Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
ファッションに「自然派」の風が吹いています。環境負荷を抑えたサステナビリティの取り組みは、もはや私たちの暮らしに当たり前の存在となってきました。素肌にまとう服は、安心を意識したいものだから、天然素材や低刺激を選びたくなります。
今回は素材にも製法にもこだわったサステナアイテムを、「ガリャルダガランテ」が一足早い夏向けに提案。綿と麻の自然派ウエアを迎えて、この夏を涼やかに心地よく過ごしてみませんか。
リサイクルコットンはコットンを使い捨てにしない点でサスティナブルな素材です。こちらのデニムパンツはリサイクルコットンを使い、綿100%で仕立てました。デニムには「硬い」「ゴワつく」というイメージがありますが、このパンツは肌触りがソフト。余計なストレスを感じさせない、伸びやかな着心地です。
ワイドシルエットのおかげで、風が吹き通り、真夏でもさわやかに着られます。素肌に張り付かないので、足運びも楽ちん。ゆったりした見え具合が大人っぽい余裕を漂わせます。
幅広いシーンで着やすいデニムの色味は「控えめウォッシュ」です。うっすらとインディゴブルーが色落ちしたタイプは、程よいこなれ感が寄り添うから、自在に着こなせます。インディゴブルーとホワイトの2色が用意されています。生地にも軽やかなタイプをチョイス。9オンスのライトデニムは、春夏にぴったりの涼やかな風合いです。
自然体のムードを帯びているのは、細やかなダメージ加工が施してあるから。ハードな加工はストリート感が出すぎるところがありますが、抑えたダメージ度合いにとどめたさじ加減が適度なヴィンテージ感を醸し出しました。
レッグラインを細く長く印象づけてくれるのは、ハイウエストのシルエットならでは。トレンドにカムバックしたフォルムです。真夏にはTシャツをウエストインして、上半身をコンパクトに見せるアレンジも選べます。
環境に配慮したサステナビリティ志向の工程を、デニム加工の随所に取り入れています。たとえば、ストーンウォッシュでは軽石を使っていません。デニム処理で多くなりがちな、加工に用いる水の使用量も抑えました。地球環境にやさしいデニムはギルト(罪悪感)フリーのおしゃれです。
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裾をウエストアウトして、デニムパンツに重ねたのは、プルオーバーのシャツ。後ろ側の着丈が正面よりもずっと長くなっている「前後アシンメトリー裾」なので、ニュアンスがたっぷり。自然な落ち感が魅力になっています。色はホワイトとピンクでの2種類。素材は綿100%です。
キャンディの包み紙のように、いったん袖を絞って、また袖先を広がらせたキャンディスリーブがロマンティックな雰囲気を薫らせます。袖先に加え、背中側にもギャザーをあしらってあるから、夏に1枚で着てもドラマティックな印象を与えてくれます。人気の続くトレンド「袖コンシャス」をしっかり取り込めるデザインシャツです。
シャツの両サイドには深いスリットが施されて、装いに動きが加わりました。デニムパンツのほかに、カーゴパンツやショートパンツにもマッチ。たおやかさを盛り込んで、全体のバランスを整えるのに役立ちます。
シャツ生地がかすかな透け感を帯びているので、見るからに涼しげ。しかも実際に清涼な着用感。ゆったりしたフォルムと、エアリーな着心地の相乗効果で、空気をまとうかのような着映えに導かれます。
同じサステナ素材のデニムジャケットを重ねて、シャツの袖先だけをあふれさせると、フェミニンムードが引き立ちます。バックデザインもジャケット裾からシャツがのぞくから、表情が深くなり、縦長感も強まります。
ジャケットは二の腕から先に切り替えを施して、袖にふっくらした量感を持たせたデザイン。裾は切りっぱなしのようなディテールがこなれた印象に。
シャツには深めのサイドスリットを切れ込ませてあるおかげで、ノーストレスで動けます。キャンディスリーブとたっぷりギャザーにニュアンスがしっかりあるから、ボトムスとの相性を選びません。
首元のドローコード(引きひも)の先にビーズを付けて、きらめきをプラス。すっきりしたVネックに動きを上乗せしました。
ほんのりと透けるシャツ生地がクールで軽やか。でも、透けすぎない安心感もあり、サマーコーデに重宝します。
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着こなしやすさが認められて、人気の高まっているアイテムに、「ジャケット使いOKの万能シャツ」があります。こちらのシアーシャツは写真のように前を全開にして、羽織り物としても使えるタイプ。着心地の軽いシャツジャケットは、熱がこもりにくい点で、夏向きのウエアです。
素材は綿100%だから、汗ばむ時季にも安心の着心地。しわになりにくい点も重宝な風合いです。色はチャコールグレー、ホワイト、グリーンの3色が用意されました。ほんのりと透ける、控えめのシアー生地は、暑い日もさわやかに過ごせます。
最大の見どころは背中に配したバックボタンです。つや消しシルバーのボタンは目立ちすぎないけれど、程々に存在感を発揮。肩甲骨の下あたりから裾にかけて並んだボタンは、留めたままでアクセントにしてもよし、開けてスリットに使ってもよし。内側に着たトップスを、スリットからのぞかせて、後ろ姿レイヤードを仕掛けられます。
肩周りに余裕を生むドルマンスリーブの働きで、腕を楽に動かせます。風が通るのも、たっぷりしたスペースのおかげ。汗ばむ夏は着崩れが気になりがちですが、こちらは襟に入れたワイヤーが好みの襟形をキープしてくれます。
おすすめの着方は、カットソーの上からサラリと羽織る「ライトアウター」としてのスタイリング。急な気温の変化や、エアコンの冷気が気になる夏は、薄手の羽織物として役立ちます。
ヒップをカバーする着丈でも、ほんのりシアーのおかげで、重たさとは無縁。軽やかなバックコンシャス姿に仕上がります。トレンドのバケットハットとのバランスも上々。洗練されたカジュアルスタイルを楽しめます。
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夏はもちろん、春から秋まで長く頼りになるアイテムの代表格が「丈長のチュニック」です。こちらのシャツチュニックはふくらはぎにまで届くほどのロング丈だから、薄手のサマーアウターとしての出番も見込めます。
デニムパンツとのコンビネーションは、気取らないムードが際立ちます。チュニックの色はサックスブルーとオフホワイトの2色があり、どちらもデニムパンツと好相性です。
ふんわりした風合いと、夏らしいシャリ感を兼ね備えた綿100%のシャツは、自然と袖を通したい気持ちに誘われるアイテム。抑えた透け感が見た目の印象をいっそう軽やかに整えています。
適度にゆったりしたシルエットが華奢感を引き出す仕掛け。ショルダーラインに施されたギャザーが表情に深みをもたらしました。丈長でありつつ、優美に映るシルエットが魅力的です。
着丈の長さがきれいな落ち感を演出。深く入ったサイドスリットが縦長イメージを増幅。すっきり感を強めています。足を動かすと、裾が躍って、空気をはらむから、ロマンティックな見え具合に。ナチュラルなコットン素材の質感を引き出すしなやかシルエットです。
スリットを生かしたボトムスとのレイヤードが着こなしのバリエーションを広げます。細部に「技あり」のデニムパンツで、伸びやかリラクシングな着映えに。横や斜めから眺めても、動きを感じられるから、ボトムスをムードチェンジャーに位置づけて、自在に着回すことができます。
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ポンチョが再びブームを迎えています。穏やかで平和な装いを求める気分が広がり、ポンチョ特有ののどかな景色が支持されるようになってきました。シーズンを超えた通年ウエアとしての着こなしバリエーションも広がっています。
こちらのポンチョは麻100%で仕立ててあるから、爽快な着心地。もともと服の内側にスペースがたっぷりあるので、風通しがよく、熱がこもりにくいアイテムです。
オフホワイトとブラウンの2色は、どちらもコーデに頭を悩ませずに済むニュートラルな色合い。デニムパンツとのスタイリングにも自然になじみます。
横一直線ではない、波打つような裾ラインには、自然体でボヘミアンなムードが漂います。麻の風合いを生かして、ストール感覚で使いこなすような、ノンシャランとした着こなしを選びやすいポンチョ。二枚重ねのダブルガーゼは春夏を涼しく過ごせるうえ、秋レイヤードにも組み込みやすいユーティリティー素材。やわらかい肌触りに仕上がっています。
広めでゆったりしたネックラインはリラクシングな風情を首周りに醸し出します。レイヤードのキーピースに据える着方が便利。ワンピースやワイドパンツなど、手持ちアイテムと自在に組み合わせられるから、出番の絶えない「切り札アイテム」になってくれそうです。
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(c)Rie Miyata
70年代テイストのリバイバルが盛り上がってきました。上下をそろえた「デニム・オン・デニム」は代表的な装い。白フレームのサングラスにもヒッピー感が漂います。ストライプシャツにシルクスカーフを添えて、型にはまらないコーデにアレンジ。シャツ裾はアシンメトリーにウエストインして、無雑作感を印象づけました。ナチュラルで自由なイメージの70年代気分を懐かしみながら、モダンに整えたお見事スタイリングです。
コットンとリネンという天然素材は、サステナビリティを生かした装いに導いてくれます。環境負荷を抑えたデニムパンツもナチュラル志向をまとえるボトムスと言えます。地球にやさしく、着心地のよいサステナ志向の服を迎えれば、体にもフレンドリー。気持ちも整いそうな自然体のおしゃれを取り入れてみませんか。
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