2020.07.17
IACUCCI(イアクッチ)
Stories of IACUCCI from director's eyes -vol.04-
ICON BAG
今回は、IACUCCIのICON BAG「VELAR/ベラ」についてお話しします。
私はVELARを初めて手にしたとき、IACUCCIがブランドとして大切にしたい要素、持ってもらいたい女性像が反映されているバッグだと感じました。
凛としたたたずまい。
しなやかな曲線美。
IACUCCIを語る上でかかせない、ブランドを象徴するバッグといえます。
「VELAR」2019ss Collection
IACUCCIを代表するRUGA(レザー)のしなやかさが際立つデザイン。
正面は力強くミニマルなVELAR。
計算され尽くした縫製で、バッグがしっかりと自立していることもIACUCCIのバッグが美しく見えるポイントです。
正面のシャープな印象に対し、側面はしなやかで品のある曲線を見事な職人技で表現しています。
この相反する表情がVELARの魅力であり、女性の二面性が生み出す美に通ずるものを感じさせます。
「VELAR」2019ss Main Visual
ステッチの美しさ、シャープなコバの直線としなやかなレザーの曲線が見事に融合したデザイン。IACUCCI職人の成せる技のつまった永遠に受け継がれる芸術といえる作品。
女性を象徴する丸みやしなやかさを内に秘めつつ、立ち振る舞いは凛としている様は、まさに私がイメージするIACUCCIのバッグを持ってもらいたい女性像と言えます。
そして、VELARにはIACUCCIが大切にしているものが含まれています。
それは、使い勝手の良さを生み出す機能性。
真上から見ると大きなポケットやファスナーといった、忙しい女性のわがままを叶える機能が備わっているのが確認できます。
バッグの美しさはもちろん、機能性も兼ね備えて考えられたデザインであることは、VELARに限らず、IACUCCIのバッグ全てにおいて言える重要なテーマでもあります。
機能面がバッグを持つ自分にしか見えないところも私のお気に入りポイント。
自分以外には、スマートな部分しか見せないという意志を持ったバッグのようで、見れば見るほど美意識の高さを感じるVELARに惹きこまれていきました。
私のお手本となるバッグです。
バッグを開いたときに見える一部分だけをメタリックに別注したのは、持ち主の自分にしか見えない、“私だけ”の特別なポイントにしたかったからです。
あからさまに見せつけるのではなく、ひっそりとでも気づく人には気づいてもらえるような、ちょっとした遊び心と、ひかえめで慎ましやかな日本人をイメージして別注しました。
デザインを邪魔しない機能性と、内側も美しくあることが私のこだわり。異素材の組み合わせが織りなすグラデーションも必見。
私がディレクションをスタートさせる際、Naluに初めてした質問があります。
「Naluが一番好きなバッグはどれですか?」
これは、自分の感覚を確かめる意味でとても重要な確認でした。
当然、全て好き!が答えということを理解した上で、あえて一番を教えて欲しいと伝えました。
彼女は、少し首を傾けながら嬉しそうな目で
「これかしら・・・」
と、VELARを手に取りほほえみました。
その表情には「VELAR」に対する愛情が溢れ出ていて、IACUCCIを語る上で重要なバッグであることを共有できた瞬間でした。
続いて、「MARGHERITA/マルゲリータ」「SABRINA/サブリナ」 と、私が日本で打ち出したいなと思っていた順の返答に内心ホッとしながら、日本でオープンするお店のディスプレイが頭の中でどんどん組み上がっていく感覚に心が弾んだのを覚えています。
自分が魅力的に感じるものと、デザイナーが打ち出したいものが違っていたり、大切にしたいポイントがずれていては、なかなかブランディングは上手くいきません。
これは私の性格というのもあるかもしれませんが、今まで自分の感性でディレクションをしてきた経験を通し、自分が生み出したブランドではないとしても、同じように心から良いと思う確信がないと、人に感動してもらえるような物は提案できないと思っているからです。
ミニマルでスタイリッシュでモダン。
デザインを邪魔しない機能性。
気の利いたひねりと、ちょうど良い加減のトレンド感。
そんなことを意識しながら、IACUCCIの企画やセレクションをしています。
次回は、IACUCCIのディレクションをスタートして一番のヒットとなった、
もうひとつのICON BAG「SORBETTO」についてお話ししたいと思います。
INDEX