FASHION JOURNALIST
RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.92
春を迎えて、装いが軽やかになってくると、ウエスト周りが気になり始めます。ウエストゾーンをすっきり見せるには、いろいろなテクニックがあり、シャツやアウター、タンクトップなど、アイテムごとに手法は様々。今回は「ガリャルダガランテ」の春アイテムを使った、上手な細見え技を5つのバリエーションでご案内します。
着丈が短いシャツは、上半身をコンパクトに見せてくれます。着丈の長いシャツは、裾の処理に悩むところがあります。ボトムスにウエストインすると、腰のあたりがもたつくのも困りもの。でも、クロップド(短め)丈であれば、1枚で着てウエストアウトしてもすっきり整えられます。
シャツ姿を「きちんと見え」させるには、ウエストインがお約束。しかし、実際にインすると、ちょっとお腹ゾーンが窮屈になりがちです。しかし、クロップド丈のシャツなら、裾をボトムスに収めなくてもきれいに映ります。
両方の胸に備えた、フラップ(ふた)付きのビッグポケットがアイキャッチーなサファリシャツです。マニッシュ感とカジュアル風味を兼ね備えたサファリシャツは、オンでもオフでも出番を選ばない、融通の利くトップスです。
サファリデザインの長所は、前を開けて、軽い羽織り物として着回せるところにもあります。Tシャツ1枚だけでは何だか様にならない日のライトアウターとして重宝に使えます。
クロップド丈は上半身を小ぶりに見せてくれるから、腰から下が細長く映るスタイルアップ効果が期待できます。写真のように足首まで届くタイトめのロングカートで合わせれば、さらにほっそり。ワイドパンツも好パートナーです。
ひじ丈のハーフスリーブは春から秋までロングシーズンで出番あり。袖先を軽くロールアップして、フレンチスリーブに仕上げると、軽やかな見え具合に映ります。
色はホワイトとベージュの2色から選べます。ベーシックなホワイトはオールマイティーに着こなせる色。やや茶色味を帯びたベージュはナチュラルな雰囲気。アウトドア感もまとえます。
真夏でもさわやかな着心地の理由は、コットン52%、麻(リネン)48%という絶妙ミックスだから。リネンならではのサラリとした肌触りが涼感を連れてきます。
コットンのやわらかい風合いと、麻の控えめなつやめきが混じり合って、自然体のムードが漂います。穏やかな素材感が装いのムードも演出。自宅で手洗いOKなのは、汗をかきやすいサマーシーズンにうれしいポイントです。
リネン特有の適度な張り感があるので、蒸し暑い日でも肌に張り付きません。立体的なシルエットを保ってくれるから、ボディラインを拾いすぎないのも、このシャツのよさです。
クロップド丈のおかげで、身長に関係なく、グッドバランスで着回せます。ビッグポケットは華奢感も引き出してくれそう。手持ちのロング丈ボトムの出番を増やせるので、着こなしのレパートリーもぐっと広がります。
スレンダー感を際立たせる小技の一つに、生地にわざとしわを寄せる「ギャザー」や「シャーリング」があります。細かいしわを寄せて、目の錯覚で、くびれイメージを強める仕掛け。この効果を引き出すには、ひもを引き絞って、しわをこしらえるアジャスターやドローストリングス(引き紐)が便利です。
こちらのサファリジャケットには、ウエストの高い位置にアジャスターをぐるっと通してあります。手軽なワンアクションでギュッと絞れば、布が縮まって、服がボディにフィット。好みの絞り加減に調整すると、思い通りのしわが生まれて、ウエストを細く見せてくれます。「布が余っている=ボディが細い」という、うれしい勘違いを誘うディテールです。
ゆったりしたリラックスシルエットです。正面の打ち合わせは、ボタンを見せない「比翼仕立て」。ボタンの開け具合を自由に選べます。ウエストをアジャスターで絞ると、裾が広がって、さらに、めりはりが加わります。さらりとした着用感があり、肌離れがよいのも、このライトな混紡素材だからこそ。ナチュラルな落ち感も備わっていて、イージーに着こなせます。
ネックラインが深めで、胸元がフェミニンな印象に。ネックレスもうまく収まります。袖まくりもきれいに決まる袖ぐりなので、多彩な袖アクションを選べます。
シアー素材で仕立てたライトアウターは、前を開けて、羽織り物として使いやすいから、春から秋にかけての微妙な温度調節も任せられます。
一般的なサファリジャケットはややハードなコットン生地で仕立てるので、タフな見え具合になりがち。ところが、こちらは体に沿うしなやかなシルエット。その理由はやわらかいレーヨン主体のシアー(透ける)素材だから。レーヨン38%、ポリエステル34%、ナイロン28%という、コットンフリーの混紡なので、ありきたりのサファリジャケットよりずっと軽快に着られます。
色はサファリジャケットらしいベージュとグリーンイエローの2色をご用意。ベージュはくすみピンクのようなソフトトーン。グリーンイエローは緑っぽさがきつすぎない、ピスタチオのような色味です。手洗いOKのお手軽ケアは、夏に助かる仕様です。
太ももにかぶさるチュニック丈なので、落ち感が印象的。タフ感を遠ざけたしなやか素材のおかげで、ボトムスを選びません。裾がたっぷりしている分、パンツで合わせると、レッグラインが細見えします。
【Cabana】パンツ ¥29,700
【TONY BIANCO】ナローストラップサンダル ¥30,800BUY
【Gabriela Artigas】ネックレス ¥57,200
スクエアネックのデコルテ見せでウエストが細く見える仕掛け。カービー(曲線的)なボディラインを描いてくれます。
首からデコルテにかけてのゾーンを四角く切り出す「スクエアネック」のトップスは、肩周りに視線を引き込むから、ウエストが引き締まって映るシルエットです。スタイリングに特段のテクニックを用いなくても、着るだけでめりはりが引き立つ「知恵いらず」のトップスです。
こちらのカットソーはスクエアネックが上品なデコルテラインを描き出します。全体はハーフスリーブのコンパクトな造りなので、飾らない華奢感が備わっています。
縦には切れ込まない、横長のスクエアネックだから、肌見せも節度を保った見え具合に。肩口から袖につながるラグランスリーブが伸びやかなムードを醸し出しています。
さわやかな着心地の理由は、凸凹感がしっかりしたワッフル素材にあります。ワッフル特有の起伏は、素肌と接触する面積を減らし、快適な肌触りに導いてくれます。コットン100%ならではのソフトなタッチ。太めの糸がワッフルの凸凹感を強めました。
このコンパクトな形を引き立てるホワイトとブラックの2色が用意されています。どちらもコーデに悩まないベーシックカラーなので、シックにもクールにも寄せて、自分好みの見え加減に整えられます。
上半身のすっきり見えを引き立てるには、ゆったりめのワイド幅ボトムスを引き合わせて。量感のたっぷりしたボトムスに、トップス裾を収めて着れば、トップスのコンパクトさが際立ちます。白と黒のベーシックカラーはボトムスとの相性を選びません。
裾は横一直線ではないから、ウエストアウトで着ても、こなれた印象が漂います。自然とボディに沿う伸びやかなフィット感は、気負わない着映えに仕上げてくれそう。
背中側のボタンがチャームのような働きをして、視線を引き寄せます。ボタンを開けて、背中側のヌーディー感を高める着こなしも試せます。
【R JUBILEE】パラシュートパンツ/別注 ¥35,200BUY
サマールックらしい健やかイメージを象徴するトップスは、タンクトップやノースリーブでしょう。ボディになじむシルエットは引き締まった上半身を印象づけます。
ボリュームの豊かなボトムスとのコンビネーションを組み立てれば、一段と上半身がコンパクトに映ります。トップスの裾をボトムスにウエストインして、腰から上の小ぶり感を引き立てるのが上手なスタイリングです。
こちらのタンクトップが一般的なタイプよりもヘルシーに映るのは、肩をきれいに見せる「アメリカンスリーブ」のおかげ。アメリカンスリーブは脇の下を斜めにカットする、袖ぐりの深さが持ち味なので、開放的な見え具合が生まれています。
似ている「ホルターネック」と違って、背中側にもちゃんと身頃があるから、露出が多すぎず、着て行けるシーンが広め。ノースリーブでも露出が多すぎないのは、ネックラインが詰まっているから。シャツやサマーカーディガンを羽織ると、手軽に肌見せ具合が調節できます。
こちらのニットタンクトップは表地がポリエステル54%にレーヨン46%で、裏地はポリエステル100%と、伸縮性に富んでいて、ボディにナチュラルフィット。でも、ほどほどの肉厚に編んであるので、ラインを拾いすぎません。バストカップ付き仕様のおかげで、ボディにしっかりなじんでくれます。
小ぶりの見え具合は装いに抜け感を添えます。暑い日やカジュアルコーデの日は1枚で着て。透ける羽織り物を重ねれば、涼やかなサマーレイヤードの出来上がり。ジャケットやシャツを重ねる選択肢もあって、出番の多いマルチユースのアイテムです。
色はオフホワイトとブラックの2色から選べます。どちらも癖のない基本色だから、組み合わせレパートリーに困りません。肌なじみがよく、素肌の透明感を引き出してもらえる点でも頼れる色。自宅で手洗いOKのイージーケアは、清潔感を意識したい夏に助かる機能です。
カジュアルに着るならデニムボトムスが相棒の候補に。きれいめパンツやタイトスカートで合わせて、すっきりした着映えにまとめる選択肢も。トップスがコンパクトだから、全体がスレンダーに映ります。写真のように少し余裕のあるボトムスのウエストにトップススをインして、ほんのりたるみや隙間をこしらえると、見た目の錯覚を誘って、ウエストがいっそう細見えします。
【A.EMERY】レザーフラットサンダル ¥27,280BUY
【MODERN WEAVING】ネックレス ¥38,500
【STUDIO AMELIA】バッグ ¥59,400
(c)Rie Miyata
色のコントラストでめりはりを際立たせるなら、やはり「白×黒」のミックスが最強です。品格を示すモノトーンのコーデに仕上がる点でも重宝なコンビネーションです。
こちらは白シャツと黒ロングスカートでまとめています。シャツの裾をウエストインして、くびれを印象づけて。ウエストラインの上で少しだけシャツ裾をたるませる「ブラウジング」を施すと、さらに細感が強まります。
5つのウエストすっきり技はいかがでしたか。薄着になっていくシーズンには、こういった着こなしテクニックを生かしつつ、すっきりした表情のトップスをまとうのが賢いスタイリング。「ガリャルダガランテ」に出そろい始めた「技ありトップス」を、春からのおしゃれに役立ててみてくださいね。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。