FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.109
FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.109
ボリュームのたっぷりあるアウターは冬本番のキーピースです。最近はスタイルアップ効果が見込める上出来モデルが登場。シルエット面でのトレンドになっている「ボリュームコントラスト」を際立たせるのが賢い着方です。海外おしゃれスナップと「ガリャルダガランテ」の新作ルックから、アウターの新傾向をチェック。年末年始のお出かけに重宝しそうなニューフェイスのアウターを押さえていきましょう。
ダウンや中綿をたっぷり詰めて、シルエットを膨らませたパッファー(ふわもこ)アウターは、過剰なほどの量感がかえって着やせメリットを引き出してくれます。着こなしのコツは、前を開けて着るところ。ボディが細見えします。これまでは無地タイプが多かったのですが、近ごろはあでやかに彩ったボリュームアウターも増えてきました。
ふくらはぎに掛かるロング丈のパッファーコートは全身を朗らかにくるみました。黒ベースにピンクのダイナミック柄がアートライク。抽象モチーフがコート姿を動きを加えてくれます。同じピンク系のワンピースとスニーカーで大人キュートに色をそろえて。明るい色の響き合いのおかげで、ボリューミーなコートルックも華やぎをまといました。
ファー(フェイク含む)素材のコートは、グラマラスな雰囲気を演出しやすい、冬ならではのアイテムです。近ごろはフェイクファーが主流になって、軽さや価格、手入れ面でのメリットも大きくなってきました。ゴージャスな印象が持ち味なので、ボトムスはシンプル系がおすすめです。
毛足の長い、白のムートン系コートでリッチ感を醸し出しています。シンプルな黒ワンピースとの組み合わせで、「白×黒」の王道的なコントラストがくっきり。膨張色の白と引き締め色の黒が互いを引き立て合って、ボディが華奢見え。パテント素材のバケットハットがクールな雰囲気を寄り添わせています。
ふわもこフォルムのアウターのうち、ナチュラル感が強いのは、ムートン系素材のコートです。ブラウンやベージュ系の色が多く、穏やかなムードをまとえます。装いに異素材感を持ち込めるのも、ムートン系が好まれる理由です。
ヘアリーな白いファートリミングをあしらったムートン系コートで立体感を際立たせました。ファーのふんわり感が利いて、ブラウンのムートン部分が引き締まって見えています。カラフルな花柄のスカートで合わせて、ボヘミアン調のムードを盛り込みました。カラータイツでモードな印象を加え、複雑なミックスコーディネートに仕上げています。
ファーアウターにはコートのイメージがありますが、近ごろのトレンドは短め丈です。コートとジャケットの中間的な「ジャコット」は人気のニューフェイス。ロングシーズンにわたって着られる重宝ウエアです。すっきりとした着丈バランスがかさばって見えにくいので、着ぶくれの心配もありません。
エコファー素材のジャコットは、コンパクトめに仕立ててあるおかげでボリュームコントラストがきれいに出ています。フォルムに工夫して、ゆったりとした着心地を保ちながらも、ボリュームをセーブできます。
顔が小さく見えているのは、大きめの襟が適度に主張しているから。スタンドネックにもなり、着回しバリエーションが多彩。大襟の量感を生かして、トップスはネック周りをシンプルに整える着こなしで。襟を立てれば、マフラー無しでも首周りを包み込んでくれます。
色はアイボリーとグレーの2色から選べます。どちらも癖が強くない色合いだから、手持ちワードローブとのマッチングに困りません。表地も裏地もポリエステル100%なので、軽くて扱いやすく、バサッと羽織って出掛けられます。
華やぎとカジュアル感を兼ね備えていて、一般的なファーアウターよりも気軽にまとえます。前を開けて、無造作にまとうのにも好都合。普段使いに向く、気取りのない1着です。
「ガリャルダガランテ」のセカンドライン「GALLARDAGALANTE NAVY(ガリャルダガランテネイビー)」ならではのエフォートレス感が持ち味。着丈は短めですが、ぬくもりはしっかり暖かい造り。こちらはオンラインストア限定商品です(例外的に一部店舗で取り扱う場合もあります)。
黒のシックなワンピースの上からさらりと羽織って、コントラストの際立つコーデに。ワイドパンツのようにボリュームのあるボトムスと合わせても、すっきりとした着丈が冬コーデにめりはりをプラス。見た目の引き締め効果も発揮してくれそう。デニムパンツと組み合わせたカジュアルダウンにも向いています。
ファーブルゾン【オンラインストア限定商品】 ¥22,000 BUY
【La nature linge】ベア天竺キャミソールブラ ¥12,100BUY
【GABRIELA COLL GARMENTS】LORO PIANAドレス ¥100,100
しっかりとダウンを詰めたジャケットは、真冬の防寒パワーが頼もしく、ウインタールックのアイコン的な存在です。着ぶくれしがちな欠点がありましたが、こちらのハイカラーダウンジャケットは過剰な「もこもこ感」を遠ざけています。
スタンドネックとコクーンシルエットの組み合わせが全体に立体感をもたらしています。冬服を重たく見せないコツです。斜めに施されたキルティングも引き締め効果を発揮しつつ、自然な落ち感を宿らせました。
清らかなムードのホワイトコーディネートに羽織ると、エレガントカジュアルのコーデに仕上がります。このようにトーンの異なるバイカラー(2色使い)でまとめると、きれいめ仕様に。逆に、同系色でそろえる「トーン・オン・トーン」のスタイリングを選べば、モダンな着こなしに導いてくれます。
北欧ブランド「6×1COPENHAGEN(シックスバイワンコペンハーゲン)」の逸品です。サステナビリティやミニマル志向など、6つのコンセプトに根差したクリエーションで知られています。
手洗い可能なイージーケアだから、気兼ねなくデイリー使いできそう。着丈はウエスト丈で、ボリューム感は控えめ。ボトムスとの相性を選ばないので、スタイリングに悩まずに済む重宝アウターです。
実はアウターを折りたたんでバッグへとコンパクトに収納できる「パッカブル」の仕様です。近ごろは急に温度が下がることが珍しくないから、バッグの底に忍ばせておけば、出先でも安心でしょう。
ウィメンズ服にはとかくポケットが足りないといわれますが、こちらは心配無用。左右の内ポケットに加え、右袖にはカードポケットも装備。さらに、内側背面には大きなシークレットポケットも用意されています。ポケットが多いと、ハンズフリーで出歩きやすく、移動が多い日でも、軽やかな気持ちで過ごせます。
色はブラウンとホワイトの2色が用意されました。冬らしいホワイトルックにまとめてもよし、落ち着いた雰囲気の茶系トーンでまとめてもよし。どちらも使い勝手に優れたユーティリティーカラーです。中綿はダウン90%にフェザー10%と、羽毛オンリーで構成しました。ハイネックの襟形なので、ネックゾーンもぬくぬく。寒い屋外でも体温を逃しません。
見慣れたダウンジャケットにも、着こなし方に変化が起きています。今の流れは「大人仕様」。これまではストリート感を帯びたカジュアル寄りのタイプが多かったのですが、上品に着こなしやすいダウンジャケットが支持を集めるようになってきました。
こちらのダウンジャケットは、ふっくらとしたボリューム感を備えながらも、やたらと膨らんでは見えない絶妙なバランスのシルエット。ありきたりのダウンジャケットとは違う、もっさり見えない量感が魅力です。
顔周りがシャープに映っているのは、大ぶりのフードが備わっているから。コンパクトな着丈なのに、程よい動きが生まれています。裾にはぐるっとドローコードを通してあるので、裾を絞って、シルエットに丸みを出すようなアレンジも可能です。
イタリア発のアウターブランド「BACON(ベーコン)」のダウンジャケットです。立体的なパターンが得意で、世界中のセレクトショップで引き合いの強い伸び盛りブランド。今のタイミングで迎え入れておく価値があるニューカマーです。
色はミルキーなホワイトとスモーキーなオリーブカラーの2色を用意しました。自宅で手洗いOKのダウンジャケットは、ヘビーローテーションの期待に応えてくれます。
絶妙な立体フォルムを生かした、多彩なレイヤードが決まります。前を開けて、着丈が長めのトップスをのぞかせれば、きれいな縦落ちイメージを印象づけられます。マフラーやストールを長く垂らす小技も有効です。
人気の続くミニスカートとのコンビネーションも上々。大人女性にふさわしいこなれたスタイリングに。サイハイブーツを引き合わせれば、さらにレッグラインがしなやかに映ります。
【BACON】ダウンジャケット/NEW CLOUD ¥93,500
【2.718】ニーハイブーツ ¥50,600
アウターが主役になる冬は、アウターに着られてしまわないよう、自分流になじませるのがスタイリングのポイントです。今回、ご紹介したような、コンパクトめのタイプなら、全身がくるまれたような見え具合にはなりにくいので、冬服を軽やかに見せてくれるメリットを感じやすそう。これまでのイメージをいい意味で裏切る新発想アウターが「ガリャルダガランテ」にそろっているから、春後半まで使える1着をこの機会に探してみてくださいね。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
Special Thanks!
大野ウィリアム桂充
フォトグラファーとしてアパレルや芸能を中心とした撮影を行なっており、現在6ブランドを担当。パリコレやNYコレクションのストリートスナップ撮影も行なっている。
Instagram : @wko_.16
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