FASHION JOURNALIST
RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.96
真夏に向けて、ノースリーブは重宝するアイテムです。だらしなく見せない決め手は細部にまで目配りの行き届いたシルエットが美しい「上出来トップス」を選ぶこと。品格を保った「きれい見え」に役立つのは、ボウタイブラウス、ロングシャツ、フレアカットソーの3つ。「ガリャルダガランテ」のサマーアイテムをワードローブに迎えれば、「上品に涼しい」という夏の夢が叶います。各アイテムの魅力と着こなしをご案内します。
ノースリーブのブラウスは割とサッパリして見えやすいから、印象的なディテールが添えられたタイプが重宝です。おすすめディテールはボウタイ(リボン)。レディーライクな雰囲気と立体感が際立ちます。身頃の真正面に位置するので、夏の装いのムードメーカーにぴったりです。
細身のスティックパンツで合わせても、エレガンスが薫るのは、ボウタイの優美さがあればこそ。裾をウエストインすれば、一段と「きちんと感」が出ます。ダークカラーのパンツを選んで、スタイリッシュなツートーンにまとめて。真夏でもルーズに見えないコーディネートです。
肩から張り出して、二の腕に少しだけ掛かる袖は、腕をほっそり見せてくれます。ゆったりした身頃も華奢感を引き出す仕掛けです。後ろにも細かいギャザーが入っているので、バックスタイルが優美な見栄えに仕上がります。
控えめな透け感を生かして、ジャケットを重ねるレイヤードに生かせば、ロングシーズンにわたって着回せます。袖がないおかげで、羽織り物を重ねても、腕まわりがごわつきません。
【PELLICO】アンクルストラップメッシュシューズ ¥57,200BUY
【ANNIKA INEZ】フープピアス ¥26,400 BUY
【Le Chic Radical】クリスタルブレスレット ¥20,900 BUY
【SOPHIE BUHAI】リング ¥94,600
タイトめのロングスカートで合わせると、細長いイメージが際立ちます。ボウタイも長めに垂らすのが縦落ち感を強めるコツ。グレーやベージュ系のニュアンスカラーのボトムスを選べば、穏やかな着映えに整います。
上品なつやめきを帯びたコットンシルク素材だから、1枚で着てもエレガントに仕上がります。薄着で過ごしたいサマーシーズンに出番が多くなりそうなお役立ちブラウスです。
1枚で着ても、しっかり華やぎが備わるのは、太めのボウタイが視線を引き込むから。ボウタイをゆるく結んで、端を遊ばせると、気負わない雰囲気に映ります。
ボウタイをキュッと結んだり、長く垂らしたりと、アレンジを変えることによって、別の表情を引き出せます。前後スイッチとの組み合わせで、さらに着こなしパターンが増えるから、自分好みの見え具合を自在にアレンジできます。
シルクならではの上品な光沢感が魅力です。コットン70%にシルク30%を混ぜた、やさしげな質感。ほんのり透けるシアー素材で仕立ててあり、エアリーな風合いです。シルクを使っているので、洗濯はドライクリーニングになります。
色はホワイトとグリーンの2色から選べます。ホワイトは控えめの透け感があり、グリーンはほのかに緑がかったニュアンスカラー。どちらも着こなしのバリエーションが広い色味です。
肩にたっぷりとギャザーを寄せてあるから、優美な表情が備わりました。立体感が高まって、着痩せ効果も生まれています。ヒップが隠れる程度の着丈があり、裾をウエストアウトして、シャツジャケット風にも着られます。
「ガリャルダガランテ」が得意とする、前後をひっくり返して2WAYで着られる仕様です。襟の詰まり加減や、ギャザーの見え具合が前後で異なるから、着回しレパートリーを格段に増やせる1着です。
【TONY BIANCO】ナローストラップサンダル ¥30,800 BUY
【ZANCHETTI】ハンドバッグ/AMLETO24 ¥179,300
【Gabriela Artigas】リング ¥50,600
清潔感やさわやかさを大事にしたい夏は、シャツの出番。羽織り物抜きでもしっかり様になる「上物シャツ」は頼もしい存在です。
こちらのシャツは着丈の長いチュニックシャツです。襟がキリッと立つメンズライクなたたずまい。スリーブレスの仕立てを生かしてロングジレ(ベスト)のような縦長シルエットに仕上げられます。
袖がないのに「きちんと見え」するのは、襟から前立てにかけての端正な表情のおかげ。オーバーサイズのシルエットでも、横に広がらないスリーブレスならスッキリ映ります。
本体の素材はコットン100%なので、汗ばむ日でも涼やかに過ごせます。特殊加工でシャリ感を持たせてあり、肌触りも快適です。
色はアイボリーとミントの2色が用意されています。肌なじみのよいクリーミーアイボリーは自然体のムード。淡いミントは見るからに涼しげな色味です。
ゆとりを持たせた、適度に風が通って、素肌に張り付きにくい仕立て。自宅で手洗いOKの仕様は真夏の出番を増やしてくれそうです。
肩口から張り出したフレンチスリーブが二の腕をさりげなくカバー。腕の細感も引き立ててもらえます。さらに、ヒップが隠れるロング丈なので、タイトスカートを合わせたときに絶妙な細長コーデに仕上がる仕掛けです。ストンと落ちるフォルムなので、ボディラインを拾わず、体型をぼかしてくれます。
【TONY BIANCO】ナローストラップサンダル ¥30,800 BUY
【Demellier】ハンドバッグ/Nano Montreal ¥53,900
【MODERN WEAVING】ノットスタッドピアス ¥29,700
フロントを開けて、羽織り物として着れば、軽やかな印象に。夏の冷房除けにも便利なライトアウターとして重宝します。ディテールにも凝っていて、裾は横一直線ではなく、曲線を帯びたラウンドヘムに。ウエストアウトで着ると、朗らかな動感が際立ちます。便利なサイドポケットも添えました。
身幅にゆとりがあるから、タンクトップに重ねるような着方でも、レイヤードがもたつきません。1枚で過ごすのが気になるときのサマーレイヤードに便利です。
メンズ風味を生かすなら、細身のパンツが好相性。ウエストアウトして着れば、腰から下が一段と細見え。シェフやカーゴなどのイージー系パンツで合わせて、リラックスした雰囲気を醸し出す着方も選べます。
大人っぽさやクリーン感が強まる、おすすめのコーデは、同じ生地で仕立てたパンツとのセットアップです。スーツにも通じるトータル感と、ノースリーブならではのくつろぎテイストが響き合って、オンリーワンの装いにまとまります。
パンツの裾が深く折り返されていて、足元のアクセントに役立っています。裾アクションの効果で、気負って見えない、程々のカジュアル感を帯びたコーデが仕上がりました。
質感もカラートーンも上下でそろっているので、サマールックで物足りなく感じがちな「きちんと感」は申し分ありません。でも、ノースリーブのおかげで、一般的なスーツのような堅苦しさはオフ。さわやかなドライ感のある生地だから、上下で着れば、いっそう心地よく過ごせそうです。
細すぎも太すぎもしないストレートタイプのパンツなので、脚にまとわりつきません。適度に空気をはらんで、涼しく穿ける点でも夏向きの1本です。「0」と「1」の2サイズが用意されていて、自分に合ったサイズを選べます。色はシャツと同じアイボリーとミントの2色があります。もちろん、パンツも自宅での手洗いOKです。
多彩に着回すうえでのキーアイテムは靴です。バレエシューズやローファー、ハイヒール、スニーカーなど、それぞれの靴が持つムードに合わせて印象も様変わり。写真のようにフェミニンなストラップのヒールサンダルで抜け感と程よいフェミニンを醸し出す選択肢もあります。
【TONY BIANCO】ナローストラップサンダル ¥30,800BUY
【paco rabanne】バッグ ¥101,200
夏の主役的なトップスは、やはりカットソー(Tシャツ)でしょう。着て楽なうえ、ストレスフリーに過ごしやすいのは、カットソーの強み。でも、イージーやルーズに見えがちだから、一工夫を加えた1枚を選びたいところです。
こちらのカットソーは一見しただけでも、ありきたりのタイプとは違うと感じられます。ノースリーブのはずなのに、どこかエレガントに映るのは、細部に秘密があるからです。
このカットソーは「ガリャルダガランテ」の定番的な人気トップスです。人気の理由は、カットソーの枠を超えるようなディテールの凝り具合。無地でシンプルなのに、特別感が際立つ「極上カットソー」です。
最大の違いは後ろ姿の美しさ。たっぷり布を使って、大きめのドレープが優美なシルエットを生みました。波を打つ布がドレッシー感を引き出しています。
ヒップがしっかり隠れているのは、背中側の着丈が長い「前後アシンメトリー」のフォルムならでは。落ち感が引き立っているのに加え、風通しも良好です。
一般的なカットソーは1枚で着ると、後ろ姿がやや素っ気ないイメージになりがちですが、こちらは背中側がドラマティック。優雅なフレア仕立てで、まるでミニ丈ワンピースをまとっているかのようです。
裾をウエストアウトして着ると、ドレーピーな裾が躍る楽しさを感じられます。本来はゆるく見えがちなウエストアウトなのに、ラフに見えるどころか、ドレスライクな雰囲気に。「Tシャツでドレッシー」が叶う、サプライズな逸品です。
カジュアルボトムスの王道的なデニムパンツで合わせても、写真の通り、きれいめに整えられます。パンツもスカートも、相棒ボトムスを選ばない受けの広さは頼もしい限り。カットソーにしっかりデザイン性が備わっているので、手持ちワードローブを生かした、自在のスタイリングを試せます。
【RE/DONE】デニムパンツ ¥58,300
【STUDIO AMELIA】パンプス ¥101,200
【STUDIO AMELIA】ドロストリングバッグ ¥66,000
【Le Chic Radical】パールチョーカー ¥36,300
ネックゾーンは開きを抑えて、ノーブルな見え具合に仕上げました。アームホールにはタックを施して、立体感を出しています。サイドスリットを入れてあるので、ボトムが適度にのぞいて、動きが加わるつくりです。ウエストゾーンにゆとりがあり、締め付け感フリーで過ごせます。しかも、ドレープの効果で、着痩せ見えまで叶うおまけ付きです。
素材はコットン100%だから、汗をかく日でも軽快に過ごせます。なめらかな風合いで、着心地は格別。自宅で手洗いOKなのに加え、繰り返し洗っても毛羽立ちにくい特殊加工を施しました。
色はオフホワイト、ブルー、ネイビーの3色が用意されています。オフホワイトは反射光を招き入れて、顔周りを明るく見せてくれそう。くすみがかったブルー、重たく見えないネイビーはどちらも夏らしいクール感を連れてきます。
3色の選択肢があるので、パンツとのコンビネーションを多彩に組み立てられます。ネイビーと白パンツなら、コントラストがくっきり出ます。涼やかなツートーンはお仕事シーンにもなじみそうです。
【TONY BIANCO】ナローストラップサンダル ¥30,800 BUY
【Demellier】ハンドバッグ/Nano Montreal ¥53,900
【GABRIELA ARTIGAS】STIRRUPチェーンネックレス ¥57,200BUY
【GABRIELA ARTIGAS】リング ¥50,600
(c)Rie Miyata
ノースリーブの魅力は、コンパクトなバランス感にまとめやすいところにもあります。夏ルックの決め手はミニ丈ボトムス。大復活が続くミニスカートは、絶好のパートナーボトムスです。スタンドカラーのノースリーブシャツは、首周りに開きがなく、レディー感の高い着映えに。正面やアームホールにフリルやギャザーで複雑な表情が加わっています。ボトムスには大きなタックを配したミニスカートを迎えて、「グッドガール」風のコーデに仕上げました。足元はローファーでトラッド感を投入しています。
両腕が出るノースリーブでも、質感、シルエット、ディテールの3点に目配りをきかせたタイプなら、品格を損ないません。涼しく過ごしやすいのに加え、自分好みに着こなしやすい進化形ノースリーブを選んで、暑いシーズンをさわやかドレッシーに乗り切ってみませんか。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。