FASHION JOURNALIST
RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.87
マーメイド風シルエットのスカートやワンピースは、流麗な落ち感を際立たせてくれます。「人魚」の名前が示す通り、上品でエレガントな曲線美がレッグラインをしなやかに演出。今のタイプは膝の絞りがきつくないから、楽に着こなせるのも魅力です。めりはりのついたシルエットは体形カバーに役立つうえ、適度なフェミニン感も寄り添わせてくれます。フレアほどには広がらない、タイトよりもしなやかという、好都合なさじ加減は着回しパワーも申し分ありません。新しい年に気分を一新したいというおしゃれマインドにもなじむ、リアル志向のマーメイドスカートを、「ガリャルダガランテ」の新作からピックアップしてご紹介します。
本来のマーメイドスカートはいったん膝でくびれた後、裾に向かって再び広がるシルエットが特徴ですが、進化形では膝の絞りが控えめです。裾が広がりすぎないから、気楽に着やすいタイプ。膝のあたりで切り換えを施して、プリーツやティアードを裾まであしらうと、まるでマーメイドスカートのように優美なムードが寄り添います。
こちらのロングスカートは膝のあたりでティアード切り換えを加え、動きを引き出しました。色は出番を選ばないアイボリーと、シックに着こなしやすいチャコールグレーの2色から選べます。
ストンとした「落ち感」がきれいなのは、膝から上がリブ仕上げだから。細い縦筋が自然なスレンダー感を印象づけてくれます。膝から下の流れるようなシルエットを生んでいるのは、たっぷりのワッフル生地でこしらえた、大きく波を打つラッフルです。ゆったりしたひだが足首の細感を際立たせています。
ウエストにはゴムを通してあるので、締め付け感フリーの着心地。一般的なマーメイドスカートほどには膝を絞っていないから、足さばきも楽ちんです。凸凹を帯びたワッフル素材のおかげで、ラッフルにロマンティックな表情が備わりました。この「ワッフルラッフル」が全体にあでやかなマーメイド感を漂わせている秘密です。
布が波打つラッフルは、再評価が進んでいる、2022年春夏のトレンドディテールです。目先の流行に左右されないタイムレスな品格を醸し出してくれるのに加え、ドラマティックな華やかさも加わる点が人気の理由になっています。
春先から先の梅雨や初夏の汗ばむシーズンにも着やすいコットン素材だから、1年を通して出番が途切れません。自宅での手洗いOKな点も、重宝なポイントです。着心地が抜群によいのは、生地全体に伸縮性を持たせてあるから。ウエストやヒップを包み込むような、やさしい着用感が魅力です。
写真のように白シャツをウエストアウトすれば、ナローな縦長シルエットをアピールできます。ウエストにゴムが入っているので、ウエストインしてもごわつかず、すっきりした見え具合に。ラッフルいっぱいの裾景色は、ヒール靴にもフラットシューズにもなじみ、シューズとの相性を選びません。スニーカーとのマッチングも好コンビネーションです。
【GABRIELA COLL GARMENTS】シャツ ¥57,200
【TONY BIANCO】サンダル ¥30,800
【MODERN WEAVING】ネックレス ¥38,500
【Gabriela Artigas】リング ¥50,600
同じロングスカートのチャコールグレーです。ぐっと落ち着き感が増して、ドレッシーモードに着こなしやすくなりました。
色味に癖がないので、自在のスタイリングを試せます。写真のように、シンプルなプルオーバーで合わせても、優美なシルエットをキープ。裾にかけてボリュームがある分、タイトに引き締まった着映えに仕上がります。
チャコールグレーのトーンを生かすには、トップスに黒系のダークカラーを迎えて。濃淡の効果が発揮されて、上半身がいっそうシャープに映ります。それでいて、スカートシルエットのおかげでめりはりボディも叶う仕掛けです。
マーメイド形のよさは、背中側から見ると、はっきり分かります。実際にはそれほど絞っていないのに、裾ラッフルのおかげで、膝周りにくびれイメージがしっかり備わっています。どの角度から眺めてもエレガンスが感じられる「360度スカート」です。
ロングカーディガンや春アウターで合わせても、裾シルエットが際立つ美シルエットに整えられます。着こなしのコツは色数を増やしすぎないで、色味の近い「トーン・オン・トーン」でまとめるアレンジ。「ワッフルラッフル」の流麗さを引き立てるスタイリングです。
【La nature】シアーロングスリーブTシャツ ¥13,200 BUY
【TONY BIANCO】サンダル ¥30,800
【MODERN WEAVING】ブレスレット ¥25,300
裾のティアード仕立てを、ワンピースに生かしたアイテムも用意されました。控えめのマーメイド感がワンピースに動感を添えています。こちらのシャツワンピースは裾にティアードを施しました。適度にカジュアル感を帯びているので、幅広いシーンで着こなせます。
色はやや青みがかった淡いトーンのライトグレーと、ブラック感覚で着られるダークトーンのネイビーという2色が用意されました。どちらもワントーンが決まるから、コーディネートに悩まなくて済む重宝色です。
レディーライクな雰囲気のワンピースですが、胸のあたりまで前立てがあるヘンリーネックなので、程々のスポーティー感が備わっています。さらに、膝から下にはティアード切り替えで、たっぷりのひだを配してあるから、上品なたたずまいに。かしこまって見えすぎない、上々のこなれ加減がこのワンピースの持ち味です。
素材はコットン100%で、軽やかな着心地。布の分量がしっかりあるのに、重たく感じられません。程よい張り感を帯びたタイプライター生地だから、1日ずっと着ていても、シルエットをしっかりキープしてくれます。サラッとした肌当たりは、汗ばむ季節にも安心して着られそう。自宅で手洗いOKのイージーケアも頼もしいところです。
上品なテイストが伴っているのは、両袖にパフスリーブで立体感を持たせてあるおかげ。ボリュームがしっかりある分、顔が小さく見える仕掛けです。カフスを長めに取った袖フォルムが腕をほっそり見せています。
袖と裾に量感があるので、全体にめりはりが出ています。暑い時期に羽織り物なしの1枚で着ても、きちんと映えする大人ワンピースは長くなった夏を乗り切るうえで、最高の1着になるでしょう。
【A・EMERY】サンダル ¥27,280
【INES BRESSAND】バッグ ¥29,700
同じシルエットの色違いワンピースでも、黒に近いネイビーはぐっとモダンな印象に映ります。落ち着いたカラートーンが効いて、ドレスライクにまとえる、クラシカルなワンピースです。体が締め付けられず、涼やかに過ごせるサックドレスは年々、人気が高まっていますが、このような控えめのマーメイドシルエットなら、裾が広がりすぎません。優美さも演出できるから、1枚で今年らしいポジティブなおしゃれを演出できます。
マーメイド風のたっぷり裾なのに、広がって見えすぎないシルエットが横向きルックでよく分かります。シャツ特有の「きちんと感」が静かな着映えに導いています。楽ちんなサックドレスの着心地もこのタイプを選びたくなる理由です。
上々の張り感が持ち味のタイプライター生地で仕立ててあるから、ストンとした縦落ちイメージが寄り添いました。体のラインを拾わない点でもメリットの多いワンピースです。
【A・EMERY】サンダル ¥27,280
膝でいったんくびれさせて、裾に向かって艶美に広がるマーメイドスカートは少し表情を変えて復活しています。今の進化形はくびれとフレアが以前ほどにはきつくないシルエットです。自然に曲線を描く「微マーメイド」は、自在に着こなしやすい上出来スカートです。
こちらのロングスカートは控えめな膝絞りと裾広がりが上品なめりはりを印象づける「ほんのりマーメイド」。ゆったりめのラインなので、足さばきは楽ちんです。
しなやかな落ち感が備わっているのは、光沢を宿したキュプラ生地のおかげ。ナチュラルなとろみ質感が流麗な着映えに導いています。
キュプラは地球にやさしいサスティナブル素材です。毛羽立ったような加工を施して、ヴィンテージライクな風合いに仕上げました。表地はキュプラ100%です。同じくキュプラ100%の裏地を当ててあるから、透ける心配はありません。自宅で手洗いOKのイージーケアです。
色は程よくニュアンスを帯びたライトグレーとベージュの2色から選べます。ライトグレーは明るいトーンで、春夏コーデに重宝しそう。ベージュは軽く赤みのあるソフトトーンだから、手持ちワードローブとの好相性を発揮してくれます。
ウエストにはぐるっとゴムを通してあるので、締め付け感がないストレスフリーな穿き心地です。着用感を重んじる「コンフォート」は、着る人に寄り添うロングトレンド。細感があるのに、腰周りが楽なのは、コンフォート仕様の素材を用いているから。ウェスト部分には伸縮性の豊かな素材を使って、ボディに優しくフィットするように仕立てました。
膝上あたりから軽く絞って、膝下から穏やかにフレアになるという、控えめマーメイドのフォルムがやさしげなたたずまい。甘さを抑えたロングスカートなので、着回しバリエーションも多彩。お仕事ルックにも組み込めます。
写真のように、パフスリーブのトップスと合わせると、袖とスカートの量感を引き出すディテールが相まって絶好のバランスコーデに仕上がります。ストンとした縦長イメージを引き立てるには、きれいめのジャケットが格好のパートナー。カジュアル寄りに着こなすなら、スウェットパーカも選択肢に。スカートのヴィンテージライクな風合いを生かしたスタイリングもおすすめです。
【A・EMERY】サンダル ¥27,280
【Gabriela Artigas】リング ¥50,600
(c)Rie Miyata
控えめの絞りとフレアを施した「微マーメイド」の装いです。ハイウエストの効果で、縦長スレンダーのシルエットに。ほのかなつやめきを帯びたパープル生地がレディー感を引き立てています。淡いパープルは2022年の流行色としてパントン社(米国の色見本企業)から選ばれています。マーメイドスカートは流麗な落ち感が持ち味だから、動きを印象づけるシャイニー生地がぴったり。残りのアイテムはモノトーンで統一して、主役スカートを引き立てています。
くびれすぎないマーメイドスカートは、優美な雰囲気と楽な着心地を兼ね備えたお役立ちボトムスです。レッグラインを細長く見せてくれるのも大きな魅力。コーデの主役を任せられる重宝アイテムだから、賢く取り入れて、新しい年のおしゃれを楽しんでみませんか。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。