コレクション毎に生まれるインスピレーションをもとに、
素材やカラーで新しい世界観を表現し、提案し続けているイアクッチ。
イアクッチのファクトリーでは、お客様により長くご愛用いただけるように一切の妥協を捨て、日々バッグ作りを行っています。
時代を超え永く愛されるスタイルと、イタリアの職人技が光るディテールを表現するため
イアクッチにおいて欠かすことのできない3種類のレザーの特徴と生産過程に至るまでをご紹介します。
RUGA
自然で上品な艶を放つ美しい見た目が特徴のスムースレザー「RUGA」。
手触りも滑らかで、バッグを上品に仕上げる素材です。
程よい硬さがあることで、「VELAR」や「MARGHERITA」といった立体的で美しい曲線美のデザインの魅力を引き立たせ、また「SORBETTO」など特徴的なディテールがあるアイテムにも多用されています。
フォーマルなシーンにはもちろん、バッグのデザインによってはスポーティにもエレガントにも。
シンプルさゆえ幅広いデザインにマッチし、イアクッチを語るには欠かすことのできないレザーとして、毎シーズン様々なデザインに使用しています。
レザーの生産過程をご紹介する上で、知っていただきたいのが「皮」と「革」の違いです。
「皮」とは動物から採取した外表を覆っている組織を剥ぎ取ったもの(英語にするとSkin、Hide)、それから毛や脂肪などを取り除き、加工することで製品の素材に仕上げたものは「革」(Leather)と総称され、
この「皮」→「革」に変える工程のことを「なめし」といいます。
写真は、加工前の皮。
ヨーロッパ原産の灰色の皮で"RAW "と呼ばれています。
この原始的な状態でなめし工場に到着し、加工工程に入ります。
イアクッチで取り扱うレザーを製造するなめし工場は、ヴェネト州やトスカーナ州など、どこも古くからの伝統がつまった生産工場を厳選し、素材調達から生産のすべてに至るまでメイドインイタリーにこだわっています。
なめし工場に到着すると、まず余分な部分を刃で落として皮の厚さを整え、その後、染色・乾燥作業へと続きます。
美しい艶を持つルーガの製造には、何よりも原料からのコントロールと、細やかな補修作業が重要。
染色の前に、動物が生きている間に受けた傷や切り傷を注意深くチェック。
丁寧に補修作業を重ね、内側から輝きを放つような美しい質感と外観を作り上げます。
イアクッチのファクトリーには、加工後のレザーが届きます。
輸送時には、パレットに寝かせた状態で1枚ずつ重ねて置き、革に傷がつかないように徹底。
また届いた後も同様に保管しています。
製造工程においても、さまざまな段階ごとに細心の注意を払い、厳重な生産管理のもと製造されています。
CERVO
日本語で “鹿”を意味するチェルボは、その名の通り鹿革のシボ感を型押しで表現したレザーです。
シボ加工を加えたレザーの最大の特徴は、ふっくらと肌に吸い付くような手触りの良さと柔らかさ。
(シボ加工…革に施したちりめん状の細かいシワ加工のこと)
イアクッチで長年使用され、共に歴史を歩んできたともいえるチェルボは、レザー独自のナチュラルさは保ちつつ、キズも目立ちづらく耐久性にも優れているのが特徴。
お客様からの支持も高く、イアクッチには欠かせない定番素材です。
また、チェルボを使用したバッグは、フォルムがソフトになることで、クラシックでエレガントなデザインに抜け感が足された仕上がりに。
デイリーに使いやすくスタイリングをカジュアルアップさせるアイテムです。
そして、イタリアブランドならではの美しい色展開を幅広く表現でき、ニュアンスカラーからアクセントカラーまで、シーズントレンドに合わせてアップデートされる新色にも注目。
普段のスタイリングに取り入れやすいレザーとして、華やかなカラーでも挑戦しやすい点も支持される理由のひとつです。
ルーガと同様に、チェルボもなめし工場を経てイアクッチのファクトリーに届きます。
なめし工場では、まず最初に「タンニング」と呼ばれる弾力性・防水性・耐久性に優れたレザーを最良の状態に保つために行われるなめし加工が行われ、その後、染色・シワ加工・ドラミングと続きます。
特にチェルボのポイントは「ドラミング」。
この工程では、皮を木製のドラムの中に入れ、その遠心力で皮の繊維を動かし、シボをより鮮明にします。
この工程は、皮に丸みを持たせるためにも必要不可欠で、ドラムを叩く時間が長ければ長いほど、皮は柔らかくなり上質な革に仕上がるとされ、イアクッチではこのドラミングに時間をかけた高品質なレザーを取り扱っています。
“レザーを作ることは、大きな加工工程を必要とするアート“と現地職人が表現するほど、丁寧で繊細な工程を経て、イアクッチのファクトリーに届くのです。
到着したレザーは、牛の頭から尻尾までを縦に半分に切った「ハーフボビン」と呼ばれるもの。
送られてきたレザーは、柔らかさを保つためにダンボールの筒に巻かれて届き、この作業を慎重に行い、レザーにしわがつかないようにすることが重要なポイント。
部位によって質感が異なるため、まずはその選定からスタートします。
イアクッチではバッグのデザインに適さない部分は使用せず、より高いクオリティを目指します。
【上部】牛の頭に相当し、背中に向かって伸びている一番長い部分。イアクッチではこの部分をショルダーベルトに使用します。
【中央上】胴体の側面にあたる箇所。プリント(型押しの表情)が規則的で均一なため、バッグの顔となる前胴・背胴(バッグの裏面)部分に適しています。
【中央下】腹や腰の部分で、レザーの構造がルーズで、素材感が不規則なため、ファスナーの引手などの小さなパーツに使用します。
ALCE
現地の職人が”レザーの王様”と謳うアルチェ。
イアクッチが取り扱うレザーの中でも、最高級とされるラクジュアリーな素材です。
日本語で “ヘラジカ”を意味し、チェルボと同じく鹿革のシボ感を型押しで表現しています。
レザーの手触りはふかふかとした柔らかさがあり、チェルボに比べてさらにボリュームがあるのが特徴。
アルチェ独特の柔らかさを表現するために、原料のレザーは厚みがあるものだけを選定するため、耐久性が高く、長く愛用できる素材としても人気を誇ります。
程よい半光沢があり、スポーティなものから洗練されたものまで、さまざまなスタイルのバッグに採用されています。
アルチェの最大の特徴は「ダブルフェイス」。
レザーの王様と呼ばれる所以です。
一般的なレザーは、製品が完成したときに見えるレザーの表面と、原皮特有のマイクロファーを持つ裏面で構成されていますが、アルチェは両面に革の面があります。
アルチェを使用したデザインは、その特性を生かして一枚革(一枚の繋がった革でつくること)で仕上げていることがほとんど。
アルチェの良さを存分に味わえる、リッチで非常に贅沢な仕上がりとなっています。
裏生地を使用しないため、軽い仕上がりなのもポイントのひとつ。
アルチェの製造工程はチェルボと非常によく似ていますが、一枚革を実現するために、チェルボでは必要のなかった裏面も表面と同じように仕上げる必要があります。
製造段階をそれぞれの面で繰り返し行うことで、時間をかけて一枚革として使用できる革が完成します。
なめし工場でのタンニング・染色・シワ加工・ドラミングと続く工程の中で、特に「ドラミング」がアルチェのポイント。
チェルボでも先述したこの工程は、ドラムを叩く時間が長ければ長いほど、レザーは柔らかくなり上質なレザーに仕上がるとされています。
アルチェでは特に、「柔らかすぎず、しっかりとした硬さと柔らかさを兼ね備えたレザーに仕上げるためのドラミング」を求め、なめし工場に細かい要望を伝えています。
イアクッチの強いこだわりに、なめし工場は「IACUCCI ALCE」と命名するほど。
こうして仕上がった最高級のレザーが、イアクッチのファクトリーに届き、バッグへと変身していきます。