注) ¥11,000(+tax) BUY
【HERITANOVUM】エコスエードイージーパンツ ¥32,000(+tax) BUY
【PELLICO】スキニーストラップミュール ¥52,000(+tax) BUY
ボールビーズロングネックレス ¥10,000(+tax) BUY
ケーブルの起伏が装いにきれいな立体感を添えてくれるので、トップスはシンプルなTシャツの上から羽織るだけで絵になります。シャツやブラウスと重ねて「きちんと感」を添える「ずらし」のコーデも効果的。ラフなパンツでも、カーデに特別感が備わっているおかげで、むしろグッドバランスに整うのも頼もしいところです。
コットンケーブルカーディガン ¥18,000(+tax) BUY
【Personal Effects】Tシャツ ¥12,800(+tax)
【HERITANOVUM】エコスエードイージーパンツ ¥32,000(+tax) BUY
2種類の服を融け合わせたハイブリッド型のアイテムは、1枚で何通りにも着こなせる点で重宝感が高いウエアです。服の数を増やさずに済むのも、今のサステナビリティー意識になじみます。人気が続いているシャツジャケットはそうしたハイブリッドアイテムの一つ。こちらはワークシャツの風情を写し込んで、さらに着回しやすくアレンジしました。
オーガニックコットンで仕立てたワークシャツジャケットは、涼やかなオフホワイトと、ナチュラルテイストのグリーンの2色が用意されています。メンズライクでさわやかな雰囲気が漂うのは、縫い目のシワや、さっぱりした風合いを、あえて残してあるから。ワークシャツらしい、気取らない素材感は、ノンシャランとしたスタイリングに導いてくれます。
両胸に配したフラップ付きの張り出しポケットが機能的なアイテムであることを印象づけます。袖口のあしらいにも、マニッシュな気分が宿ります。
シャツジャケットの魅力は、正面のボタンを留めるか、前を開けてサラッと羽織るかといった使い分けが可能で、自在のスタイリングを組み立てられるところにあります。一般的なジャケットに比べて軽くて、サラッとまといやすいのも、シャツジャケットならではのメリット。シーズンレスで使い回せる優秀アイテムです。
【Personal Effects】Tシャツ ¥12,800(+tax)
【Pelleterno】サンダル ¥29,000(+tax)
今回は同じ素材のベルト付きワークパンツが用意されているから、セットアップとしても着こなせます。太めの共生地ベルトは全体に統一感を与えながらも、しっかりとウエストで主張。適度なタフ感を寄り添わせる効果も発揮。余った端を長く垂らす小技は、縦落ち感を際立たせます。
シャツジャケットにメンズ風味があるから、引き合わせる相棒アイテムにはフェミニン気分を寄り添わせて。ワークテイストの服を着るときは、靴がコーデの工夫ポイントになります。フェミニンな靴を迎えたジェンダーミックスの足元で、大人のエレガントカジュアルを薫らせて。
【CAVERLEY】サンダル ¥30,000(+tax)
レザーワンハンドルバッグ ¥20,000(+tax) BUY
季節や出番を選ばない「ユーティリティー(使い勝手のいい)系」アイテムの代表格に、アウター使いが可能な主役級カーディガンがあります。着丈がやや長めのミドル丈カーデは、パサッと羽織るだけで、格好がつくマジックツール。しかも、ボトムスも選ばないという、家ごもりが増えた今にうってつけのアイテムです。
首周りをすっきり見せてくれるVネックカーデはコットンを主体にしつつ、シルクを織り交ぜて、しなやかな質感に整えられています。正面身頃に配されたビッグポケットは便利に使えるのに加え、見た目上のアクセントにもなっています。色はネイビーとライトグレーという、着回しに向くベーシックカラーが用意されました。
編み地は少しだけ肉厚で、しっかりした着心地。それでいて重たく感じないのは、コットン主体の素材ミックスのおかげ。リラックスした気分でまとえるから、穏やかな気持ちで過ごしたいプライベートタイムにぴったり。それでいながら、だらけて見えにくいシルク混らしい素材感のおかげで、リモートワークや人に会う場面でも節度を保った装いに仕上がるお役立ちカーデです。
Vネックミドルカーディガン ¥24,000(+tax) BUY
【CAVERLEY】サンダル ¥30,000(+tax)
【NOMADIS】トートバッグXL/Arles SOLID ¥18,000(+tax) BUY
首周りをすっきり見せる効果を発揮するよう、Vネックの深さや角度が計算されています。実は背中側にもV字のネックラインが施されていて、後ろからの視線を受け止めてくれる「技あり」のカーデ。同じ素材で仕立てたニットパンツも用意されています。セットアップで着れば、きれいめの統一感が出て、着て行けるシーンがぐんと広がります。ヒップがすっぽり隠れる長め着丈で、ボディラインをしなやかに包んでくれるのもうれしいポイントです。
カーデの上からベルトを巻いて、ウエストのくびれを印象づけるメリハリコーデも楽しめます。サンダルやスニーカーを履き分けて、靴でムードを決めるスタイリングを春からは試してみて。
Vネックミドルカーディガン ¥24,000(+tax) BUY
【2.718】ストリングフラットサンダル ¥22,000(+tax) BUY
【A VACATION】BERRY ミニショルダーバッグ ¥39,000(+tax) BUY
(c)Rie Miyata
ゆったりしたポンチョにも見えるプルオーバーで、のどかさと格上感を両立させた装いです。チェック柄やストライプ柄など、複数のモチーフをコラージュした複雑系パターンがおしゃれ感を高めています。チェック柄のパンツと合わせて、さらにモチーフミックスを加速。ローファー風のヒール靴で、トラッドエレガンスな足元を演出。ニット帽でリラックス感を添え、サングラスでパンチを加えるという、入り組んだエフォートレスな着こなしはさすがの着こなしマスターです。
今のワードローブに迎えたくなるのは、アットホームでもアットワークでも伸びやかに着やすい服。常に緊張を強いられる日々が続くだけに、締め付け感のない、ゆったりした着心地を自然と体が求めます。リラックスした心持ちに導いてもらえる「安心服」を味方につけて、穏やかな春を迎えてみませんか。
#64
#65