FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.113
FASHION JOURNALIST RIE MIYATA
TREND TIPS Vol.113
ほのかにセンシュアル(官能的)な装いが人気を高めています。キーアイテムに位置付けられているのは、スリット入りのスカート。なかでもタイトシルエットのロング丈がトレンドボトムスに浮上してきました。タイトならではの細見えに加え、チラリとのぞくレッグラインが大人っぽい上品な色香を漂わせます。エレガントでセンシュアルなスリット入りロングスカートはオンでもオフでも着こなしやすい上出来ウエア。今回は海外のおしゃれ上手たちの街角ショットと、「ガリャルダガランテ」の新作を通して、新傾向と着こなしテクニックをご案内します。
スリットはフェミニンな雰囲気を呼び込むから、バランスを取るうえで、マニッシュアイテムとのミックスが効果的です。たとえばミリタリー。ワークウエア由来のカーゴパンツもトレンドボトムスに浮上していて、ジェンダーミックスのパートナーにうってつけです。
正面に深く入ったスリットが目を引くロングスカート。エレガントなボウタイ花柄ブラウスと組み合わせて、たおやかな風情に。ミリタリー風のポケットディテールのおかげでヘルシーセクシーな印象。片方の脚はカーゴパンツ風でもあり、仕立て自体もジェンダー感がクロスオーバー。コートをオーバーシルエット気味に肩掛けして、着やせ効果を引き出しました。クラッチバッグとパンプスのレッドが響き合って、ベージュとの好バランスを生んでいます。
タイトなシルエットのスカートでも、程よくスリットが入っていれば、足さばきが楽に。割と硬い生地のデニムも、スリットの効果で、ごわつきを押さえられます。デニムスカートはカジュアルに見えがちですが、スリット入りはほのかにセンシュアル見えがかなうのもいいところです。
デニムのタイトスカートも、膝上までスリットが入っていれば、こんなに大人っぽく変身。パフスリーブが印象的なダブルブレストの紺ジャケットを重ねて、量感のめりはりをプラス。スカートの細感が引き立ちました。ブラウスのレトロかわいい襟がブルー系の無地ルックに華やぎを添えています。籠バッグとメタリックサンダルでムードをずらしました。
スリットは深めがトレンドになっています。ちょっと大胆なぐらいがむしろ今の気分。ダークカラーのロングスカートは重たく見えがちですが、スリット越しに素肌がのぞけば、ヌーディーでみずみずしい着映えに。ブラックコーディネートに使いやすいスタイリングです。
黒いロングスカートのサイドに入ったスリットはももに届くほどの深さ。伸びやかなレッグラインがしっかりのぞいています。黒革のライダースジャケットを羽織って、フェティッシュなムードをプラス。つややかなエナメルのショートブーツとも共鳴。ネオンカラーのトップスでスポーティテイストを投入。クールでヘルシーなミックステイストに整えました。
足首を隠すようなマキシ丈のタイトスカートは、ほっそり見えの切り札的なボトムスです。こなれた感じに着こなすうえでの決め手は自然な「落ち感」。静かな風合いのサテン生地は、気負わない「エフォートレス」な雰囲気をまとわせてくれます。
タイトスカートのスレンダー感を引き立てているのは、正面に入ったスリットです。裾景色にも軽やかな動きが加わりました。マキシ丈でもサクサク歩きやすいのも、裾をまとわりつかせないスリットの効果です。
サテン生地は中肉厚のポリエステル100%素材だから、落ち感がきれい。自宅での手洗いOKです。色はベージュとライトグレーの2色から選べます。癖のないベーシックカラーは自在の着こなしに取り入れやすく、出番を選びません。
タイトスカートならではの、アルファベットの「I」の字を描くすっきりシルエットが縦長イメージを印象づけてくれます。腰周りのラインを拾いにくい気配りカッティングが自然な細見えの秘密。でも、むやみにタイトすぎないから、ストレスフリーで着られます。
スリットのメリットはさりげない肌見せに加え、軽やかさやフェミニン感も寄り添わせてくれるところ。適度な主張を帯びているので、トップスの選び方次第で、自分好みにムードを変えられる、オールマイティーなボトムスと言えます。
たとえば、写真のように、エフォートレスなニットを引き合わせて、キレイめなデイリールックに。ボレロをストール風に巻いて、起伏をアップ。スカートのスレンダー感を引き立てています。ゴールドのネックレスやバングルで格上げする小技もベージュルックには効果的です。
シャツやブラウスに、ジャケットを重ねて、お仕事ルックにも重宝しそう。普段使いにはカットソーやカーディガンを無造作っぽく合わせて。オーバーサイズのライトアウターをバサッと重ねると、タイトスカートのシャープさが一段と際立ちます。
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タイトスカートは凜としたイメージをまとえるだけに、様々なシーンで重宝なボトムスです。ありがちな窮屈感が玉にきずですが、こちらはストレッチ素材で仕立ててあるから、抜群に動きやすい「技あり」タイプです。
ボディになじむ自然な着心地に一役買っているのは、正面に施された膝上スリットです。ほのかに脚線をのぞかせて、さわやかな雰囲気も呼び込みました。上品なバランス感を印象づけるうえでもスリットが貢献しています。
今のトレンドキーワードに「ボディポジティブ」があります。体の線をあまり隠さないで、自然体の健やかさを印象づける着こなしです。シャープな縦長ラインを際立たやすいタイトスカートは「ボディポジティブ」を取り入れやすいボトムスです。
こちらのストレッチ生地はコットン97%にポリウレタン3%の高密度サテンなので、適度な張りとしなやかな伸び具合が両立。スレンダーなシルエットをしっかり保ちます。自宅で手洗いできる点はヘビーローテーションを応援してくれます。
色はホワイトとブラックという、基本の2色が用意されました。手待ちのトップスや羽織り物とのコンビネーションを組み立てやすいベーシック色は出番の多さにつながりそうです。
腰から下がすっきりして見えている理由は、ウエストに工夫があるから。太いベルトが通せるよう、幅広タイプのベルト通しを配してあるので、ハイウエスト効果がくっきり。腰周り全体が引き締まった印象に映る仕掛けです。実際に太いベルトを巻いてウエストマークするのにも役立ちます。
ディテールにも工夫が凝らしてあります。たとえば、裾はあえて糸でかがっていない「裁ち切り」の処理。気負わない「抜け感」が漂っています。
着こなしのポイントは色のコントラストにあります。写真のように、白のスカートにイエローのトップスを合わせて、クリーンでさわやかな印象に仕上げるのが基本技。トップスの色ごとに異なるキャラクターをまとえます。
トップスや羽織り物のボリュームも、アレンジのしどころです。写真のような、素肌になじむセカンドスキン風ニットは、タイトスカートとの相乗効果を生んで、全体をコンパクトに見せてくれます。逆に、ボリューミーなアウターを重ねて、上下で量感の「ずれ」を際立たせて、華奢感を引き出すという着方も魅力的です。
裾のスリットを生かして、靴とのコンビネーションを生かすスタイリングも試せます。エレガント系シューズを迎えて、フェミニンな足元を演出してもよし。ブーツで合わせて、フェティッシュ感を盛り込んでもよさそう。スリットからチラリとのぞく脚にカラフルなソックスやカラーストッキングをまとえば、裾景色がさらに華やぎます。
「ガリャルダガランテ」にはいくつものロングセラーがあります。こちらのタイトスカートはその代表格。長く愛されてきたボトムスに磨きを掛けて再商品化しました。
ずっと支持されてきた理由は、タイムレスなシルエット。ハイウエストとマキシ丈の「ロング×ロング」仕様が脚を長く見せてくれる効果も長年のお墨付きです。
ハイウエストのおかげで、お腹ゾーンがぐっと引き締まって映る仕掛け。サイドに膝のあたりまでスリットを入れて、優美な裾アクションをもたらしています。
グリッターのミニバッグを持てば、リッチ感を添える効果を発揮。足元はヒールサンダルでエレガントなリラクシングムードに。
色はオフホワイトとブラックの2色から選べます。どちらもほかの色とのコントラストがはっきりする色だから、手持ちのトップスと多彩な着こなしを試せます。
シルエットがタイトスカートなのに、着心地が楽なのは、ストレッチ度の高い生地で仕立ててあるから。サラッとした肌触りのポリエステル86%、ポリウレタン14%のミックスは薄く軽やか。自宅での手洗いOKなので、サマーシーズンも出番が途切れない、頼もしいボトムスです。
スリットは深めですが、正面ではなく、サイド寄りなので、脚の見え加減は控えめ。軽快な足さばきに導いてもらえます。ウエスト周りに適度なフィット感があり、見た目のくびれイメージが備わっています。腰の位置が高く映る分、レッグラインが伸びやかに見える好バランスのボトムスです。
せっかくのハイウエストを隠すのはもったいないから、このようにクロップド丈トップスを選んで、裾を遊ばせれば、タックインしなくてもすっきり見えして、細感が引き立つ着こなしに。もちろん、長めのトップスをタックインすれば、ハイウエストのおかげで縦長効果が生まれます。
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タイトスカートとスリットディテールは絶好の組み合わせ。自在に着こなしやすく、出番が限定されないのは、コストパフォーマンスの意味でも魅力的。すっきりシャープにまとまるうえ、大人のセンシュアルが薫るタイトスリットスカートでスタイリングの幅を広げてみませんか。
Text / Rie Miyata
宮田理江
(ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター)
多彩なメディアでランウェイリポートやトレンド情報などを発信。リアルトレンドを落とし込んだ着こなし提案も得意とする。コンサルタントとしてのビジネスも手がけ、企業向け提案、セミナー、イベント出演も多い。
Special Thanks!
大野ウィリアム桂充
フォトグラファーとしてアパレルや芸能を中心とした撮影を行なっており、現在6ブランドを担当。パリコレやNYコレクションのストリートスナップ撮影も行なっている。
Instagram : @wko_.16
HP : https://wkono16.wixsite.com/mysite-1