FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.110
FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.110
2023年のファッショントレンドは、メンズ由来の「トラッド」や「プレッピー」が盛り上がってきます。キーアイテムはジャケット。クラシックや定番を少しだけひねる「ネオ・トラッド」が今年流。プレッピーを象徴するブレザーも気張らない感じで大人テイストにアレンジするのがポイントです。海外おしゃれスナップのコーディネートと、「ガリャルダガランテ」の新作をお手本に、ジャケットの今年流スタイリングを押さえていきましょう。
ジャケットの着方でマスターしたいパターンに「肩掛け」があります。両袖に腕を通さず、肩に引っ掛けるから、ショルダーラインが張って、華奢感を引き出せる羽織り方です。大人感も加わるので、レディーライクにまとえます。
キラキラの輝きパーツがあしらわれた服に、ダブルブレストのジャケットを肩掛け。シャイニーなきらめきを適度に押さえる効果を発揮しています。ボトムスはミニスカートで合わせて、レッグラインをすっきり見せているので、ジャケットの張り出し加減と好対照。さらに、足元はブーツで引き締めました。
ジャケットはお仕事ルックの主役級アイテムですが、普段使いにも向いています。デイリーに着こなすには、デニムパンツとの相性が肝心。色落ちデニムのほうがジャケットとのコントラストが際立ち、好パートナーになってくれます。
ベージュ系のジャケットを、デニムパンツに合わせて、リラクシングなきれいめルックに。スタイリングの決め手は、ランジェリー風のキャミソール。今年らしいセンシュアル(官能的)なムードが加わりました。斜め掛けバッグもアクセサリーのような存在感。ベージュ系でそろえる色合わせが上品な落ち着きを醸し出しています。
おしゃれマインドが上向く2023年は、ジャケットにも主張をまとわせたくなります。ベーシックカラーを選ぶことの多いアイテムですが、明るい色やつやめくディテールを迎えれば、華やぎも格別に。デニムパンツに重ねて、ミックスコーディネートに仕上げる着方がおすすめです。
形はベーシックでも、ラベンダー色のスパンコールをあしらってあるから、申し分のない華やかさ。ボトムスはあえてユーズド系ジーンズを選んで、程よくドレスダウン。白Tシャツも気取らない雰囲気。ミニバッグとパンプスは同系色のラベンダー系で品良く整えました。
23年春夏にはブレザーがトレンドアイテムに返り咲きそうです。永遠のトラッドアイコンだけに、オンとオフをまたいで自在に着こなせます。これから盛り上がりそうなのは、少しアレンジを利かせた「ネオ・トラッド」。きまじめ感を遠ざけた、ほのかにエフォートレスなムードづくりがスタイリングのポイントです。マニッシュなイメージがありますが、ブラウスやスカートといったたおやかアイテムとのマリアージュは「大人フェミニン」の装いに導くコーディネートです。
こちらのダブルブレザージャケットはあえてネイビー1色のみ。キレイめにもカジュアルにも着こなしやすい正統派ブレザーは、やはりネイビーで決まり。渋めのダークネイビーは着こなしのパートナーを選びません。ジーンズやチノパンなどとも絶妙の相性を発揮してくれます。
実は裏地はあでやかなボルドーだから、袖をまくった際に視線を引き込みます。襟裏にもボルドー系のカラークロスを張ってあるので、襟を立てると、凜々しさにあでやかさが加わります。
表地は毛52%で、ポリエステル48%の混紡で、軽やかに羽織れる仕立て。裏地は滑りのよいキュプラ100%だから、サラッとした着用感。生地とテーラリングの合わせ技のおかげで、適度な張り感が備わっていて、朝から晩まで着続けてもシルエットが崩れません。
ブレザーらしいアイキャッチーなアクセントは、4個の金ボタン。ダブルブレストならではの2列並びを生かすには、写真のように前を開けて。ジャケットの着幅が広がって、ボディが華奢見えします。格式を印象づける紋章モチーフのボタンは袖先にも3個ずつ並んでいて、腕の所作に品格を寄り添わせてくれます。
金ボタンの紺ブレは、すたれないタイムレスなアイテムなので、ずっと長く着られるのも頼もしいところ。手持ちのワンピースやスカートなどのフェミニンなアイテムと組み合わせれば、一段とこなれたスタイリングに仕上がります。
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ジャケットにはややかしこまった印象がありますが、時代とともに窮屈感のない、しなやかタイプが増えて来ました。「ガリャルダガランテ」のジャージーシリーズはその代表例。生地が突っ張らず、ボディにしんなりと沿うから、着心地は楽ちんです。
こちらのノーカラージャケットは、カーディガン感覚で着られるとあって、以前から人気の高いモデルです。襟がないのに加え、Vネックがすっきりしていて、シャープに映るシルエット。シンプルな黒パンツで合わせて、気負わないミニマルコーデに仕上がりました。ボトムスとシューズをブラックでそろえることで、レッグラインが引き締まって映ります。さらにブラックのクラッチバッグも添えました。
ジャージー仕立てのきちんと見えするジャケットはありそうで、なかなか見付からないアイテムです。着心地の秘密は、伸縮性に富んだジョーゼット生地にあります。自然とボディになじむから、ジャケットなのにストレスフリーです。
ジャージージャケットの長所は着心地だけではありません。ウール仕立てに比べて、ずっと軽くて、着疲れしにくいのは、自然と出番が多くなる理由。ポリエステル100%はシワになりにくいから、旅行や持ち歩きにも便利。暑苦しくないライトアウターはほとんどオールシーズンで着られる働き者。自宅で手洗いOKなのもうれしいポイントです。
色はキャメルとブラックの2色から選べます。クリーミーなキャメルとシックなブラックは、どちらもボトムスとの組み合わせに悩む心配がありません。手持ちワードローブと簡単に知恵いらずのコーデに導いてくれます。ほのかにつやめきを帯びているので、マットな風合いのパンツと好相性。シンプルさときれいめが融け合う名品です。
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こなれた雰囲気でジャケットをまとうなら、少し大きめのオーバーサイズが便利です。自分らしく着こなしている感じが出るので、大人の余裕も漂います。ただし、自分の目分量で「ワンサイズ上」を選んでしまうと、ダボッとした感じで肩が落ちてしまい、かえってもたついた見え具合になることも。デザイン段階からきちんと計算されたオーバーサイズ仕上げのジャケットを選ぶほうが様になります。
こちらのオーバージャケットはウールとリネンという相反する素材をミックス。質感に深みをもたらしています。適度な光沢を宿しているのは、この絶妙ミックスならでは。動きのたびに優美なドレープ感が出て、所作に気品を薫らせてくれます。
ウールリネンの風合いを最も引き出せる色としてベージュを選びました。だから、カラーバリエーションはなく、このベストカラーだけでのご用意です。裏地はポリエステル100%なので、サラリと着られます。
肩幅が広めのパワーショルダーは23年のトレンドシルエットです。他者にもたれかからないインディペンデントな女性像を印象づけてくれそう。プラウドな雰囲気も醸し出しています。
ナチュラルな表情を帯びたベージュは、同じ素材で仕立てたショートパンツと組み合わせると、さらに自然体ムードが引き立ちます。セットアップで着こなせば、軽やかでスポーティーなたたずまいに。ジャケットルックならではの「きちんと感」も備わっているから、幅広いシーンに着て行けます。
ほとんど通年で使えそうなユーティリティー度合いが頼りがいのあるセットアップです。手持ちボトムスに合わせて、着回しバリエーションを広げやすいのも、癖の強すぎないベージュカラーのよさ。人気が続くミニスカートにも品格を添えてもらえます。
カップインアメスリタンクトップ ¥14,300
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プレッピー、トラッドを現代的にアレンジした装いに注目が集まる今シーズンは、ジャケットの出番がますます増えていきそうな気配。オン・オフどちらでも使える点から、試さない手はありません。フェミニン服の上に羽織ればミックステイストに、カジュアル服に合わせればきれいめに格上げと、使い勝手は多彩。「ガリャルダガランテ」の紺ブレ、名品ジャージージャケット、オーバーサイズジャケット、3つそれぞれの魅力を肌で感じ取ってみませんか。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
Special Thanks!
大野ウィリアム桂充
フォトグラファーとしてアパレルや芸能を中心とした撮影を行なっており、現在6ブランドを担当。パリコレやNYコレクションのストリートスナップ撮影も行なっている。
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