FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.111
FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.111
ボリュームやディテールでブラウスの袖に主張をまとわせる演出「袖コンシャス」の人気が続いています。広く支持を集める理由は、エレガンスと主張が同居し、ブラウス1枚だけでも決まるから。クラシックなムードが盛り返す中、ヴィクトリアン時代のパフスリーブや、肩口が盛り上がったコンケープドショルダー、袖口が広がるベルスリーブなど、アイキャッチーな袖コンシャスが勢いづいています。1枚で着映えが叶うブラウスは春先からの重宝アイテム。今回は海外おしゃれスナップと「ガリャルダガランテ」の新作をお手本に、袖コンシャスなブラウスのまとい方を提案します。
「これぞ、袖コンシャス」といった、お手本のような大胆シルエットです。ボリューミーな袖のよさは、過剰なまでの量感のおかげで、着やせ効果が大きいところ。こちらは肩口から膨らんでいるので、小顔効果も引き出しました。
お姫様ライクなパフスリーブのワンピースは白との相乗効果で、ロマンティックな雰囲気を濃くしました。袖口はゴムで絞って、起伏を引き立てています。ゴールドのチェーンネックレスで強さをプラス。ギークな印象のアイウエアも表情を深くしています。こちらはンピースですが、ブラウスで取り入れるときにも参考になるシルエットです。
袖にボリュームを持たせる場合、主なスポットは肩周り、二の腕、ひじ先の3カ所です。それぞれに印象や効果が異なるので、狙いにマッチした袖演出を使い分けられます。腕を動かすたびに目を引くのは、ひじから袖先にかけての袖コンシャス。まるで振り袖のようにドラマティックな効果を発揮します。
袖口をたっぷり広げたベルスリーブが視線を引き込みます。クロップド丈トップスとロングスカートとのセットアップ。ウエスト部分でチラ腹見せを仕掛けていますが、ダイナミックな袖のおかげで目立ち過ぎていません。スカート裾のスリットも加えて、ヘルシーセンシュアルな見え具合に。健やかヌーディーな装いが盛り上がる今年らしい着こなしです。
袖コンシャスのバリエーションはボリュームだけではありません。素肌を透かし見せたり、身頃と色・素材を切り替えたり。刺繍をあしらうとか、袖丈をずらすといったパターンも目を引きます。ボリューム袖よりも穏やかな見え具合なので、ドレッシーな装いにも生かせます。
肩の部分を縫いつまんでギャザーを寄せてあるコートがエレガント。肩口に少し盛り上がりを施して、クチュールライクなシルエットに。本来はコートなのに、ワンピース風に着こなせる「コートドレス」は上々の使い勝手。肩周りのディテールは視線を引き上げてくれるので、全体が縦長に映る仕組み。ブラウスで取り入れればいっそうスタイリングの幅が広がりそう。レッドのバッグと靴で差し色。控えめな袖コンシャスの好例です。
春夏はブラウスやシャツの上に何も羽織らずに過ごしたくなるシーズンです。プレーンなタイプは素っ気なく見えてしまいがちですが、袖コンシャスを盛り込んだトップスなら、1枚で着ても、華やかな着映えに。前を開ければ、ボレロ風にもなるので、アウターとしても使いたくなる切り札アイテムです。
こちらのショートブラウスは、両袖が躍るような、インパクト大のシルエット。花びらライクなドレープがドラマティックな印象だから、羽織り物でこの袖を隠すのはもったいないと思えるほどです。
袖と身頃の丈をそろえてあるので、まるでポンチョをまとったかのような見え加減も意外感を誘います。クロップド丈ならではの軽やかさも装いを弾ませています。ウエストまわりがもたつかず、すっきりして見える「技あり」のフォルムです。
両袖のたっぷりとした優美なボリュームのおかげで、逆に華奢感が生まれています。身頃と顔がコンパクトに見えるは、ボリューム袖のおかげ。ショート丈でかさばって見えにくいのも、このシルエットのよさです。
色はパープルとイエローの2色から選べます。パープルはアメリカのカラー企業パントン社が発表した2023年の色(ビバ・マゼンタ)に近く、このところのトレンドカラー。一方でイエローは日本流行色協会が発表した、2023年の流行色(穏やかに輝くルミナスイエロー)。つまり、どちらも今の気分を映す色です。
ポリエステル100%のさわやかな着心地。自宅での手洗いOKなので、真夏でもヘビーローテーションが可能です。軽いタフタ生地は動きに応じて、繊細な動きを起こします。形状記憶性を宿しているから、洗濯後に乾けば、元の形にきちんと戻る「賢い生地」です。
袖に加えて、背中にもボリュームを出してあり、立体感は申し分ありません。着方のコツはボタン開け。第2ボタンまで開けると、首の細感が引き立ちます。袖にラッフルをどっさり配してあるから、エレガントな印象に。細身のボトムスを迎えると、さらにスレンダー感が強まります。
肩口に細かいギャザーがあしらわれていて、エレガントな表情が深くなっています。背中側には大胆な切り換えが施してあり、背後からの視線もしっかり受け止めます。
ショート丈のたっぷり袖という持ち味を生かして、多彩な着こなしレパートリーを選べるアイテムです。写真のようにデニムとの相性は申し分なし。細身ボトムスではタイトスカートも有力な候補に。夏に向けては前をあけてワンピースやタンクトップの上から羽織るサマージャケットのような使い方もおすすめです。
【GABRIELA ARTIGAS】THCK TUSK CHOKER ¥105,600
【kabinett】RUFFLE BAG ¥34,100
量感が豊かなパフスリーブはやさしげな雰囲気を印象づけてくれるディテールです。甘く見せないスタイリングが大人のさじ加減。きれいめのボトムスを迎えれば、こなれた着映えに整えられます。
こちらのブラウスはほのかに透けるシアー感が軽やかさとロマンティック感を連れてくるかのよう。ふっくらしたジャガード生地が立体感を引き立てています。ポリエステル100%の素材は涼やかで、自宅での手洗いもOKです。
ボディのめりはりを引き出すアイテムです。起伏に富んで映る理由は「パフスリーブ」「ギャザー」「ぺプラム」のトリプルセットが効いているから。肩口やウエストをつまみ縫いして、ギャザーを寄せました。ウエストの切り替えから下はペプラムで優美に広がらせています。
実は背中が大きく開いたシルエットで、バックショットはあでやか。素肌をカバーするトップスに重ねたレイヤードも決まります。全体にヘリンボーン柄があしらわれているので、のっぺりして見えません。1枚で着ても、上品見えする理由です。
色はサックスブルー、ブラックの2色を用意しました。淡いサックスブルーはさわやかなムードで着やすい色。クールなブラックはカジュアルにもシックにもオールマイティーに着回せます。
「大人かわいい」系のテイストが生きるから、デニムパンツやチノパンなどのカジュアルめボトムスと組み合わせれば、絶好のケミストリー(相性)を発揮。手持ちのワイドパンツやジーンズはもちろんのこと、今シーズンにヒットが予想されているカーゴパンツとのコーディネートで鮮度の高いめりはりコーデが決まります。
芯の強い女性を打ち出すのが2023年春夏の流れです。気負った強がりむーどではなく、しなやかでタフなイメージがポイント。シルエット面での見せどころは「肩」。凜々しく張った感じのショルダーラインがインディペンデントな女性像を印象づけます。
こちらのブラウスは高く盛り上がった肩口の「コンケープドショルダー」がクールなたたずまい。肩周りにボリュームを持たせつつ、手首の見える7分袖だから、腕が華奢見えしています。
生地はほのかにシアーなので、上品な透け感を帯びています。適度な張り感があるおかげで、着崩れの心配フリー。しわにもなりにくいポリエステル100%素材。洗濯機洗いOK(弱指定)なのもうれしいところです。
色はどちらもベーシックなブラックとホワイトの2色から選べます。写真のようにブラウスをブラック、ボトムスをホワイトにするモノトーン合わせは気品の漂うスタイリング。春夏のモノトーンルックのお手本になってくれます。
フェミニンと品格が両立する装いです。パフスリーブの膨らみは控えめなので、着て行くシーンを選びません。ブラウス1枚の装いはあっさりして見えやすいものですが、こちらはショルダーと袖のディテールが生きて、立体感ある着こなしに仕上がるのが魅力的です。
ウエストインですっきり着こなすのが上手なスタイリング。写真のようなロング丈のタイトスカートと合わせれば、シャープな印象が際立ちます。ハイウエストのパンツも好パートナー。ジャンパースカートやジレなどとも重ねてマッチするスグレモノです。
シアーパフブラウス ¥24,200
【ZANCHETTI】ハンドバッグ/AMLETO20 ¥184,800
【TONY BIANCO】パデットスクエアトゥミュール ¥31,900 BUY
袖コンシャスにはバリエーションが豊富で、それぞれにムードが異なります。ベルスリーブはリラクシングで優美、パフスリーブは華やかで愛らしく、コンケープドはクールでエレガントなど、多彩な持ち味があるから、賢く使い分ければ、ファッションの表現力がアップ。自分好みの装いに仕上げやすくなります。「ガリャルダガランテ」の春新作には目新しい袖コンシャスを利かせたブラウスがそろっているので、2023年最初のおしゃれを袖から華やがせてみませんか。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
Special Thanks!
大野ウィリアム桂充
フォトグラファーとしてアパレルや芸能を中心とした撮影を行なっており、現在6ブランドを担当。パリコレやNYコレクションのストリートスナップ撮影も行なっている。
Instagram : @wko_.16
HP : https://wkono16.wixsite.com/mysite-1