FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.102
FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.102
秋からの装いに重宝するパンツは自然と出番が多くなります。割とシンプルな着方に落ち着きがちですが、実はコーディネートの選択肢は多彩。クールにもフェミニンにも寄せられます。おすすめの「新・正解」はハンサム顔のパンツを主役に迎えて、トップスやアウターでムードを操るアレンジ。グローバルなおしゃれ上手たちの街角スナップは着こなしのヒントがいっぱい。今回は「ガリャルダガランテ」の新作パンツをご紹介しつつ、取り入れたくなる上出来コーデを読み解いていきます。
パンツルックはカラートーンを上下でそろえると、狙ったムードを印象づけやすくなります。こちらのルックはカーキ系でまとめて、ミリタリー色を濃くしました。
カムフラージュ柄を配したアウターが主役級の存在感。同系色のチノパンツで合わせて、カジュアル感を添えました。ベーシックなカジュアルパンツは、このようにインパクトのあるトップスやアウターとのコンビネーションに組み入れると、上々のバイプレーヤー(脇役)を演じてもらえます。ミリタリー系でありながら、やりすぎに見えないのは、控えめなチノパンのおかげです。タートルネックは裾をきっちりウエストインして、コンパクトに見せました。髪の毛をタートルネックに収めた小技もウィットを感じさせます。
見慣れた黒やネイビーの無地パンツも、スタイリングの工夫次第で、別の表情を引き出せます。仕掛けどころはトップスや小物類。地味に見せないアレンジをマスターすれば、お仕事用だと決め込んでいたパンツの出番が広がります。
細かいプリーツが施されたエリザベスカラーのシャツがロマンティック。ブランドロゴがアイキャッチーなサスペンダーを使って、ネイビー系パンツとつなげています。パンツの裾は深めに折り返して、足首を見せることによって、抜け感をプラス。靴はローファーを選んで、トラッド感を投入。指先に提げたマイクロバッグはまるでアクセサリーのよう。ツートーンに抑えて、ノーブルなパンツルックにまとめました。
クールな雰囲気をまとうのなら、レザー仕立てのパンツが選択肢になります。質感がつややかなので、コーディネートが単調に見えません。タフな女性像を引き出せるのも、レザーパンツならではのよさです。
全体を黒系でまとめて、凜々しいスタイリングに。細身のレザーパンツがフェティッシュなムードを醸し出しています。ジャケットとグローブはマットな質感で、レザーのつやめきとのコントラストを際立たせて。すっきりとした「I」の字シルエットを描いて、細感を強めました。バッグと靴にだけ白を迎えて、モノクロのアクセントを印象づけているのも気の利いた小技です。
ベージュやオフホワイトのような、癖の強くないニュートラルカラーを使うと、パンツルックを穏やかな雰囲気に整えられます。コーディネート全体にニュートラルカラーをあしらうと、いっそうソフトなたたずまいに。トップスは表情のやわらかいニットがおすすめです。
ヴィンテージ風の素材感を帯びたパンツは、こなれた着映えに導いてくれます。トレンドの勢いが強まっている「レトロ」のムードも呼び込めそう。こちらのパンツはどちらもやさしげなベージュ。色違いでオフホワイトがあります。
ポリエステル100%の生地はシルクのような程よいつやめきを宿しているから、上品で華やかな見え具合。ゆったりしたフォルムがドレープを生んで、パンツに陰影をもたらしてくれます。抜群の軽さも軽快に過ごせる理由です。自宅で手洗いOKのイージーケアは頼もしい限り。気負わないエフォートレスな着こなしに向く風合いです。
着心地の楽なイージーパンツなのに、大人っぽさも兼ね備えています。ウエストはぐるっとゴムを通した仕様だから、窮屈感のない、ストレスフリーの着用感です。シルエットもゆったりめのストレートなので、体型を選びません。ダボついて見えにくい適度な太さは脚に付かず離れず。引っかかりを感じないから、足裁きも自然と軽やかになりそうです。
ほんのりと光沢があるから、トップスは異素材のニットが第一候補に。質感の違いが装いに深みを加えてくれます。秋だけでなく、アウターを羽織るだけで、冬にも着続けられる重宝ボトムスです。靴でムードを操るスタイリングが着回しバリエーションを広げます。
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紳士服ライクなハンサム顔のスラックスパンツは、きれいめに着こなしやすいから、出番が絶えません。正面にセンタープレスを施したタイプは、「きちんと感」がしっかり出て、マルチに着回せます。
赤のパンツはマニッシュとフェミニンが同居。はっきり色は申し分なしの華やぎムード。パンツルックでもあでやかな装いに仕上げられます。オータムカラーらしいブラウンのタートルネックとも色の相性がマッチ。トップスの裾をきっちりウエストインして、腰から下を伸びやかに見せています。
脚線がすっきりと映っているのは、裾に向かって細くなるテーパードシルエットだから。さらに、ハイウエストで脚長効果を上乗せ。タックとセンタープレスが落ち感を際立たせました。
色はレッドとブラックの2色が用意されています。鮮やかなレッドは、地味にまとまりがちな秋冬ルックをつやめかせてくれそう。シックなブラックは出番を選ばないオールラウンドプレーヤー。レッグラインの細感を引き出してくれるでしょう。
シャープな見え具合なのに、窮屈さを感じないのは、伸縮性に富む生地だから。後ろのウエスト部分にゴムを通してあるので、締め付けられない快適な穿き心地を約束してもらえます。自宅で手洗いOKのイージーケアです。
膝から上に余裕を持たせたワイドめのシルエットは動きを邪魔しません。レッグラインを拾わないから、スラリとしたきれいな立ち姿に。徐々に細くなるテーパードがスレンダー感を高めています。
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ツイードと並ぶ、秋冬の代表的な織物に「フラノ」があります。やや厚手のフランネルです。フェルト風の質感が装いに品格と落ち着きをもたらしてくれます。フラノで仕立てたスラックスパンツは大人感の漂うボトムスです。
脚が自然に泳ぐワイドさが絶妙のさじ加減。少し太めのストレートシルエットは、お仕事ルックにもプラウドな表情をまとわせてくれそう。ウエストに2本のタックを寄せて、ダボつきを抑えつつ、程よいゆとりを実現しました。
全体を同じようなカラートーンでまとめれば、きれいな縦長シルエットに整えられます。ロング丈のチュニックで合わせると、しなやかな印象のパンツルックに。かさばって見えにくいスタイリングは、秋冬にうれしいレパートリーです。
色はネイビーとチャコールグレーの2色から選べます。どちらも静かな色味で、深みを帯びているから、しなやかなフラノ素材の風合いを引き立ててくれます。
ハイウエストを生かすことで多彩に着こなせます。トップスの裾をウエストインすれば、太めのパンツ幅が上半身をコンパクトに見せる効果を発揮。逆に、腰から下は長く映ります。写真のチュニックのように、着丈が長めのトップスをかぶせたり、オーバーサイズのアウターを重ねたりといったアレンジは、縦長イメージを増幅してくれます。
【paco rabanne】nanoショルダーバッグ ¥107,415
【NEBULONI E.】ロングブーツ ¥97,900
パンツはおなじみのボトムスですが、スタイリングのバリエーションは今回紹介したように多彩だから、マルチに着回せます。着こなしのコツは、ハンサムなイメージを保ちつつ、トップスやアウター、小物類で、ムードを自分好みに微調整するアレンジ。冷たい風をブロックしたい秋冬には、パンツの頼もしさが増すだけに、何パターンものバリエーションを試してみてくださいね。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
Special Thanks!
大野ウィリアム桂充
フォトグラファーとしてアパレルや芸能を中心とした撮影を行なっており、現在6ブランドを担当。パリコレやNYコレクションのストリートスナップ撮影も行なっている。
Instagram : @wko_.16
HP : https://wkono16.wixsite.com/mysite-1