FASHION JOURNALIST
RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.85
冬ルックに補いたいドレッシーさや細感を足し込んでくれるアイテムとしておすすめしたいのが、ロングスカート。ボリューミーなアウターは時にかさばった印象を与えがちですが、エレガントなロングスカートを引き合わせれば、一気にシャープな着映えに。「ガリャルダガランテ」から提案された美シルエットのロングスカートはどれもきれい見えを叶えてくれる逸品ばかり。今回は、冬コートやニットトップスに合わせやすい、優美なニュアンスを帯びたロングスカートをピックアップしてみました。おすすめの3つのシルエットをよりすぐってご紹介します。
ストレッチが利いて、楽ちんな穿き心地なのに、華奢映えするスカートがあればいいのに――。そんな欲張りさんの願いを叶えました。名前はそのまま「ストレッチマキシタイトスカート」。いいとこ取りの重宝スカートです。
ストレッチの効果で、見た目は引き締まって映るけれど、窮屈感はオフ。ロング丈のおかげで、きれいなラインを描きます。さらに、タイトなシルエットなので、スレンダー感も申し分ありません。
タイトスカートはお腹や腿、ヒップ周りが強調されてしまいそうと敬遠されがちですが、ミニ丈ではなく、ロングシルエットなら、着丈が長いおかげで、脚のラインをカムフラージュし、すらりとした印象に導いてくれる効果があります。
着丈はロングですが、後ろ裾にスリットがしっかり入っていて、足裁きはスムーズ。タイト特有のぎこちなさとは無縁です。タイツやロングブーツと合わせてもきれいに決まります。
色はどちらもベーシックカラーのホワイトとブラックから選べます。着回しパートナー選びに困らないので、自然と出番が多くなりそうです。冬のホワイトスカートでエレガンスを演出してもいいし、ブラックでシックに着こなしても素敵ですね。
シルエットに癖がないから、トップスとの相性を選びません。冬はざっくりニット、春夏は長袖カットソーといった具合に、自在のコンビネーションを組み立てられます。ほとんど通年で着られるロングシーズン仕様も出番が途切れない理由です。
この冬以降に注目されているトレンドが「ミニマル+α」です。シンプルなフォルムに、ディテールで表情を上乗せするのが新トレンドのポイント。こちらのスカートでは、ハイウエストが「技あり」。一段と縦に長い印象が強まっています。
ウエスト位置が高いうえ、腰回りがフィットしている分、ヘルシーな着映えに。アルファベットの「I」を思わせる、しなやかな直線的ラインが伸びやかな見え具合に導いてくれます。ウエストの位置が高く見え、ほっそりイメージが際立ち、脚も長く見える頼もしい1着です。
ストンとした落ち感があって、気負わないムードに整います。細感を生かす格好で、冬本番の主役になるロングコートを羽織ったときも、相性は上々。「ロング×ロング」の相乗効果でエレガントな縦落ちルックに仕上がりました。
レディーライクにまとえるトレンドアイテムとして、おしゃれ上手が目を付けているボトムスが「マーメイドスカート」です。「人魚」という名前が示す通り、膝のあたりでいったんくびれて、再び膝下から裾広がりになるという優美なシルエットが魅力です。
細感を印象づけやすいタイトと、エレガンスを薫らせるフレアのいいとこ取りが叶うのがマーメイドスカートのよさ。人魚姫のようなフォルムは、もっさりしがちな冬ルックにきれいなめりはりをもたらしてくれます。
表地はサスティナブル素材のキュプラ100%で仕立ててあります。未利用コットンを活用した点で環境負荷の低いエコ素材なのです。程よくつややかなキュプラの光沢が落ち感を引き立ててくれ、手洗い可のイージーケアもうれしいポイントです。通年を通して着こなせるのも大きな魅力です。
キュプラは本来、つややかな生地ですが、こちらのスカートでは表面を毛羽立たせる加工を施し、質感をソフトに整えました。洗い込んだようなヴィンテージライクな風合いが上品で穏やかなムードを寄り添わせています。シンプルなニットトップスと合わせたときもニュアンスを帯びた着こなしに仕上げられます。
【VASIC】Petra ¥27,500
控えめに配したドレープが上品な動きを引き出しました。マーメイドならではの弾むヘムラインも足元を華やがせてくれます。タイトスカートのすっきり感とフレアスカートのフェミニン感も両方のいいとこどりが実現した形。「フレアスカートよりはすっきり着こなしたい」「タイトスカートよりは優しいムードを演出したい」――そんな気持ちを叶えてくれます。
色はベージュ、グレー、ブラウン、ダークブラウンが用意されました。どれも冬ルックになじませやすい色味。やさしげなニュアンスを帯びた、落ち着いた見え加減に仕上げてくれます。ウエストは総ゴムだから、穿き心地は楽々。1日ずっと穿いたままでも、ストレスフリーに過ごせます。
ボリューム袖のニットトップスと合わせても優美なムードに。適度にフェミニンなマーメイドスカートのおかげでたおやかな印象に整えられます。スウェットやセーターなど、くつろぎ気分のトップスにも、きれいめな印象が加わって、こなれたバランスが生まれます。
きちんと顔のジャケットと合わせれば、格上のたたずまい。ロングコートやパフィアウターなどの本格的な冬アイテムにも絶好のパートナーに。カジュアルとエレガンスが同居する装いに導いてもらえます。
細かく布をつまんだ「ギャザー」、コケットな表情や、クラシックな雰囲気を兼ね備えたディテールはクチュール感も感じさせます。ギャザーをたっぷり寄せたスカートは自然とノーブルな風情を醸し出してくれるのです。
スカートの新潮流はウエストからヒップにかけて工夫を凝らしたタイプです。レトロ回帰の流れを受けて、復活の兆しが見えるのは、このゾーンをふくらませるクリノリンやバッスル。こちらのギャザースカートは、ギャザーと切り替えを組み合わせて、華やかなシルエットを印象づけています。
古風なクリノリンやバッスルとは違って、腰周りはすっきり。でも、切り換えとギャザーの相乗効果で、立体的なめりはりが備わりました。タイトスカートとギャザースカートがドッキングされたかのようなハイブリッド感は、現代のお姫様スタイルとも呼べそうです。
こちらは洗練されたアイテムが集まるショップ「Drawing Numbers(ドローイングナンバーズ)」のオリジナルアイテム。色はやさしいトーンのホワイトとシックな表情のブラックが用意されています。
裾に量感がたっぷりあるのに、引き締まって映る理由は、切替パートにストライプがあしらってあるから。布地に織り込んだナチュラルな縦縞がすっきり感を漂わせています。
素材はポリエステル100%なので、布を贅沢に使っていても、着心地は軽やか。裾に向かってボリュームがあるおかげで、脚にまとわりつくこともありません。こちらも通年で穿きこなせるうれしい素材感です。ボディラインを拾わないシルエットのおかげで、伸びやかな着用感。ウエストは総ゴムだから、楽な着心地をキープしてくれます。
普通のティアードスカートは、フリルを配した段々が重なって、ガーリーな見え具合ですが、こちらはギャザーとストライプの組み合わせなので、モダンな着映え。しっかりしたレングスがあるロング丈スカートだけに、落ち感も十分です。
スカートに動感が備わっている分、トップスはシンプルめでもOK。クチュール感も感じさせるシルエットだがら、カジュアルなボリュームアウターや、きちんと感を宿したテーラードジャケット、タフ顔のライダースジャケットなどでも好バランスを発揮してくれそうです。
こちらのようにロングブーツで合わせると、膝から下に魅力的なボリュームが生まれます。冬アウターを羽織ったときも華やかさをキープできるので、お出かけスタイルにもぴったりです。
【CEPIE.】スリットタートルニット ¥17,600
(c)Rie Miyata
ようやく「ポストコロナ」の気配が感じられるようになってきたことを受けて、つやめきを帯びた生地が脚光を浴びています。代表格はサテン。マキシ丈のスカートに生かすと、特有の光沢がいっそう艶美な印象に。タイトなシルエットと組み合わせれば、脚長に映る効果もアップ。クロップドトップスの裾下から、チラッとだけのぞかせる肌見せが絶妙。大人が取り入れたい「微肌見せ」です。ボリュームネックレスときらきらブルゾンを添えて、ゴージャス感を高めています。
冬のロングスカートは、アウターとの絶好のマリアージュを演出してくれる効果がありました。全身をシャープに演出したいときは「タイトスカート」、流れ落ちるようなムードに見せたいときは「マーメイドスカート」、華やかに演出したいときは「ギャザースカート」。3シルエットのロングスカートをワードローブに迎えておけば、冬のおしゃれはもちろん、22年春からの新トレンドのエッセンスも先取りできるので、参考にしてみてくださいね。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。