FASHION JOURNALIST
RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.99
デニムのブームが戻って来そうです。でも、これまでのストリートカジュアル寄りとは違って、今度は大人仕様が主役に。シーンフリーに着こなしやすい上質テイストや新感覚シルエットがレディーライクなデニムルックの決め手。海外おしゃれスナップのデニム着こなしにはヒントがいっぱい。さらに「ガリャルダガランテ」の新作と合わせて、デニムコーディネートをアップデートしていきましょう。
大人がデニムを着こなす際は、デニム特有のカジュアル感を抑え込むスタイリングがポイントになります。きちんと感が加わるから、ジャケットを重ねるのは、王道的なチョイスです。
自分好みにアレンジするには、ジャケットに「キャラクター」を持たせて。たとえば、こちらはうっすらとミリタリー風味を帯びたジャケット。タフでクールな雰囲気が加わりました。さらに、デニムブルーを上手に生かして、シャツも同系色を迎える「トーン・オン・トーン」の配色を使うのがポイントです。
ブーツにメタリックな装飾を施したタイプを迎え入れたのも、デニムルックに非日常感を添えています。見慣れたデニムパンツも、コーディネートにひとひねりを加えるだけで、こんなに様になるという実例です。
デニムパンツが浮かないスタイリングの代表的なパターンは「デニムonデニム」です。デニムジャケットを引き合わせれば、全体のまとまり感が格段にアップ。デニムシャツでも同じ効果を見込めます。
スタイリッシュに見える理由は、ジャケットの着丈が長めだから。自然な落ち感が備わっています。襟がないノーカラーも、Gジャンに比べてエレガント見えしている理由。クロップド丈パンツとブーツのコンビネーションが足元をスッキリ見せています。
上手な小物使いは大人流のデニムonデニムを格上げしてくれます。襟からロングスカーフをなびかせて、縦落ち感を演出。ウエストにはゴールドベルトを巻いて、アッパーに仕上げました。
デニムジャケットとデニムパンツの組み合わせは、見慣れたイメージもあるだけに、一工夫が肝心です。こちらもデニムonデニムですが、バイカー風ジャケットを選んだおかげで、凜々しい雰囲気に仕上がっています。
襟を立ててクールさを演出しました。首まわりが華奢に見え、小顔効果も上々。チャーミングな白のミニバッグがストリート感を遠ざける効果を発揮。パンツの裾をブーツに無造作に収めたところも、こなれ感が備わっている理由です。
デニムonデニムでまとめる場合、色落ち加減や素材感を、上下で少し変えると、適度な「ずれ感」が生まれます。手持ちのデニムアイテムをマルチに着回すのにも役立つ組み合わせ方。白バッグと黒ブーツでコントラストを効かせているのも、上手な工夫ポイントです。
デニムブームが続く中、「ガリャルダガランテ」の新提案は、立体的なバレルシルエットのパンツです。英語の「Barrel」は「樽」という意味。実際には少しだけふくらみを持たせた、着心地のゆったりしたタイプです。
スタイリスト・村山佳世子さんとのコラボレーションから生まれたアイテムです。ゆるっとした着用感は、さすがのバランス。欧米のファッショニスタが好むシルエットに、誰もが穿きやすいよう、アレンジを加えています。
モデルのRINAさんが着たルックでもわかる通り、腰まわりをきれいにカバーして、脚をシャープに見せてもらえるスグレモノのデニムパンツです。ゆったりフォルムが大人の余裕も印象づけてくれます。
ワイドめで立体的なシルエットの理由は、前後にダーツを入れてあるから。デニムパンツでは割と珍しい工夫です。突っ張り感が気になりがちな、膝上から脇にかけてのゾーンが楽なので、伸びやかな気持ちに誘われそうです。
素材はコットン100%で、自宅での手洗いOK。12.5オンスの生地だから、見た目以上に軽い着心地です。色は青の抜け具合が異なるブルーとスカイブルーの2色から選べます。インディゴのしっかり利いたブルーと、適度なヴィンテージ感を帯びたスカイブルーの違いを生かした着こなしを楽しめます。
穿きこなしのコツは、バレルシルエットならではのボリュームを生かした、めりはりの際立つ上下コンビネーションにあります。コンパクトなトップスを選べば、細感を引き出せます。定番白シャツの上から、ビスチェ風のウエストシェイパーでくびれを強調するスタイリングはこれからブームになる気配が濃厚です。
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ノスタルジックなたたずまいのデニムパンツは、レトロ人気を追い風に、一段とファンを増やしています。控えめのダメージ加工やエイジング加工もヴィンテージ風味を引き立てるキーディテールです。
ほのかに裾が広がるソフトフレアのシルエットは、70年代ライクな景色。脚をスレンダーに見せてもらえる効果も期待できそう。裾のカットオフ仕様は気取らない雰囲気を寄り添わせています。
デニム生地には「ごわつく」「突っ張る」といったイメージがありましたが、こちらのコットン100%生地はしなやかなソフトタイプ。レッグラインに無理なくなじんでくれるから、ストレスフリーに穿きこなせます。自宅で手洗いOKの、長い夏に頼もしい仕様です。
涼やかなサックスブルーはシーンを選ばずに着回しやすい色。ライトなブルートーンが自然な抜け感を帯びているので、ドレッシーなトップスと組み合わせて、こなれた印象に整えられます。
たとえば、写真のようにロマンティックなブラウスを引き合わせると、コーディネートにめりはりが加わります。あえて上下で異なるムードを醸し出すのが、表情を深くするコツです。サックスブルーのデニムパンツに、シックな黒シューズとバッグが好相性を発揮。大人女性にふさわしい秋からの着こなしに導いてくれます。
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上下がそろった「デニムonデニム」はきれいめに着こなしやすいことから、世界的に支持が広がっています。デニムジャケットで合わせるパターンが多いのですが、こちらのようなジレ(ベスト)を選べば、重たさを遠ざけられます。
控えめな裾フレアの形は、レッグラインを拾いにくくなっています。程よい張り感があり、きれいなシルエットを保つ効果を発揮。センタープレスがきちんと感と美脚効果をダブルで引き出す仕掛けです。
パンツはコットン100%の上質デニム生地で仕立てました。ワンウォッシュを加えた、深いネイビーの色合いが印象的です。上品なインディゴブルーが大人感を高めています。
同じ素材で仕立てたベストとのセットアップ使いは、統一感を際立たせるコツ。見慣れたデニムジャケットとは違って、コンパクトでドレッシーな見え具合に仕上がるのも、このコンビネーションのよさです。
ベストはノーブルなラウンドネックがレディー感を印象づけます。フロントは一般的なボタン留めではなく、開けていても目立ちにくいホック留めなので、自在の開け閉めが可能です。たとえば、襟元だけを閉じれば、裾が遊ぶ「Aライン」のシルエットに様変わりします。サイドには深めのスリットを入れてあり、動きやすさもしっかり保たれています。
両袖がない点を生かして、多彩なレイヤードを組み立てられます。秋からはボウタイや袖コンシャスなどのエレガントなブラウスで合わせるマッチングが候補に。一方でタートルネックやセカンドスキンなど、フィット感のあるトップスなら、クールに着こなせます。オールシーズンで着回せるので、出番が絶えない重宝ベストです。
デニム生地は独特の雰囲気を帯びているから、小物と靴をムードメーカーに使っていきましょう。首元にはボリュームネックレスを迎えて、顔周りの華奢感を引き出して。クリーンで清楚な白のバッグとシューズで合わせれば、デニム素材の深みが引き立ちます。
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この秋は空前のデニムブームが到来しそうな兆しが見えています。デニムを着慣れているファッショニスタのスタイリングは絶好のお手本に。デニムアイテムは身近でポピュラーな存在だけに、自分らしさを醸し出すアイテム選びが肝心。例年以上の豊作となった「ガリャルダガランテ」のデニムシリーズから、お気に入りを探してみてくださいね。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
Special Thanks!
大野ウィリアム桂充
フォトグラファーとしてアパレルや芸能を中心とした撮影を行なっており、現在6ブランドを担当。パリコレやNYコレクションのストリートスナップ撮影も行なっている。
Instagram : @wko_.16
HP : https://wkono16.wixsite.com/mysite-1