FASHION JOURNALIST
RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.95
本格的な夏が間近に迫り、軽快に歩けるパンツルックの出番が増えてきました。デニムパンツをはじめ、見慣れたパンツ姿ですが、カジュアルに見えすぎないよう、フェミニンに格上げして着こなしたいところ。上品な肌見せを意識すれば、涼やかでレディーライクな着映えがかないます。今回は「ガリャルダガランテ」の新作を入口に、サマーコーディネートの参考になりそうな3つの着こなしポイントをご案内します。
うっすらと透けるシアー(sheer)素材で仕立てた服は夏を快適に過ごしやすいアイテムです。英語の「sheer」は「薄手、透ける」という意味。トレンドが続いているから、今のおしゃれ気分を取り入れるうえでも好都合です。
「透ける」と聞くと、見えすぎが心配になりそうですが、今の傾向は「控えめ」。ほんのりシアーのブラウスは自然な立体感を生むので、着痩せ効果も引き出してくれます。
こちらのブラウスは袖を朗らかにふくらませたパフスリーブがやさしげな雰囲気。たっぷりしたボリュームが腕の華奢感を印象づけてくれます。シアー素材のおかげで、腕の輪郭だけが透け見えて、ゆったりユソでの隙間が際立つから、腕がほっそり映るわけです。
両袖の付け根部分にたくさんのタックをつまんであり、優美な見え具合。二の腕のカバーにも一役買ってもらえるディテールです。袖山がしっかりあるので、見た目のめりはりも備わっています。
ひじをカバーしつつ、手首が伸びやかに見える袖丈は、涼しさも上々。腕が細長く映る絶妙のレングスです。
ネックラインの開きが小さいので、エレガントな見え具合。お仕事ルックにも役立ちそうです。「ブラウスだけ」で過ごす日は、着映えが物足りなくなりがち。でも、こちらはボリューム袖が「1枚ルック」を退屈に見せません。身頃はミニマルだから、袖に主張があっても、甘くなりすぎないグッドバランスに仕上がります。
環境に配慮した再生繊維(セルロース)を85%も使っています。残りはポリエステル15%です。適度な張り感を持たせてあるので、素肌に付かず離れずの着心地をしっかりキープ。しかもシアー仕立てだから、蒸し暑い日でも、空気が通って、涼しく過ごせます。
穏やかな表情を帯びているのは、特殊なシボ加工を施してあるおかげ。控えめのつやめきも備わっています。手洗いOKの点は汗をかきやすい日にも頼もしい仕様です。
色はベージュとブラックの2色から選べます。やわらかいトーンのベージュは肌なじみがよく、スタイリングに苦労しません。ブラックは透け感と好相性。上品で大人っぽいムードを寄り添わせてくれます。
適度に華やぎを帯びたブラウスは、シンプルなデニムパンツや、すっきりシルエットのタイトスカートが絶好のパートナーボトムスに。フェミニン寄りのスカートと合わせれば、ドレッシーな場面にも着て行けそうです。
写真のデニムパンツは、ヴィンテージショップ“Where I Was From”のデザインスタジオから誕生したユニセックスブランド【B-SIDES】(ビーサイド)のストレートタイプです。「Levi's(リーバイス)」や「Wrangler(ラングラー)」の穿きこまれたデニムパンツの持ち味を保ちつつ、再構築とカスタマイズを施しています。
デニム文化が根付いているアメリカ南西部で仕入れているビンテージだから、特別な質感。色落ち、ダメージ加減などもそれぞれにオンリーワンです。もともとの風合いを生かした手仕事仕上げがこなれ感を引き出しました。
色は着回しやすいブラックだけです。ウォッシュをかけてソフトトーンに整えてあり、黒がきつすぎません。やさしい肌触りのコットン100%。13オンスの中肉厚デニムです。もちろん、手洗いOKです。
素材はベーシックですが、シルエットはしっかりアップデート。今っぽいハイウエストに仕上げました。ウエスト位置が高めだから、脚が長く映る仕掛け。全体に程々のゆとりがあるので、窮屈さを感じないで、ストンと穿きこなせます。
足首まで届くフルレングスはトップスとの相性を選びません。今回ご紹介したブラウスのようなきれいめトップスとも合わせやすい重宝パンツ。フェミニン靴を迎えるのも賢い合わせ方です。
【B-SIDES】ストレートデニム/Plein Jean BK ¥28,600 BUY
【PELLICO】アンクルストラップメッシュシューズ ¥57,200BUY
【MANITA】BOXショルダーバッグ/別注 ¥27,500 BUY
【MODERN WEAVING】カーブフープピアス ¥28,600 BUY
【Gabriela Artigas】リング ¥50,600
サマーシーズンに着たくなるのは、涼しく過ごしやすいノースリーブのトップスです。腕を出すと、さわやかで元気な印象に。ボディをコンパクトに見せられるのも、ノースリーブのメリットです。
ノースリーブのトップスはさっぱり見えがちですが、こちらのブラウスはそんな心配無用です。背中側の肩にタックを入れて、立体感をアップ。腕が自然と細く見える造りです。
実は「ガリャルダガランテ」で以前から人気を博しているブラウスのアップデート版です。今回はポリエステル82%、アセテート18%という、サステナブルなストレッチ素材にバージョンアップ。FSC認証(森林認証)を得たサスティナブルなアセテートです。
きちんと感と着心地の両立度合いをさらに高めました。シワになりにくいところもヘビーローテーションを助けます。自宅での手洗い可だから、こまめに洗濯したい夏場でも安心して着られます。
二の腕が露出するノースリーブでも、こちらはシルエット全体のバランスに配慮して、すっきりした見え具合に導いています。後ろ肩のタックは背中が広く見えすぎない効果も引き出しました。細かいところにも目配りが行き届いています。たとえば、サイドポケット。ハンズフリーの快適ウォークを助けてくれます。
色はどちらも使い勝手のよいベージュとブラックの2色。グレイッシュなベージュは生地のナチュラルな風合いを引き立てる色味です。ベーシックなブラックはマルチに着回せます。
上下がそろいのセットアップで着こなすと、ノーブルな印象がアップ。こちらは同じ生地のテーパードパンツが用意されています。色もブラウスと同じベージュとブラックがそろっています。
サラッとした着心地と、上下そろいならではの落ち着きがかなう「いいとこ取り」のセットアップ。マットな質感も大人感を寄り添わせてくれます。
ノースリーブ・セットアップのよさはシーズンをまたいで着やすいところにもあります。秋から先にはジャケットやカーディガンを羽織って着続けられます。袖がないおかげで、レイヤードで着ても、腕まわりがもたつきません。
やや深めの股上は、ヒップ周りをソフトに包み込みます。2タックを配してあり、楽な穿き心地です。裾に向かって徐々に細くなっていくテーパードシルエットはレッグラインをシャープに描き出します。足首ゾーンがほっそり映る軽快フォルムです。
窮屈な締め付け感がないのは、ウエストの背中側にゴムを通してあるから。自然なフィット感が生まれました。「0」と「1」の2サイズが用意されていて、自分に合ったサイズを選べます。
【TONY BIANCO】ナローストラップサンダル ¥30,800 BUY
【Demellier】ハンドバッグ/Santa Monica ¥51,700
【MODERN WEAVING】ピアス ¥29,700
【MODERN WEAVING】チョーカー ¥38,500 BUY
【Gabriela Artigas】リング ¥50,600
身頃に適度なゆとりがあるので、ストレスフリーに着られます。脇の開きが小さいから、腕を動かした際の見え加減も気になりません。サラッとした触感で、肌離れのよい生地がさわやかな着用感に導きます。
先に紹介した【B-SIDES】のデニムパンツに合わせれば、クールな着こなしに。生地の張り感が強すぎないから、ウエストインもスムーズ。1枚で過ごす日は、クラシックなバッグでエレガント感を添えてみましょう。
【B-SIDES】ストレートデニム/Plein Jean BK ¥28,600 BUY
【PELLICO】アンクルストラップメッシュシューズ ¥57,200 BUY
【Demellier】ハンドバッグ/Nano Montreal ¥53,900
【MODERN WEAVING】チョーカー ¥38,500 BUY
【Gabriela Artigas】リング ¥50,600
夏を軽やかに過ごす「切り札」的アイテムは、やはりカットソー(Tシャツ)です。ボディになじみ、伸びやかに着られます。こちらのカットソーは控えめのシアータイプ。一段とエアリーな着心地に加え、フェミニンな着こなしを楽しめます。
一般的なTシャツと違って映るのは、デコルテをきれいに見せるネックラインの効果。鎖骨周りの素肌をヘルシーにのぞかせました。着心地の楽ちんなカットソーなのにドレッシーという頼もしさ。二の腕までカバーする袖の丈感もコンパクトな印象を与えています。
Uの字ネックの襟ぐりが深めなので、顔周りが明るく見えています。そのままヌーディー感を演出してもよし、広めに開いたデコルテゾーンにネックレスを迎えるのもよし。サマールックに華やぎを上乗せする小技を試せます。
しなやかにフィットしているのは、細かなリブ編み仕上げならでは。薄手でソフトなポリエステル100%ニットは素肌にやさしくなじみます。
ドライタッチ素材は汗抜けにすぐれ、熱がこもりにくいので、着疲れしにくいのもうれしいポイント。伸縮性に富んでいて、セカンドスキン(第2の皮膚)のよう。レジャーの日もアクティブに動けそう。もちろん、自宅での手洗いOKです。
1枚で着られるのに加え、インナーとしても活躍するトップスです。色は透け感が生きるホワイト、明るいライトグレー、頼もしいブラックという3色が用意されました。いずれも癖のないベーシック色だから、色違いでそろえておくと、着回しバリエーションがさらに広がります。
スレンダーに映るのに、着心地は楽ちんという、何だかずるいほどに上出来のアイテム。しかも程よいシアー感まで帯びていて、重宝に着回せそうです。
先にご紹介したテーパードパンツの黒と合わせれば、ブラック特有の引き締め効果がパワーアップ。全身がスッキリと映ります。
【PELLICO】アンクルストラップメッシュシューズ ¥57,200 BUY
【SOPHIE BUHAI】ネックレス ¥80,300
【SOPHIE BUHAI】リング ¥94,600
(c)Rie Miyata
トレンドのシアー素材で仕上げたトップスは、きらめきモチーフをたっぷり施されて華やかな印象。この夏はこのようなアッパー感を帯びたカジュアルスタイリングが盛り上がる気配。じわじわ復活しつつあるローライズのデニムパンツで、勢いづく「Y2K」気分(2000年代に流行ったLAセレブ風スタイル)も呼び込んで。若々しく見せながらも、ゴージャスさを漂わせる格上の休日コーディネートに整えています。
パンツルックをフェミニンに格上げするには、相棒役のトップスが決め手になります。風合いやシルエットに工夫やアレンジをこらしたトップスを選んで肌見せするのが成功の鍵。セットアップで決めれば、オンでもオフでも品格ルックに仕上がります。「ガリャルダガランテ」が提案する上々の「シアー」「ノースリーブ」「デコルテ見せ」トップスを取り入れれば新鮮コーデに。夏のパンツルックを自分らしく乗り切っていきましょう。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。