FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.106
FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.106
ミニスカートに代表されるミニ丈ボトムスの人気が続いています。1990~2000年代の装いを復活させた「Y2Kファッション」が盛り上がり、10~20代が先行。今では大人世代にもミニ人気が広がってきました。大人が着こなすにあたっては、チープに見えない、素材の上質感が肝心。冬にまとうなら、レッグウエアやブーツとの組み合わせ方もポイントになります。春夏とは別のムードで冬に着こなせば、着ぶくれを防いで、元気感も印象づけられそう。海外おしゃれスナップと「ガリャルダガランテ」の新作から、「冬ミニ」のコーディネート術をよりすぐってご紹介します。
ガーリーに見えがちなミニスカートを、大人っぽくまとうには、上下そろいのセットアップが向いています。統一感があるので、上品なたたずまいに。黒や白、グレーなどのベーシック色でまとめれば、さらにシックに映ります。
ツイード生地で仕立てたモノトーン系のセットアップはノーブルな落ち着きを漂わせています。クロップド丈のジャケットが上半身をコンパクトに見せています。膝上のミニスカートなのですが、びったりし過ぎず、ひらひらもしない、絶妙な曲線的フォルムがポイント。黒のトリミング(縁取り)がシャープな印象を添えました。パールのネックレスがリュクスな風情。一方、足元は厚底のコンバット顔ブーツを履いて、タフ感を加えています。
「シャネル(CHANEL)」の代名詞的なツイード生地は品格を印象づける素材です。上質な素材を選ぶのは、ミニ丈ルックを格上げする近道。ツイードのミニ丈ワンピースは、シャツライクな襟や洗練されたモチーフのおかげで、アッパー感を帯びました。
ミニ丈を目立たせないためには、小物やディテールで視線を散らす戦略が効果的。こちらの襟付きワンピースはゴールドボタンがアクセントになったエレガントなデザイン。フープイヤリングやバッグチェーンとも響き合っています。レッグラインは黒タイツで引き締めつつ、ストラップサンダルで抜け感を添えました。
ミニ丈部分に視線を集めすぎないよう、襟や袖といった、離れたポジションにアイキャッチーな演出を施すと、全体のバランスが整います。こちらのミニ丈ワンピースは、ひじから先が大胆に広がった「ベルスリーブ」が見どころです。
さらに、ダイナミックなアート柄がまるで絵画をまとったように知的なクール感も呼び込みました。フューチャリスティック(未来的)なデザインのアイウエアも視線を引き上げています。適度にたるませたサイハイブーツは、レッグラインを逆にシャープに印象付ける効果を発揮。トレンドのロングブーツを賢く履きこなすコツです。
こなれた着映えにミニスカートを仕上げるには、トップス&靴とのコンビネーションが大切です。甘く見せないコツは、トップスにメンズ風のアイテムを迎えるところ。秋冬の靴はロングブーツを選べば、素肌がのぞく面積を抑え込めます。サイハイブーツと組み合わせると、ミニスカートとブーツの隙間に素肌が少しだけ見える好バランスに仕上がります。
こちらのラップミニスカートは癖が強くないタイプだから、自在に着こなせます。タイトすぎず、広がりすぎずの絶妙なシルエットが大人感の理由。ストンとした落ち感も備わっているので、スレンダーな印象に。逆に、ブーツで量感を出すと、レッグラインが細見えします。
ベージュとチャコールグレーの2色から選べます。どちらも自然なニュアンスを帯びつつも、プレーンなトーンなので、コーディネートが楽。手持ちのワードローブと組み合わせやすいのも、着こなしレパートリーを増やしやすい理由です。
腰から下がほっそり見えているのは、シャツの裾をウエストアウトしているから。ミニスカートの形がストレート寄りなので、きれいな落ち感が出ています。巻きスカート風のデザインが動きを添えました。
あたたかみを感じさせる風合いはウール素材が主体のおかげ。裏地が添えてあるので、実際のぬくもりもしっかり。レザーの質感が印象的なロングブーツとのコーディネートは、互いを引き立て合うコンビネーションです。
【Whiting&Davis】メタルメッシュポシェット ¥29,700BUY
【NEBULONI E.】スエードニーハイブーツ ¥121,800
先にご紹介したラップミニスカートのチャコールグレーがこちらです。全体をダークトーンでまとめると、ミニスカート姿がレディーライクな落ち着き感を帯びます。黒系の効果で、見た目のボリュームを抑えやすいのも、このスタイリングのいいところです。
タートルネックのセーターは、縦長シルエットを際立たせてくれるので、着ぶくれが気になる冬ルックの強い味方。ブラックカラーとの相乗効果も大です。さらに、ニット帽をかぶって、縦寸をアップ。ミニスカートから目をそらす効果も期待できます。帽子は目立ちやすいアイテムだから、装いのイメージチェンジャーにうってつけ。カジュアルに見せるならニット帽、上品に仕上げるならつば広帽やクロッシェ(釣り鐘タイプ)を選んで。
ラップスカートは打ち合わせの重なる部分の裾がアシンメトリーで、脚を動かすたびに、程よく揺れ動きます。スリットのような見え具合がレッグラインをきれいに見せてくれます。裾が横一直線のスカートよりも、細感を引き出しやすいヘムライン演出です。
引き締まった脚線を印象づけるには、黒系のタイツとダークトーンのロングブーツを組み合わせて。ブーツの履き口に、少しだけ余裕のあるタイプは、細感を醸し出してくれます。タイツは編み地が濃すぎない、素肌がほんのり透けるものを選ぶと、センシュアル(官能的)なムードが漂います。
ミニスカートの勢いが続いていますが、マルチに着こなしやすく、動きが自由という意味では、ミニ丈のパンツも使い勝手に優れています。アクティブな雰囲気やアンチガーリーな見え具合も、今の気分になじみそうです。
大人感を保って着こなすなら、超ミニのホットパンツ形を避けて、膝上丈程度のハーフパンツを選ぶのがおすすめです。裾幅に余裕のあるタイプは、脚線が細見えします。
こちらのニットハーフパンツは毛93%なので、コットンパンツに比べて、普段着感が抑えられています。極めて細い繊維で仕立ててあるから、肌触りがソフト。素足で履いてもチクチクしにくい仕上がりです。秘密はカシミヤと同等の細さという「スーパーエクストラファインメリノ」を使用しているから。コットンパンツとは別物の格上感も寄り添います。
色は穏やかムードのアイボリーとクラシカルなネイビーの2色が用意されています。どちらも上品に着こなしやすい色合い。上手にまとうには、トップスとの色コントラストを利かせて。たとえば、写真ではアイボリーのパンツにグレー系のトップスを引き合わせました。濃い色と淡い色という具合に、上下でトーンをずらすと、全体にめりはりが出ます。
もともと軽快な雰囲気のハーフパンツを、もっと軽やかに見せるのは、白系の靴がおすすめ。スニーカーがお約束的な存在ですが、冬は白ブーツの出番。白スニーカーよりもぐっとエレガントに映ります。逆に、黒系のブーツで、クールに仕上げる選択肢もあります。ハーフパンツはボリュームがかさばらないうえ、スポーティな気分を宿しているので、重たく見えがちな冬ルックをコンパクトに演出してくれます。
冬にうれしい着やせ効果を高めるには、ゆったりめのトップスとの組み合わせが効果的。オーバーサイズ気味のトップス裾をウエストアウトすれば、膝から下がいっそうスレンダーに映ります。
【GIA STUDIOS】バッグ ¥68,200
【PIPPICHIC】エコストレッチショートブーツ ¥47,300 BUY
大人向きのミニ丈コーデ術は冬ならではの魅力がいっぱい。ロングボトムスに比べて、生地の面積が少ない分、上質な素材ときれいめのシルエットを選ぶのがチープに見せないポイント。トップスと靴での「サンドイッチ」に工夫すれば、ミニスカートの表情を何種類も引き出せます。冬ルックの大敵となる着ぶくれを避けながら、フレッシュに着こなせるから、冬こそミニ丈ボトムスを取り入れるチャンスです。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
Special Thanks!
大野ウィリアム桂充
フォトグラファーとしてアパレルや芸能を中心とした撮影を行なっており、現在6ブランドを担当。パリコレやNYコレクションのストリートスナップ撮影も行なっている。
Instagram : @wko_.16
HP : https://wkono16.wixsite.com/mysite-1