FASHION JOURNALIST
RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.98
まだ夏の盛りですが、実は秋以降も出番が続くサマーアイテムがあります。それはショートパンツ。ミニ丈ボトムスのトレンドが続いていて、ショートパンツもおしゃれの主役級に出世しました。かつては若向きでカジュアルというイメージがありましたが、トップス選びやブーツミックスを工夫すれば、ぐっと大人感がアップ。秋以降はレイヤードに生かして、全身のバランスを整えるスタイリングが有望です。今回はショートパンツとロングブーツで好バランスを生み出すコーディネート術を、「ガリャルダガランテ」のおすすめルックからご案内します。
膝上丈のショートパンツは、動きやすく元気に映るから、休日ルックの切り札的なボトムスです。大人がまとうには、知恵と技を生かした格上アレンジを試して。たとえば、スッキリした印象のストライプシャツを引き合わせれば、ぐっと落ち着きが増します。
全体を黒×白でまとめているから、ショートパンツの装いなのに、全体がシックに仕上がっています。ストライプシャツの裾をウエストアウトして、落ち感をアップ。細い縦縞の効果で、ほっそりイメージも高まりました。
ウエストアウトのおかげで、ショートパンツが程よく隠れて、子どもっぽく映りません。ショートパンツを幅広い場面で着るのに役立つスタイリングです。適度にラフで気負わない雰囲気が備わるのも、シャツをウエストアウトするメリット。まるでシャツワンピースをまとったかのようなコーディネートです。
こちらのショートパンツはリサイクルナイロン素材(ナイロン100%)で仕立ててある、サステナビリティーに配慮したタイプです。手洗いOKのイージーケアは、汗をかきやすい夏に助かります。
色はどちらもベーシックなホワイトとブラックの2色から選べます。脚と布との間に、動きを邪魔しないだけのスペースが保たれているランニングショートパンツなので、風通しがよく、キビキビ歩けます。レッグラインが華奢見えするのも、このシルエットならではのよさです。
クールな雰囲気を印象づけているのは、膝上まで届くロングブーツ。ショートパンツ姿で気になりがちな脚の素肌見えを程よくブロック。秋になったらブーツを取り入れて、フェティッシュで凜々しいムードを寄り添わせてみましょう。
組み合わせるトップス次第で、自在にムードを変えやすいのは、ショートパンツが着回しに重宝な理由です。軽やかに過ごしやすいから、カットソーは夏の選択肢の筆頭。Tシャツでは薄着感が高くなりますが、スウェットならライトに見えすぎません。ショートパンツの相方にもうってつけです。
スウエットで合わせれば、スポーティなムードがアップ。ムードミックスのおすすめは、着古したような古着ライクなタイプ。ショートパンツ姿にこなれ感を添えてもらえます。長袖はひじまで袖をまくり上げると、リラクシングに映ります。
ボトムスを癖のない黒か白に決めて、トップスの表情を引き立たせるのが上手な着こなし。トレンドカラーのグリーン系なら、ナチュラル感や涼やかさが際立ちます。
こちらは膝の高さでロングブーツの履き口あたりをくしゅっとたるませています。たるみが生むボリューム感は、実際以上に脚をシャープに見せる効果を発揮。ショートパンツと組み合わせた細見え小技は秋冬に試す価値大です。
こちらのショートパンツは自然なシワ感を帯びた、特殊な加工を施してあるので、やわらかい質感が備わっています。シルエットはスポーティで、表情はのどか。出番を選ばないオールマイティーなモデルです。
見た目以上に着心地が楽ちんなのは、ウエストにぐるっとゴムを通してあるから。動き回る日でも、ずり落ちの心配がない、ストレスフリーの仕様です。
撥水性を持つリサイクルナイロン素材なので、割とタフに扱えます。光沢感がないマットな風合いを生かして、つやめきトップスと組み合わせると、質感の違いが際立ちます。
フレンドリーな雰囲気を宿している点を生かして、あえてキレイめのトップスとのマリアージュを試すテイストミックスもおすすめです。そのほか、デニムシャツを選んで、アクティブな雰囲気に寄せたり、フリルブラウスで合わせてチャーミングに仕上げたり。ロゴ入りのリッチめTシャツなら、人気が続く「Y2K(2000年頃に盛り上がった、LAセレブ風の着こなし)」風にもまとめやすいので、夏の間から予習してみてもよさそうです。
【NEBULONI E.】ブーツ ¥121,000
季節にとらわれない「シーズンレス」の着こなしが一段と浸透してきました。夏服を秋以降も着回すのは、おしゃれのコストパフォーマンスを高めるうえで「おいしいスタイリング」。ショートパンツも今では秋冬に出番がいっぱい。かさばって重たく見えがちな秋冬ルックに、軽快さやキュート感を加えるキーピースとなりつつあります。
つまり、ショートパンツはオールシーズン使えるアイテムになったわけです。選択肢が豊富な今のうちから調達しておくのが賢い秋冬支度となります。
秋冬のおしゃれでは、レイヤードを楽しみやすくなります。袖の無いスリーブレスアウターを1枚持っていると、温度調節はもちろん、レイヤードスタイルにも奥行きが出ます。今シーズンのおすすめは、程よい膨らみのあるボリューム感でつくる立体的なフォルムのコーデ。ダウンベストは羽織るだけでボリュームコントラストが決まります。
春夏に重宝していたボーダーカットソーの上に羽織れば、季節をまたぐ時期にも便利なコーデに整います。上半身にボリュームを持たせたレイヤードは、腰から下の細見えに直結。ショートパンツとの「ボリューム落差」を際立たせるので、腰から下がぐっと華奢見えするスタイリングです。
ロングブーツ以外に、このようなシンプルなパンプスと合わせると、足首ゾーンが引き締まって映る仕掛け。上品な小ぶりバッグとの連携も、大人感を漂わせてくれます。パンプスとバッグをホワイトカラーで統一して、大人にふさわしいエレガンスとカジュアルが融合したショートパンツルックに仕上げました。
ストッキングやタイツを組み込んで、ミステリアスなムードやエレガントな表情をまとわせやすいのも、秋冬ならではのアレンジ。様々なトップスと合わせられるうえ、今までと違ったムードでおしゃれを楽しめる点でも使い勝手のよい着こなしです。
(c)Rie Miyata
太いストライプ柄のショートパンツ(写真左)に、シャツの裾をきっちりウエストイン。ウエストのすっきり感を引き出しました。シャツとの組み合わせはショートパンツをスタイリッシュに演出してくれる効果があります。サングラスを首元ではなく、ウエストにはさんで、さりげなくアクセントにしているのも真似したい小粋ワザ。ウエスタン風のロングブーツが意外感を寄り添わせています。ショートパンツを普通に見せない工夫があちこちにちりばめられているのがわかります。
ショートパンツは着て行ける場面が広がってきたうえ、着こなしのバリエーションをも一段と増えてきました。しかも、シーズンをまたいだ「ほとんど通年」での活用が期待できるだけに、手に入れやすい夏が絶好の購入タイミング。秋以降のおしゃれを、夏のうちから準備できる点でも通年着回し派には好都合。「ガリャルダガランテ」の逸品ショートパンツを選んで、ワードローブをグレードアップしてみませんか。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。