FASHION JOURNALIST
RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.81
ロングブーツが秋冬のトレンドシューズにカムバックしてきました。理由は大人感の高さや、凜々しい見え具合。自立した女性像を印象づけるキーピースとして大復活の兆しがみえています。これまではショートブーツを合わせることが多かったロングスカートやパンツも、実はロングブーツと好相性。脚がきれいにスレンダー見えするから、試さない手はありません。今回はロングブーツを生かした、グッドバランスのコーディネート術を、「ガリャルダガランテ」の新作と合わせてご紹介します。
秋から冬にかけては、かさばって見えないスタイリングが肝心です。ただでさえアウターの量感が大きくなるから、ボトムスはすっきり整えたいところ。細めシルエットのロング丈スカート&ワンピースが支持される理由がここにあります。
ロング丈スカート&ワンピースをシャープに見せるには、スリットが効果的です。スリットの隙間からブーツをのぞかせるのも上手なアレンジ。足さばきにつれて、ブーツがチラリと見える演出がおしゃれ感を印象づけてくれます。
タイトシルエットに仕立てられたスカートは、きれいめにもお仕事ムードにも着回せます。色はどちらも使い勝手のよいオフホワイトとブラックから選べます。癖の強くないスカートは、出番を選ばない万能感が頼もしい。スリムでロングのフォルムだから、ストンとした落ち感がきれいに出ています。
着心地が楽な理由は、目立たないようにウエストゴムが入っているから。締め付けられないので、ストレスフリーな穿き心地。背中側だけにゴムを配してあるので、着映えは崩れません。ウエストがゴム入りのおかげで、トップスをウエストインしやすくなっています。
後ろの裾中央にデザインされたバックスリットはバックスタイルへの視線を受け止めてくれます。足さばきが軽快になり、ブーツの存在感も印象づけてもらえるのもうれしいところです。
スレンダーな着映えが持ち味なので、羽織り物でボリュームを出すと、いっそうの細見えがかないます。ジャケットを重ねれば、お仕事ルックにも使いやすいきれいめのコーデに。休日はカジュアルなパーカ(フーディー)や、写真のようなゆるっとしたエフォートレス感の漂うニット、ほかにも、丸みを帯びたブルゾンなどで合わせて、大人カジュアルなたたずまいに整えても素敵ですね。
スカート生地はストレッチ性ときちんと感を兼ね備えています。滑らかな肌触りなので、1日ずっと着ていても、伸びやかな気持ちで過ごせそうです。自宅で手洗いできる素材です。オフホワイトには裏地を添えてあります。
バックスリットが効いて、ブーツがうまく隙間から露出。横や斜めからの見え加減も、ブーツがのぞく効果で、しなやかな動感を帯びて映ります。
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ロングスカートのスリット使いがトレンドディテールとして浮上している今シーズン。こちらのように、サイドスリットもお目見えしています。ロングブーツがこのようにスリットからちらりとのぞくと、装い全体にコントラストが生まれるので、使いこなしたいテクニックです。
ラベンダー色のワンピースの上から、あでやかなパープルが印象的なざっくりニットを重ねました。こちらはスペインを拠点とする、女性デザイナーのガブリエラ・コール氏が手がけるブランド「GABRIELA COLL GARMENTS」の逸品。シーズンにしばられないしなやかなワンピースだから、季節に関係なく、自在に着こなせます。これからのシーズンはロングブーツと合わせると、今年らしいムードを演出できます。
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ロングブーツの賢い取り入れ方の一つに、全体的なカラートーンの統一があります。ワンピースやスカートの色と合わせると、一体化して映るので、縦長イメージが強まります。全体を落ち着かせつつ、ほっそり見せる効果が高いのは、ダーク系の色。ブラックは当然、引き締め力の強い色です。
上下がつながったジャンパースカートは復活がめざましいウエアです。有力ブランドからも相次いで提案されているのは、レトロ感や上品テイストが魅力だから。少女ライクなキュート感もジャンパースカートならではの持ち味です。
伸縮性に富むポリエステル100%の生地なので、自然とボディに寄り添う着心地。織物っぽく見えますが、実はニットのワンピースです。引っかかりを感じないニットならではの着用感のおかげで、ストレスフリーで過ごせます。自宅で手洗いできるのも、重宝なポイント。
レディライクな着映えを生かすには、白系のトップスがうってつけのパートナー。プライベート使いではこのように、カットソーやセーターとのコンビネーションが役に立ちます。さらに、きちんと感を出したいときはブラウスやシャツで合わせれば、お仕事ルックにもなじみそうです。
Vネックがシャープな印象を引き出しています。程よくフィットしたウエスト周りとの相乗効果で、ほっそりイメージが際立つ仕掛けです。そして、見た目がきれいに決まるのは、適度な張りを備えた仕立てのたまもの。上半身をコンパクトに見せつつ、腰から下にボリュームを出す「フィット&フレア」のシルエットが絶好のめりはりを生んでいます。生地の目が詰まったニットなので、いっそうしなやかに映るわけです。
細感がしっかり出ていますが、フォルムがタイトすぎないから、着やせメリットだけが手に入る好都合な仕立て。両袖がないおかげで、腕や脇の動きが楽なのも、ジャンパースカートのよさです。
ふくらはぎから下をロングブーツで包み込むと、スレンダーなレッグラインを引き立てる効果が期待できます。少しだけ裾広がりになったジャンパースカートの形がブーツを一段とすっきり見せてくれます。
ブーツの色をそろえると、後ろから見たときもスカート裾からつながったような見え具合になるので、360度引き締まった印象がアップ。裾に向かう景色が素敵なスカートには、マーメイドスカートもあります。「人魚」を意味する名前が示す通り、いったん膝でくびれて、再び裾に向かって広がる、優美なシルエットが魅力です。
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「ガリャルダガランテ」らしい工夫どころは生地にあります。太い番手のコットン100%糸を使って織り上げた、ミリタリー風の質感を持つ素材。ミリタリーとマーメイドの意外な好マッチングが生まれました。自宅での手洗いが可能です。
ウォッシュ加工を施し、ナチュラルな風合いを帯びさせたコットンは、シーンとの組み合わせを選ばない質感が持ち味。使い勝手のよいキャメルとブラックの2色が用意されています。
マーメイドシルエットならではのきれいな曲線美がフェミニンな着映えに導きます。計算された裾広がりが着やせメリットも引き出してくれます。
随所にあしらわれたディテールが動きを添えました。ミリタリーを意識した、大きめのポケットが程よくサプライズなアクセント。深めに切れ込ませた正面のスリットが裾アクションをいっそう軽やかに見せています。
足首までは届かない着丈なので、裾下にしっかりブーツがのぞくバランス感に仕上がります。スリットの隙間からロングブーツがレザーのつやめきをアピール。同系色でまとめると、シックな着映えに仕上がります。
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「秋冬=厚手」というのは、ちょっと固定化されすぎた考え方かもしれません。近ごろはあえて季節感をずらす「シーズンレス」のアレンジが広がってきました。スカートでも春夏のようなエアリー素材で仕立てたタイプを秋冬に取り入れると、意外感や軽やかさのある着映えに整います。
ライトな質感のスカートを選ぶ際に、素足が見えると、夏っぽくなってしまいますが、ロングブーツを生かせば、秋冬らしい見え具合に。寒気をブロックするうえでも、ふくらはぎを覆ってもらえるロングブーツは頼れる存在です。
足元周りのおしゃれ度を印象づけるには、スカートとブーツの異素材コントラストを際立たせる組み合わせが効果大。レーヨン系のやわらかい生地はブーツのレザーと好対照。たおやかさと凜々しさの両方を引き立て合ってくれます。
ブーツのキリッとした印象とコントラストを強めるには、フェミニン寄りのボトムスが好都合。段々のディテールがアイキャッチーなティアードスカートなら、申し分ないパートナー。こちらの表地はレーヨン100%なので、やさしげな風合いが備わっています。こちらもうれしい手洗いOKの素材です。
ロングスカートの魅力は長いレングスならではの、エレガントな揺れ動きにもあります。生地はシルクのようにソフトだから、足さばきにつれて、優雅に表情が移ろうよう。ティアードはさらに味わい深いリズムを添えてくれます。
繊細なドレープ(ひだ)が醸し出す陰影も、このスカートの持ち味。ストライプ柄が動きを印象づけてくれます。色はさわやかなライトブルーとダークトーンのネイビーが用意されました。それぞれの色味にふさわしく、ストライプ柄の配色も変えてあります。
穿き心地が楽なのは、ウエストがゴム仕様になっているから。正面のドローストリングスでフィット感を調節できます。ドロストを使って、ウエスト位置を高めに変えれば、裾の見え具合も変わり、手持ちの靴と合わせやすくなります。フラットシューズやヒール靴などとも自在に組み合わせが利くから、出番が増えそうです。
自然な落ち感もロングスカートのよさです。縦長イメージを強調するには、ロングブーツとの組み合わせが理想的。色味や質感でスカートとブーツの違いをくっきり打ち出すのが、こなれた着映えに整えるコツです。つやめきレザーでダークカラーのブーツを選べば、スカートのやさしげテイストが引き立ちます。
トップスを選ぶにあたっては、やはり異素材ミックスを試したいところ。スカートがなめらかな質感を備えているので、トップスの第一候補にはニットが浮上してきます。ふんわり系のニットをオーバーサイズ風にまとえば、腰から下のスレンダー感をさらに印象づけられそうです。
【SIDANHA】ストレッチロングブーツ ¥97,900 BUY
【OSOI】バッグ ¥55,000
【SOPHIE BUHAI】ネックレス ¥15,2900
秋冬のおしゃれでは、パンツの裾をブーツに収める「ブーツイン」が楽しめます。裾周りがコンパクトにまとまって、シャープに映るブーツインはメリット大の足元テクニックです。
ショートブーツでも仕える技ですが、ロングブーツで取り入れると、ブーツの丈が長い分、いっそう細身の仕上がりに。肌になじむレギンスと組み合わせれば、レッグラインがきれいに見える効果がアップします。
こちらのレギンスはしっかりウエストまでカバーする、パンツ風のデザイン。1枚で伸びやかに過ごせる重宝レギンスです。全体にやさしいフィット感が備わっているのは、伸縮性に優れたリブニット編みのおかげ。素材はウール64%、ナイロン35%、ポリウレタン1%のミックスです。
しんなりと素肌に沿う着用感です。やわらかくてエアリーなウール素材が主体だから、蒸れや汗ばみとは無縁なのもうれしいポイントになっています。
色はベージュとチャコールグレーの2色から選べます。ベージュは肌なじみのよい、明るめのトーン。チャコールグレーはホワイトの糸がランダムに混ざった杢(もく)グレーで、トップスやアウターとの相性を選びません。
脚線に沿って、穏やかにフィットするしなやかタイプだから、締め付け感や窮屈さは心配ご無用。ウエストは総ゴムなので、ストレスフリーな穿き心地です。このようにロングブーツでインする着こなしはレッグラインを引き締めて、足長効果も発揮してくれます。さらに、ぬくもりもキープしてくれるから冬には頼もしい限り。レギンス×ロングブーツの新スタイリングは、秋冬ルックの鮮度アップを求める人に取り入れてほしいコーデです。
もちろん、ベーシックなスタイリングにも使えます。丈がやや長めになっているので、着こなしの幅を広げてくれるレギンスなのです。たとえば、足首あたりでクシュッとたるませると、ボリュームが出て、細見え感がアップ。フラットシューズを履く際にも使える小技です。
そのほか、着こなしのおすすめプランとして、ニット素材のトップスやスカートと組み合わせる「ニット・オン・ニット」のレイヤードがあります。ニット特有のソフトな風合いが重ね着の相乗効果でさらに味わい深く映り、人柄までもやさしく見せてくれそうです。
レギンスは上からワンピースやスカートを重ねて、レイヤードルックに整えやすいボトムスです。ボリューミーなウエアを重ねれば、量感の落差が際立って、着やせ効果を発揮してくれます。ぜひロングブーツインのコーデと共に着回しレパートリーのバージョンアップを試してみてください。
(c)Rie Miyata
目を引くブーツを投入すれば、ブーツを主役に据えたスタイリングも可能になります。こちらはロックテイストを帯びたシルバーのロングブーツが存在感たっぷり。メタリックカラーならではのアクティブでグラマラスな雰囲気が装いのムードメーカーに。スリムなデニムパンツの裾をブーツインして、さらにシャープな見え具合に整えました。首のバンダナでボヘミアン風味に。仕上げはアウター。オーバーサイズのムートンジャケットでボリュームを出して、めりはりの利いた全体像にまとめ上げました。上半身に量感が加わったおかげで、腰から下のスレンダー感が際立っています。
かさばった印象が心配になる秋冬ルックに、ロングブーツを使ったスタイリングは助け船を出してくれます。ワンピースやロングスカート、レギンス、デニムパンツなどとのコーデで、細見え効果を発揮してもらえるから、秋冬の着こなしでは賢く組み入れたいもの。防寒面でも頼もしいロングブーツを味方につけて、この秋冬のおしゃれを軽快な気分で楽しんでみてくださいね。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。