FASHION JOURNALIST
RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.91
ポジティブな気分をまといたくなる春夏の装いでは、「肩・袖・背中」の印象を強める「3つのコンシャス」が着こなしのポイントになります。この3スポットに適度な主張を帯びたアイテムは、ドラマティックな着映えに導く、春夏ルックのキープレーヤー。ワードローブに迎え入れれば、手持ち服の格上げや着回しに力を貸してもらえそう。「ガリャルダガランテ」の新作から、「肩・袖・背中コンシャス」を成功させる着こなしプランをご紹介します。
適度に主張を帯びた「袖コンシャス」のブームが続いています。袖にボリュームや飾り気が加わることに伴う、自然な着やせメリットが人気の理由。ファニーな見え具合も装いを弾ませてくれます。
パフスリーブやバルーンスリーブなど、ロマンティックな袖が勢いづいています。こちらのシャツに迎えた新シルエットは、たっぷりのラッフルをあしらったボリュームスリーブ。ひじから下が朗らかに広がるフォルムです。
プレーンなシャツは、時に素っ気なく映りがち。でも、袖に量感があると、羽織り物抜きで着ても、様になります。暖かくなってきて「シャツ1枚」で過ごせる頼もしさも長所です。ひじの上あたりで切り替えを施し、フリルを添えてあるので、一段と動きが加わっています。広がった袖先から腕がのぞいて華奢見えするところまで計算された、上出来のバランス感です。
チュニック丈のシャツは、ジャケット感覚で着られます。着丈に前後差があり、背中側が少し長めの分、きれいな落ち感が備わりました。縦長に見えやすいのもこのフォルムのよさ。サイドスリットを入れてあるので、着丈が長めでも軽やかに着られます。
袖にユーモラスな表情を与えてあるおかげで、シャツがかしこまって見えていません。後ろ姿もグッドルッキングなフォルムに仕上がりました。シャツ特有の「きちんと感」は保ちながらも、オールマイティーに着回しやすいトップスに変身しています。
色はブラックとサックスブルーの2色から選べます。ブラックは黒すぎず、抜け感のある色味。サックスブルーはさわやかで明るいトーンです。
生地はコットン100%なので、蒸し暑い日にもサラリとした着心地。やや肉厚のしっかりした生地で、程よい張り感も備えているから、汗をかく日でも着崩れしにくくなっています。自宅で手洗いOKのイージーケアも頼もしいところです。
着こなしのレパートリーが豊富なのは、このシャツの強みです。デニムパンツとの顔合わせはデイリークールなコンビネーション。あえてヒール靴を迎えて、レディーライクな「はずし」を仕掛けるのがこなれ感を生むコツです。
【RE/DONE】デニム ¥58,300
【STUDIO AMELIA】パンプス ¥101,200
【STUDIO AMELIA】バッグ ¥59,400
【ANNIKA INEZ】フープピアス/AMPLE HINGE HOOPS ¥26,400BUY
【SOPHIE BUHAI】リング ¥94,600
キレイめなスカートで合わせて、大人カジュアル風に整えてもいいし、ゆったりパンツと合わせて、すっきりリラックス気分に仕上げる選択肢も。写真のようにフィット感のあるショートパンツでコーデすれば、チュニック感覚で着ることもできます。チュニックよりもきちんと見えするのは、シャツ由来ならではの魅力。春のおしゃれに欠かせない1着になるはずです。
【La nature】パンツ ¥17,600
【TONY BIANCO】ナローストラップサンダル ¥30,800
【SOPHIE BUHAI】リング ¥94,600
横に広がる大きい襟や、首をぐるっと囲むエリザベスカラーなど、目を引く襟周りディテールは一段とあでやかさを増す流れにあります。大人女性からの支持が根強いのは、エレガント顔のボウタイ。上品でクラシカルなムードは、ヒストリカルな装いが再評価される中、人気が高止まりしています。顔周りにボリュームを添えるボウタイは、小顔効果も発揮してくれます。
こちらのボウタイブラウスは正統派のレディールックに導いてもらえる、ノーブルなたたずまい。品格が備わって映るのは、襟が高めだから。そこにアイキャッチーなリボンが加わって、気高いムードが引き立っています。一般的なボウタイより幅が広く長さもあるので、優美なリボンルックに整えやすい「ディテール上々」のブラウスです。
結んだボウタイにしっかりと立体感が出ているのは、生地に程よい張り感が備わっているからです。細めの糸を使って、高密度に織り上げているので、格上感を醸し出す風合いに仕上がっています。素材はシーズンフリーで着回しやすいコットン100%。自宅で手洗いOKです。
「ガリャルダガランテ」が得意にしている、前後をひっくり返して着られるブラウスです。ボウタイを背中側に回せば、バックショットに意外感を加えられます。
両袖はややゆったりめで、ふんわり感とクチュールテイストを宿したシルエットが優雅。袖をまくり上げれば、腕の華奢感を印象づけられます。
色はホワイトとライトブルーの2種類を用意しています。ホワイトは春夏にうれしい、清潔感が際立つカラー。癖がないから、自在に着回せます。穏やかなライトブルーは、やさしげムードで涼やかに着こなせます。
スタイリングの自由度が高いので、自然と出番が多くなる「重宝ブラウス」です。写真のようにパンツともいい塩梅でなじんでくれます。
デニムパンツと合わせれば、今年らしい華やかなデニムルックにまとまります。正統派や上品なボトムスにももちろんマッチしますが、ハンサム系やカジュアル顔のボトムスとのマッチングでも、多彩なコーデが楽しめます。さらに、前後でスイッチ可能だから、装いのレパートリーが格段に多くなる点でも、メリットを感じやすいブラウスです。
【STUDIO AMELIA】パンプス ¥101,200
背中に視線を集める「バックコンシャス」のおしゃれが盛り上がってきました。前後で表情に違いを際立たせれば、ドラマティックな着映えに仕上げられます。だから、次に選びたいアイテムは、前後の見え加減が大きく異なるタイプです。
こちらのプルオーバーは前後を逆にしても着られる2WAY仕様のデザインです。背中側に深いVネックをあしらってあるので、印象的なバックビューに映ります。袖先が程よい開き加減のベルスリーブで、裾スリットも入っているので、軽快な動きが演出できます。
涼やかに着られるのは、ドライタッチ素材で編み上げてあるからです。清涼感の秘密は、和紙62%、ポリエステル38%という、特別な和紙混の糸にあります。しかも自宅での手洗いOKなので、汗が気になるシーズンでもヘビーローテーションに応えてくれます。
本格的な夏はまだ先ですが、実は近年は春からかなり気温が上がる傾向にあります。しかもかなりの暑さが秋まで続くことが多くなってきました。だから、夏仕様のアイテムを、春先に仕込んでおくのが賢いおしゃれショッピングとなりつつあります。
シルエットがゆったりめだから、素肌に張り付かず、さわやかに過ごせます。サラリと自然体で着られるエフォートレスなサマーニットとして重宝しそう。背中にVネックが大きく開いているおかげで、さらに爽快な着用感です。
着こなしのポイントは、やはり前後でのスイッチング。決め手はVネックの生かし方にあります。肌魅せインナーやカットソー、タンクトップなどの上から重ねて、サマーレイヤードに整えるスタイリングがおすすめ。薄手のワンピースに重ねると、フェミニンなムードに。もちろん、ヌーディーに素肌を見せて着る選択肢もあります。
【A.EMERY】レザーフラットサンダル ¥27,280BUY
裾が横一直線ではないので、ウエストアウトして着たときに、こなれ感が漂います。ボトムスとの相性を選ばない頼もしさがあり、写真のようなデニムパンツなどとも無理なくなじみます。タンクトップの上からパサッと羽織って、少しだけ肩をのぞかせれば、今年らしい「ヘルシーな肌見せ」スタイルに。まるでストールを羽織る感覚でまとうのが上手な生かし方です。
【RE/DONE】デニム ¥58,300
【ANNIKA INEZ】フープピアス/AMPLE HINGE HOOPS ¥26,400BUY
【SOPHIE BUHAI】リング ¥94,600
色はチャコールグレー、ベージュ、グリーンの3色が用意されています。チャコールグレーはブラック寄りのシックな色味。トーンが明るめのベージュは、ニットの風合いをいっそうやさしげに見せる色。使い勝手のよさも格別です。ナチュラル志向を追い風にブームが続くグリーンはチアフルなキャラクターイメージに導いてくれます。ブライトな色調は装い全体を弾ませるキーカラーです。
ヒップを隠すぐらいのたっぷりした着丈があるので、ボディラインが目立たないのは、薄着で過ごしたい時期にうれしいメリット。自然な落ち感が備わっているのも、リラクシングなスタイリングに仕上がりやすい理由です。
レイヤードでの着こなしは、着回しレパートリーを広げるうえでも好都合。内側に着るアイテム次第で印象が様変わりします。ドライタッチ素材はこれからの季節を仮名替え、ワードローブに1着迎え入れておくと重宝すること請け合いです。
【GABRIELA COLL GARMENTS】レザーパンツ ¥91,300
【TONY BIANCO】ナローストラップサンダル ¥30,800
(c)Rie Miyata
大ぶりのボウタイがアイキャッチーなブラウスを主役に、ミックステイストで表情を深くした装いです。スパイシーな味付けに貢献しているのは、クールなレザーミニスカート。チェーンバッグとローファーで、異素材のブラックピース同士を響き合わせています。ボウを飾った、バラの花モチーフが程よくガーリー。ブラウスのお嬢様感と黒革スカートのフェティッシュが交差して、レトロスパイシーな装いにまとまりました。
袖、襟、バックという3つのコンシャスは、装いにウィットやアクセントを寄り添わせてくれます。日を追うごとに薄着になっていく春夏シーズンは、こういったディテールでの演出が肝心。シンプルなボトムスと合わせても華やぐのが「コンシャストップス」の魅力です。この春夏の「ガリャルダガランテ」には3つのコンシャスに目配りしたアイテムが相次いで登場しているから、春夏コーデの「相棒」をぜひ見付けてみてくださいね。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。