FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.103
FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.103
秋のおしゃれを格上げしてくれるものに「ディテール」があります。「ディテール」とは、「細部」という意味で、リボンやフリル、ギャザー、タック、プリーツなど、シルエットとは別に、ムードや表情を深くするパーツや飾りのこと。上質な生地とのミックスは、装いの奥行きを深くしてくれます。今回は、このディテールを生かした、秋ルックのスタイリング法を海外おしゃれスナップと「ガリャルダガランテ」の新作からレクチャーします。
ロマンティックでクラシカルなディテールの代表格と言えるのがリボンです。正面のボウタイ・リボンがしっかり主張して華やか。さらに、ティアード(段々)仕様になったラッフルがワンピースの流れ落ちるようなシルエットを強調しています。
リボンやフリルが印象的なドレスも秋冬はアウターを羽織れば、街着仕様で着回せます。ワンピースを包み込むかのように、オーバーサイズのメンズ風コートを羽織って、甘さをセーブ。ピンク系のワンピースに、キャメルトーンのコートを重ねて、ジェンダーミックスの着こなしに仕上げました。
ディテールに深みのあるウエアは、上下1枚ずつの「ワンツー」ルックで着ても、コーディネートに深みが出ます。秋冬にアウターをオフした屋内ルックをさびしく見せないスタイリングに役立つディテールには、ギャザーやドレープが挙げられます。
全体をベージュ系で上品にまとめたパンツルックです。表情が豊かに見えているのは、生地の風合いを生かしているから。ワンショルダーのトップスはねじって交差。ハーレムパンツ風のボトムスは、ギャザーを寄せて、ドレープもたっぷり。ゆったり広がった裾は遊ばせて、ボリューミーな見え具合に。脚をのぞかせて、華奢感も引き出しました。
色を全体にそろえる「ワントーン」は、統一感が出るのに加え、上品な大人感も漂うから、上手に使いこなしたいコーディネートです。ただ、のっぺりして見えがちなところもあるので、ディテールで変化を加えるアレンジが役に立ちます。
サーモンピンクのブラウスとミニスカートのセットアップですが、子どもっぽさがなく、エレガントに見えている秘密は、上下の両方に施したタックプリーツにあります。不規則に施されたタックプリーツが立体感を強めました。襟元とウエストから長く垂れた、細めのリボンはフリンジのよう。風に躍って、動感をもたらしました。袖先のオーバーレングスも抜け感を添えています。
クラシックな装いがトレンドとなっている今シーズンは、品格やエレガンスが印象的なブラウスを1枚迎え入れると、絵になります。決め手は襟とボウタイ・リボンのディテールです。
ゆったりしたボウタイ・リボンが正面にきれいな落ち感を寄り添わせます。ふわっと軽く結べば、穏やかな表情が備わります。顔周りを華やかに演出してくれるブラウスと言えるでしょう。
立ち襟のヴィクトリアン風カラーがクラシックなたたずまい。細かいフリル状のギャザーがレディーライクな雰囲気を呼び込みました。襟にボリュームがあるので、自然な小顔効果も生まれています。
色はホワイトとサックスブルーの2色から選べます。どちらも気品が薫るノーブルカラー。素材は綿100%で、自宅での手洗いOKです。
秋冬はアウターを着る機会が増えますが、室内でオフした際に、さびしく見えにくいウエアを選びたいところ。襟元のフリルと優雅なボウタイ・リボンのおかげで、アクセサリーもいらないほど。1枚で着て様になる主役級ブラウスは絶好の選択肢に。お呼ばれイベントやパーティーにもなじむ重宝ブラウスです。
ボリュームが正面にあっても全体のシルエットはコンパクトめのサイズ感なので、ジャケットやカーディガン、ジレなどの羽織り物を重ねても、もたつきません。自在のレイヤードが楽しめる、頼もしい1着です。
ボウタイの落ち感を生かした、タイトスカートとの「ロング×ロング」のコーディネートなら、すっきりしたシルエットが一段と引き立ちます。さらに、ロングブーツを合わせて、アルファベットの「I」の字を描くようなほっそりシルエットを強調しました。
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シックな装いに、上質感を宿らせるのは、素材を生かした「風合い」です。織物生地の複雑な風合いが奏でるムードは、静かなエレガンスをまとわせてくれます。細かいギャザーのようなディテールが加わると、格上テイストが薫ります。
ジャガード織りで仕立てられたワンピースには、クラシックなムードが漂います。ジャガード織りとは、柄や模様が浮き上がって見えるような、凹凸が出る織り方で作られた生地のことです。布地に印刷したプリント生地とは違って、生地に織り込まれているので、立体感や高級感が備わります。
ふんわりとしたシルエットがロマンティックなムードを醸し出しました。ウエスト部分の切り替えに、細かくギャザーを寄せて、生地の質感を引き立てています。そのおかげで、たっぷりとしたドレープが生まれ、優美に映る理由となっています。
ほかにも凝ったディテールがいろいろと用意されています。たとえば、背中側に配されたリボンもその一つ。リボンを絞れば、肩紐の長さを調整できるので、いろいろな着丈にアレンジできます。
シャープな見え具合なのに、窮屈さを感じないのは、伸縮性に富む生地だから。後ろのウエスト部分にゴムを通してあるので、締め付けられない快適な穿き心地を約束してもらえます。自宅で手洗いOKのイージーケアです。
ブラックとホワイトの2色が用意されています。どちらも上品な雰囲気のベーシックカラーですが、ジャガード織りのおかげで、落ち着きとリュクスが同居する質感が実現しました。ポリエステル75%、レーヨン25%の混紡なので、しわになりにくいイージーケア。ラメの光沢がジャガード織りの表情をいっそう深くしています。
デコルテゾーンがきれいに開いた、キャミソールライクな仕立てだから、何種類ものレイヤードを組み立てられます。このように同系色の黒カットソーに重ねれば、モードな着こなしに。先に挙げたボウタイ・ブラウスとも好相性を発揮します。
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布をつまみ縫いする「タック」は、ひだを作り、服に陰影をもたらします。自然な細感を引き出せるのもタックのいいところです。
一般的なタックは、ウエストのすぐ下に入れることが多いのですが、こちらのロングスカートでは、ウエストよりずっと下のあたりから入れているので、意外な見え具合に。ふわっとしたニットトップスとのコントラストが際立ち、ウエスト周りをすっきり見せる効果も発揮しています。ありきたりのタック加工とは別物の「技ありディテール」です。
ウエスト周りはボリュームを抑えつつ、ヒップから下に量感を持たせたシルエット。ドラマティックな裾広がりが印象的な、甘すぎない印象の大人フレアースカートです。
凛とした雰囲気を帯びて映るのは、ドレス用で知られるタフタ生地ならでは。タックとドレープの響き合いから生まれる、ふんわりしたやさしげシルエットは、重たくなりがちな秋冬ルックに柔和なイメージを寄り添わせてくれそうです。
色はライトグレーとブルーの2色から選べます。ドレープが趣深く映るのは、タフタ生地が控えめなつやめきを宿しているから。ポリエステル90%とナイロン10%で織り上げました。適度な張りのあるタフタ生地は装い全体を落ち着いたムードに導いてくれます。自宅での手洗い可の素材です。
腰下にしっかり表情があるので、トップスの裾をたるませてウエストインすれば、ウエスト周りが引き締まって見えるのもうれしい長所。装いのムードメーカーは靴。今シーズンは、スカートの裾からロングブーツをのぞかせるのが旬のコーデ。服とブーツで色のコントラストを際立たせるのが賢い合わせ方です。
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味わい深いディテールは、装いにグッドセンスをまとわせる決め手の一つです。過剰に飾り立てなくても、ボウタイやギャザー、タックなどで、生地の上質感を引き立てる演出は、レディーライクなおしゃれに導いてくれます。秋のおしゃれスタイリングに、クラシカルなディテールが詰まったアイテムを迎えて、自分らしい着こなしを叶えてみませんか。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
Special Thanks!
大野ウィリアム桂充
フォトグラファーとしてアパレルや芸能を中心とした撮影を行なっており、現在6ブランドを担当。パリコレやNYコレクションのストリートスナップ撮影も行なっている。
Instagram : @wko_.16
HP : https://wkono16.wixsite.com/mysite-1